江戸時代 蕎麦猪口の金継 3 完成 

まずは動画から。

寄木造りの制作行程の前に色絵の蕎麦猪口の金継ぎ2までをブログに掲載していました。

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上図は前回までの金継の行程の画像です。

前回は錆び漆を盛り上げたところで終わっていました。

今回はその錆び漆で盛り上げたところをサンドペーパーで平らにしていくところから始めていきます。

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300番程度の粗さの耐水性のサンドペーパーを使って水を含ませながらフラットの状態になるまで研ぎだしています。

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面がフラットに仕上がると今度は黒い顔料の入っている漆を塗ります。

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上図は漆を塗ってから5日程経過した状態です。

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800番程の粒子のサンドペーパーを使ってフラットにします。

番数が小さい程荒く、数字が大きいほど粒子が細かくなります。

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前回の井戸茶碗の金継のときには、赤い顔料の入った漆を使って金を蒔きましたが、今回は透明な漆を下地に金を蒔いていきます。

色の顔料が入っていると、顔料の厚みの分若干盛り上がるのですが、今回は透明な漆を使用しているのであまり厚みが出ないようになります。

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これで金を蒔く下地が出来上がりました。

 

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金を蒔いて完成ですが、下地の漆がしっかりと固まっていないので1日置いて下地の漆が固まると金の輪郭線を爪楊枝のような細い先を使って整えていきます。

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完成

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金継3漆で穴埋め

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漆接着漆が固まってきました。

まだ完ぺきに固まっているわけではありませんが、作業には問題ない範囲の硬さまでになってきました。

ずれる心配がなくなりましたので、次は隙間などの穴埋めをしていきたいと思います。

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今回使うのは木屎漆(こくそうるし)というものをつかいます。

木を粉末状にしてそれを鍋を使って少し焦がしたものを焼き曳粉といいますが、木に熱を加えることにより、水分が飛んで、焼締まり粉が丈夫になります。

その焼曳き粉を漆と一緒に練りこみます。

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小さなヘラが手元にありませんでしたので、彫刻刀を使ってヘラを作ります。

 

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極々小さな穴は次回の錆漆の作業で埋めるのであくまでも大きな穴を中心に埋めていきます。

 

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金継2 (漆接着)

 

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漆接着のはみ出した部分をきれいに取り除いていきます。

麦漆(接着剤)は、2日経過して、ある程度固まって少し柔らかいぐらいです。

このぐらいだと、はみ出した部分の麦漆が除去しやすくなります。

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接着して二日ぐらいなら各パーツのずれを修正することができます。

このぐらいの硬さだと、ずれを修正したら動かないので作業もしやすいです。

 

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他の器も同じように除去しずれを修正します。

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この状態でしばらく置いておきます

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

茶道具の修繕 ー携帯用の茶杓ー

 
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茶道具の修繕  ー携帯用の茶杓ー

 

 

私の茶道仲間に、骨董屋さんにお勤めの方がいらっし

ゃいます。

その方は若いのですが、昔から日本の古い道具を日常

生活に取り入れて楽しんで使われています。

たまにその方の古い器を金継していますが、今までい

つ直したのか覚えてないくらいです。

今回は今までとは違い、携帯用に折りたためる茶杓を

直します。

現状は芯の部分が緩くなっているために使うのが難し

い 状態です。

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この茶杓は茶筅の入れ物に収納されているようですが、

上の写真に見られるように、入れ物に小さなU字形の

黒い金属があります。

よく見かける茶道具ではあるのですが、漠然と見てい

たのか、 どのように収納されているのか見当がつ来ま

せん。

そのためこのU字の金属に茶杓を差し込むのではない

ろうかと勝手に想像していました。

自分の思い込みですぐに取り掛からなくて良かったと

今ほっとしていますが、もう少し詳しく調べると茶筅

の裏に収納するのだと、理解できました。

そしてU字の金属の部分は組みひもを通す穴だとわか

りました。

早速取り掛かってみます。
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まずはゆるくなった芯の部分を取り替えます。

良く見かける携帯用の茶杓の芯の部分は黒くなっ

ています。

おそらくU字の部分と同じ材質の物で固定されて

いたのだと思いますが、この茶杓は前の持ち

方が、即席で芯の部分を竹で修理されたのだ

います。

量産されている茶道具と違い、茶筅の入れ物と茶

杓はとても上品な半透明の朱色の漆が塗られてい

ます。

前に使われていた人が修繕までして使いたいと

わせる、そんな茶杓、茶筅入れです。

最近のものではないと思いますが中に入っていた

茶筅は、オリジナルではないように思います。

茶筅は使っていくうちに摩耗していくのでそれは

仕方がないことですが、それだけ大事に使われて

きたことでしょうか。

後で紹介しますが、茶筅の中に茶杓を入れるため

裏から茶杓を差込んでみましたが入っていきませ

ん。

そのため、茶杓が収まるように少しずつ確認しな

がら穴を広げました。
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茶杓の芯は少しきつめの竹の棒を作り、少しずつ穴

に差し込んでいきます。

あまりきつく入れすぎると茶杓自体が繊維に沿って

割れてしまいますので、穴にさしていく力加減を

のぐらいで抑えるのか、きわどいところです。

ある程度入っていくと今度は二つとも同じ大きさの

穴なので、最初に差し込む方の穴をごくわずかに広

げます。

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穴を少し大きく広げましたら、最初に差し込む穴を

きつめに差し込んでいきます。

そうすると、次に貫通して差し込む穴は少し小さい

ので入っていきませんが、次の穴に入るように今度

少し小さめの穴に合わせてわずかに削り落としな

がら、きつく穴に入れていきます。

最後に飛び出した部分を削り落として茶杓の完成と

なります。

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完成した茶杓を茶筅の中に入れていくのですが、あま

り入っていきません

それで今度は茶筅の穴を広げていきます。

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茶筅に入りましたら、あとは組みひもを取り付け

て完成となります。

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携帯用の茶道具の歴史は古いようです。

南方録の「会」の中に夏越の祓い(なごしのはらい)

の野点の事が書いてあり、利休が加茂川の川べりで

野点をしていた様子がそこには記されているようで

す。

室町時代までさかのぼるような野点は当時と今とで

は、ずいぶんと違うものだったと思います。

私の知り合いに、コーヒー豆専門店をされているマ

スターがいます。

マスターは、仲間と一緒に大文字山をよく登られて

いて、頂上ではコーヒーではなく、抹茶を立ててい

るようです。

残念ながら私は、お相伴にあずかれませんでしたが、

山頂で戴くお茶は格別のものだろうなあと、想像し

ます。

そんな私は、山に登ると、携帯用のミルを使って挽

きたてのコーヒーを入れて仲間と一緒に休憩します。

コーヒーも、とても美味しい飲み物ですが、たまに

は趣向を変えて抹茶でもしようかなと、思ってはい

もののまだ実行するに至っていません。

また、野菜を届けてもらっている方がいるのですが、

野点の企画を考えている様子。

畑の真ん中で抹茶を立ててお客さんを楽しませたい

と、とても面白そうな事を言っておられる方もいま

す。

そんな野点は茶道の世界に気軽に入りやすいようで

外でお茶を立てるシンプルな道具は、カバンに入る

程度の大きさ、気軽な感じで良いですね。