二張の和傘

二張の和傘 1

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あの日は確か今から10年程前、平成15年初秋の

が降り注ぐ中、指定のフランス料理店の前で私は

し早めに到着してお客様の到着をお待ちしており

した。

 

その時の私は、これから深くお付き合いしていくこ

とになるとは知るすべもなく、いつものように夕日

が沈みかけていく中、お店の照明も 少し明るくなっ

てきました。

 

 

その当時、私はまだまだ青二才で骨董や良いものを

ちゃんと知っているわけではありませんが、古いも

のになぜか吸い込まれるように、人知れず静かに集

めて楽しんでいました。

 

 

骨董といっても様々な種類がありますが、特に陶磁

器は比較的数も多くまた、日常生活においては 必ず

毎日使うもの、コーヒーを入れたり、お茶を入れた

りと、使わせていただいております。

アンティークは高価なものが多く、時代や有名無名

など様々な要因手に入れるのが難しい物も、中に

あります。

 

 

私のような身分でそのようなお品を普段日常で使う

のは難しいのですが、ある時江戸中期の古伊万里を

金継してもらえないだろうかという依頼がありまし

た。

 

私は知り合いの陶芸家から本業ではありませんが金

継をしたり、また自分でも金継をして楽しんで 使っ

ていましたが、古い器を金継することは初めての事、

私は仔細を聞きまた大いにびっくりしました。

 

元々傷物として買われたもの、傷がなければ3、4

万円はするようなお品が傷となるとそんなに安く 扱

われるのかと、非常に驚き、また私の新たな物欲が

そのころに芽生え始めたのであります。

 

それが私の骨董との出会いです。

 

京都には北野天満宮や東寺で骨董市が毎月開催され

ますが、ほかにも大きなイベントとしては年に3回

ほどある大アンティークフェアもパルスプラザで開

され非常ににぎやかでありますが、また古門前、

新門前通りと古くからある格式のある骨董屋さんも

あり、気軽に訪ねやすいところでは町二条の周辺

など、骨董を扱っているお店は京都にたくさんあり

ます。

 

私は、金継の一件以来、非常に素晴らしい傷物を求

め暇さえあれば、たくさんのお店を訪ね歩いており

ました。

 

まだ20代半ば、友達にそこまで私の骨董談を語り合

えるだけの友人はおりませんでしたが、人知れず(ば

れていましたが)集めた器に金継をして は、この古伊

万里はどのような人が使っていたのか、実際に江戸の

人達が使っていたのだと思うと、その瞬間、200年前

に気持ちが持っていかれ、さまざまな妄想を抱くので

あります。

 

骨董は、まさに私の歴史の教科書でありました。

                                                                              続く

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