短くなった墨を磨るれるようにしてみました。2

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前回のブログ記事で終わりにしたかったのですが、改めて使ってみると墨を固定させる面積を狭めすぎたために少し力を入れて磨るとすぐに墨と挟み込んだ板がグラッとして取れてしまいました。

意識を集中して、外れない様に磨いだら大丈夫だと思いますが、それもストレスになるので、ギリギリ短くするのはやめて余裕をもたせました。

墨を持つ先の段差を上の画像に比べて面積を増やしました。

寸法は最後に定規を当てていますので長さが確認できると思いますが、墨にも形状の違いがありますので今回ご紹介した寸法にこだわるよりは各々が持っている墨に合わせて寸法を決めていくのが痛い版だと思います。

 

 

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黒い漆器の修復 

まずは動画から

今回は黒い漆器の補修です。

下の画像では木の地肌が所々見えています。

 

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これらの下地の木が見えているところにまずは漆を染み込ませます。

 

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染み込んだ漆が固まると今度は上から呂色漆という黒顔料が入った漆を薄く何度も塗り重ねます。

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下地が見えている傷が大きいところは木屎漆という細かい木の粉と漆を混ぜ合わせた物で厚みをつけます。

 

 

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数日経過して固まったら幅の狭い平刀で周りを傷つけないように丁寧に整えます。

 

 

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整えた上から呂色漆を塗ります。

 

 

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呂色漆が固まりサンドペーパーかもしくは砥石で面を整えます。

そして呂色漆をその上からもう一度塗ります。

固まったらもう一度サンドペーパーで整えてまた呂色漆を塗ります。

 

 

 

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何度も塗っては整えを繰り返して上のようにフラットになるまで続けます。

 

 

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補正したところに漆で薄く伸ばして拭き取って仕上げます。

それを3回ぐらい繰り返して完成とします。

 

 

 

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完成

江戸時代 蕎麦猪口の金継 3 完成 

まずは動画から。

寄木造りの制作行程の前に色絵の蕎麦猪口の金継ぎ2までをブログに掲載していました。

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上図は前回までの金継の行程の画像です。

前回は錆び漆を盛り上げたところで終わっていました。

今回はその錆び漆で盛り上げたところをサンドペーパーで平らにしていくところから始めていきます。

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300番程度の粗さの耐水性のサンドペーパーを使って水を含ませながらフラットの状態になるまで研ぎだしています。

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面がフラットに仕上がると今度は黒い顔料の入っている漆を塗ります。

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上図は漆を塗ってから5日程経過した状態です。

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800番程の粒子のサンドペーパーを使ってフラットにします。

番数が小さい程荒く、数字が大きいほど粒子が細かくなります。

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前回の井戸茶碗の金継のときには、赤い顔料の入った漆を使って金を蒔きましたが、今回は透明な漆を下地に金を蒔いていきます。

色の顔料が入っていると、顔料の厚みの分若干盛り上がるのですが、今回は透明な漆を使用しているのであまり厚みが出ないようになります。

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これで金を蒔く下地が出来上がりました。

 

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金を蒔いて完成ですが、下地の漆がしっかりと固まっていないので1日置いて下地の漆が固まると金の輪郭線を爪楊枝のような細い先を使って整えていきます。

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完成

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江戸時代 色絵蕎麦猪口の金継ぎ 2

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この高温多湿時期は漆は比較的早く固まります。

それは、温度も関係がありますが、どちらかというと湿度が高いほうが大きいです。

今回、3日間という短い間でしたが、盛り上げておいた木屎漆が刃物で削れるぐらいまで固まっていました。

上下の写真はその削り終えたあとですが、モニターでは見えづらいのですが、細かな隙間が所々あります。

その隙間に錆漆(さびうるし)を埋めていきます。

錆漆は砥の粉(とのこ)と漆を練り合わせてパテのようにヘラを使ってうめていきます。

今回使用した砥の粉ですが、普通の砥の粉よりも粒子が細かい、鳴滝砥の粉(なるたきとのこ)を使用しました。

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下の写真が、錆び漆で穴埋めした状態です。

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あとは固まるまでしばらく放置しますが、これが冬場の作業になると、何もしなければ固まるのがものすごく遅くなります。

では冬場にはどうするのかというと、器が余裕をもって入る段ボールがあればその中に湿らせた新聞紙などを敷き詰めて、器をいれます。

段ボールを閉めたらさらに段ボールに水スプレーをかけビニール袋で覆いかぶせます。

器が入った段ボールの下には一人用の電気カーペットを敷き段ボールを暖めます。

小さい物なら良いのですが、これが段ポールに入りきらない物になると、色々と工夫をしなければならず、出来るなら梅雨の時期から秋口までの間だけ漆作業をしたいですね。

 

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江戸時代 色絵蕎麦猪口の金継ぎ 1

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今回、修繕する器は江戸後期の色絵の蕎麦猪口です。

依頼された方は、大切な人とお茶を楽しむために使われていましたが、少しかけてしまい直してほしいという事で私の手元で修復させていただく事になりました。

修復箇所は一カ所、ほつれた部分がありますので、その部分を木屎漆(粉末状の木と漆で練り合わせたもの)で埋めてはみ出た部分を彫刻刀で削り落とすのが今回の流れになります。

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陶磁器には、大きく分けて二種類あります。

土が原料の陶器

石が原料の磁器

今回は石が原料の磁器です。

磁器の場合、表面がツルッとして滑らかなため木屎漆だけで固めても後でぺろっと剥がれる場合があります。

そのために、磁器の表面に麦漆(小麦粉と漆を練ったもの)を薄く塗りこみます。

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盛り上げすぎないように薄い膜をつくります。

次に、木屎漆を作ります。

木屎漆の材料は焼き挽粉と漆を練り合わせて作りますが、焼き挽粉は、粉末にした檜(ひのき)を焦がさないようにチョコレート色になるまで丁寧に火であぶったものです。

粉末にした檜を火であぶる事により、水分が飛んで少し体積が小さくなります。

そうする事で収縮を防ぎ、強固になります。

 

 

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木屎漆で埋めた状態です。

 

 

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今回は埋めるところまで、漆が固まるまでしばらく待ちます。

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光背の修復 完成

 

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前回、砥粉と漆を練ったものが錆漆ですが、錆漆を隙間や凹凸の

あるところの隙間を埋めていきましたが、それから2か月程、経

しました。

十分に漆が固まったものが下の画像です。

固まった錆漆を砥石で表面をならしていきます。

途中彫刻刀で削ることもしながら全体を見て凸凹がない

ようにします。

 

 

 

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この状態ですべての個所の凹凸をなくしていきました。

それから研いだ個所をすべて漆で塗りこんでいきます。

 

 

 

 

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そして金箔を置いていき軽く押さえて密着させていきます。

このままでは金箔をはり合わせた部分だけ新しく光ってい

るので、最後に薄墨を作り筆で目立つ箇所を塗り、完成と

なります。

 

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完成

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