法隆寺金堂の毘沙門天像の彫刻 3

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しばらく毘沙門天像の彫刻から離れていましたが、彫刻の再開です。

この段階までくると右手の衣が出ているところから手首を切り離させていただきます。

 

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右手を切り離しました。

次に右側の顔を整えて顔のバランスをとります。

細身の仏像ですので、思っていた以上に顔の横幅が細くなります。

幅を整えるのと同時に面相も彫り込んで バランスを見ます。

 

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顔がなくなったのでびっくりされたかもしれませんが、私は少し前に顔を残して一発で決めずに何度も調子を見ながら面相を決めていきます。

そのため目鼻口を削り落としてもう一度面相を削ります。

 

 

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三叉戟を持つ左手の穴をあけているところです。

まずは錐で細い穴をあけて次に金工用のドリルの刃先をゆっくりと回転させて慎重に穴を広げます。

 

 

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法隆寺金堂の毘沙門天像の彫刻 2

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今回は横と後ろの面を攻めていきたいと思います。

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後ろからみると光背はまだ正円ではありませんが、もう少し中心と高さが決まるまで彫り進めてから決めますのでまだこの段階では漠然と残しています。

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右側はよく見えないので想像です。

ただ肘と手の流れは大体決まっているので、流れを意識して甲冑や着衣を、左の面を参考にして彫りだしています。

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左右の天衣は見えないですが帯の腰の結び目から下に向かって翻っています。

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今回初めて知ったのですが、宝塔の持ち方が私が知っている持ち方が手先が前にきているのですが、法隆寺金堂の毘沙門天像は手先が後ろになってます。

手の甲が前にくるような状態です。

手が自然な形でみえるように、若干宝塔を前に傾けています。

 

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今回の法隆寺金堂の毘沙門天様を彫らせていただいて感じたのは、非常に妖術的な魅力を感じる像だなあと思いました。

彫刻が慣れてくると、人体の構造の流れをきちんとしなければいけないと思い、いわゆる肉体としてのバランスがとれた像を作るようになってきます。

すると見た目にもすっきりとバランスがとれるのですが、昔の仏像で人体としておかしな構造をもった仏像は鎌倉時代以前には特に沢山あります。

しかし、そういった御像が彫刻の造形として悪いのかというと、そうではなくて不思議な魅力を感じさせたり、エネルギーを感じたりと何ともいえない魅力が備わっている仏像が多いように思います。

それはただ単に仏像の人体の構造としてのバランスを単純に崩せばよいというだけの話ではなくて、

流れ作業で大量に造られた仏像のバランスが悪く見た目もあまり拝みたいように思えないのはただ単に一体の仏像に集中して制作している時間があまりにも短く適当だからだと思います。

人体構造がおかしくても、力強く感じるのは、もっと別な視点で制作されたからではないでしょうか。

もちろん大陸からの影響が色濃く残っているのもありますが、仏教という新しい教えに人々を帰依させるという強い信念のもと、一瞬で人の心をつかまえるための仏教の魅力を仏像を通して時の権力者が特に意識していたのではないだろうかと勝手な想像ですがそのようにも感じました。

 

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法隆寺金堂の毘沙門天像の彫刻

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今回の彫刻は法隆寺金堂の四天王像の中の毘沙門天像を彫刻します。

飛鳥時代の大陸の影響が色濃残る御像ですが今回の彫刻は完全な模刻ではなく、雰囲気を残しながらデフォルメをして彫刻してみたいと思います。

まず最初にお写真より20センチ程の高さに縮小してコピーをします。

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縮小してた写真を木に貼付けます。

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輪郭線を大まかに削ります。

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まずは顔の周辺を彫刻しますが、顔はまだまだ奥になりますので一気に削りながらそれに合わせて全体を彫り進めます。

 

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真横の写真が無いので想像で彫刻しますが、出っ張っているところは両手と邪気の肘と顔です。

その部分を残す事を意識して彫り進めます。

 

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まだ横をはっきりと決めていません、もう少し前の状態を徐々に決めながら横と後ろと攻めます。

 

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面相をだすと、全体の雰囲気が見えてきます。

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徐々に横と後ろを削ります。

 

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三尊像の彫刻 千手観音坐像 飯綱権現立像 毘沙門天像 10 

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今回、千手観音像は腕をさらに2本と冠の顔を表現します。

そして、鉛筆で細かく加筆したところを削り込みます。

 

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飯綱権現像も同じように加筆して彫りだしますが、上からなぞった線は雰囲気を見る為に描いているので、どちらかというと立体感を気にしながら彫りながら考えます。

 

 

 

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毘沙門天像は体に動きがあり、衣が翻っていたりして複雑な彫刻です。

基本は顔を中心として彫りだしていますが、他の箇所は一番手前の出っ張っているところを彫刻してから奥の方を彫っています。

 

 

 

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三尊並べてみました。

ここまで来たらしばらくは手を止めて、他の事をしながら自分の考えを成熟させる時間として使います。

それと、ブログの更新もしばらくは、お休みさせていただこうかと考えています。

仏像彫刻をしたい人が見に来ても困らないような作りにしたかったのですが、完璧とはいえませんが後は各自で試行錯誤しながらしていただいてと読者まかせですが、よろしくお願いいたします。

しかしメールやメッセージは一日一回は確認するようにしますので、お返事が出来るようにさせていただきます。

しばらくはゆっくりとした時間を作って、読書や英語の勉強や遊びやボケーとした時間に使いたいと思います。(笑)

三尊像は継続して投稿させていただきますが、その日程は現段階では未定です。

また仏像総覧のページも少しづつ加筆していきたいと考えていますが、Wikipediaのの解説はコピペが出来るようなのでまずはコピペをしながらWikipediaでも紹介されていない仏像もあるのでそういったページは空欄にして後で加筆したいと考えています。

 

それでは、皆さんよろしくお願いいたします。

 

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三尊像の彫刻 千手観音坐像 飯綱権現立像  毘沙門天像 9 仮組み

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今回は三尊像の仮組をしていきます。

 

 

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まずは屋根の出っ張ったところを木の丸ダボを使って仮組します。

 

 

 

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最初に屋根の両端に小さくボンドをつけます。

接着とは関係がなく、この状態で張り合わせると相手の木にも同じところにボンドの跡がつきます。

その跡がついたところと最初にボンドをつけたところをドリルで穴をあけます。

 

 

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まずは屋根の方は完成です。

次に足下の台を取り付けますが、屋根と同様にボンドで印を付けてドリルで穴をあけます。

 

 

 

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仮組みが出来たら両脇侍を入れてみます。

だいぶ雰囲気が出てきましたが、仮組したことで次にどこを彫れば良いのか全体像が見えるのでさらに明確になります。

 

 

 

 

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三尊像の彫刻 千手観音坐像 飯綱権現立像 毘沙門天 8  毘沙門天の彫刻 

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毘沙門天像の彫刻を始めます。

 

 

 

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まずは顔の周辺を彫刻します。

 

 

 

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毘沙門天像は動きがあり複雑な形状をしているので顔を彫刻をしたら肩の周辺などはあまり思い切って彫りすぎないようにしています。

 

 

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毘沙門天の持物が前に出ています。

それでまずは持物である槍と宝塔を残しながら毘沙門天の形を意識しながらほりますが、槍の棒は少し幅を広めに取っています。

最終的にはこの半分か3分の1程になるのでかなり細くなります。

それと下図を貼付けてから顔の位置が少し向って左に寄っているように感じたので、もう少し右側(外側)へ寄せて、もう少し顔が外を向くようにしました。

 

 

 

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毘沙門天が踏んづけている邪鬼はまだはっきりとした形を決めていませんが、徐々に彫り進めながら決めていきます。

始めからきっちりと決めない理由は、立体感で見るのと図面だけで見るのではどうしても感じが違ってきます。

ですので下図を貼付ける事で、木取りの木の奥行きがわかりどのぐらい彫れるのかがはっきりとわかり、中の立体感が見えてきます。

逆に下図できっちりと決めすぎるとバランスが取りづらくなるので、全体を微調整できるように彫っています。

 

 

 

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三尊像の彫刻 千手観音坐像 飯綱権現立像 毘沙門天 7 飯綱権現立像の彫刻

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飯綱権現像は初めて彫刻をします。

それで飯綱権現の全体像は様々な御像を参考にさせていただいたのですが、顔の表情は三十三間堂の中の28部衆の中の伽楼羅像を参考にしようと考えています。

お顔の表情は大変凛々しくくちばしの表現なども大変参考になります。

彫刻をしながら迦楼羅の雰囲気を意識して細かく攻めていきたいと思います。

 

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まずは顔の周辺からそして肩周りそして足元を荒彫りして行きます。

足下の動物は白狐です。

飯縄権現が乗っているこの白狐、もともとは狐ではなかったようです。

「野干(やかん)」または「射干(しゃかん)」と音表記された動物で、アラブ語やペルシャ語で「シャガール」「シガル」「シャガーラ」、フランス語やロシア語では「シャカル」、つまりイヌ科食肉目の「ジャッカル」のようです。

非常に頭が良く、 日本や中国にはいないようです。

狼やコヨーテに似ていて狐より小さく、木登りが得意といわれています。

この動物が中国では狐に当てはめられ、それがそのまま日本に伝わり「野干」=「狐の異名(または狐に似た動物)」と考えられるようになりました。

 

 

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足下のよりも白狐の奥行きを意識して、思い切って足を奥になるように彫刻をします。

あまり奥まで行き過ぎると奥行きが足りなくなるのですが、白狐の顔の奥行きも必要なので加減を考えながら彫刻をします。

 

 

 

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彫刻が進むにつれて下絵が消えていきますが、この段階では全体の姿と奥行きの関係を考えて全体的に彫り進めます。

 

 

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本来ならば顔をこの段階では奥にするために鼻先に当たる面を削るのですが、くちばしの飛び出し具合がまだわからないので、しばらくは残し気味で彫り進めて行きます。

 

 

 

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この段階でもくちばしの先は残しているのですが、おそらくもう少し奥にしても大丈夫だと思います。

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三尊像の彫刻 千手観音坐像 飯綱権現立像 毘沙門天 6  千手観音の彫刻

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十一面観音像から解説して行きたいと思います。

 

 

 

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まずは印刀を使って顔の周辺から彫刻を開始しました。

 

 

 

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そして肩を丸めていくと、後ろの手が消えて行きます。

後ろの手を彫るまでは、彫刻をしながら下図線を消して、まずは十一面観音の状態で彫りすすめます。

 

 

 

 

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顔の横幅は下絵よりも幅をまずは大きめにしています。

徐々に幅を狭めるのですが、最初から所定の幅にするとかなり小さくなる可能性があるので、大きめで取っています。

下図は雰囲気を見るための絵で、彫刻をしたらすぐに消えます。

ですので、雰囲気を見るための画像です。

彫刻をしながら徐々に細かいところを彫刻し、そして立体感を意識しながら進めます。

 

 

 

 

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三尊像の彫刻 千手観音坐像 飯綱権現立像 毘沙門天 5 彫刻の開始

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今回から彫刻を始めます。

まずは、彫刻をする面を間違えないようにこの段階できっちりと確認して彫らないところと彫るところがわかるように鉛筆で線を描いておきます。

 

 

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まず荒彫りをする前に、ランダムに描いた三尊像の絵をプリントアウトして貼付けます。

 

 

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まずは一番シンプルな飯綱権現から始めました。

 

 

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次に毘沙門天を荒彫りを開始しました。

 

 

 

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次に千手観音坐像を荒彫りしました。

三尊を同じタッチで彫刻をして全体像を見ながら彫り進めます。

 

 

 

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千手観音の沢山の手は今はまだ手を付けません。

基本的な千手観音の本体の姿をまずはきっちりと決めます。

 

 

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蔵王権現の彫刻と三鈷杵の取り付け

まずは動画から
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今回の彫刻は何年も前から彫りかけの蔵王権現像です。

この像は古い像の模刻像として彫刻していましたが、今回完成に致りました。

仕上げる時に三鈷杵が無かったので、三鈷杵の制作だけご紹介いたします。

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両手がまだ切り離していない状態ですが、腕釧(腕飾り)の境目で丁寧に切り取ります。

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元々小さな仏像なので持ち物である三鈷杵もかなり小さくなります。

こういうときは、長めに残した木の先に三鈷杵を彫り込みます。

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丁寧に握っている手に穴をあけます。

このとき出来るだけゆっくりと軽い力で小さく開けて徐々に広げます。

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あらかじめ細い木を差し込んでこの棒の先に三鈷杵を取り付けます。

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仕上げてから、三鈷杵を切り離しています。

そして三鈷杵に穴をあけて棒に差し込みます。

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完成

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