忿怒尊の光背の彫刻

光背の彫刻とその形の流れは、複雑きわまりなく感じますが、シンプルに考えると単純で、ある一つのパターンの複数の組み合わせで成り立っています。

炎の元となるものは、小さな球体です。


この小さな球体をどこに配置するのかということを全体的なバランスを見て配置し、その球体にまとわりついているように炎が組み合わさっています。

炎の流れは昆布に見えないようにしないといけないのですが、そのために揺らぎを大きくして、その揺らぎの内側の揺らぎを大きく作ると、動きがさらにでてきます。

 



揺らぎの先の外側のラインはできるだけ尖らさないようにするのですが、絵のように内側の丸刀ですく所は尖らしても大丈夫です。

大きな炎の光背は、シンプルなパターンの連続なので、光背の大きなフォルムの美しさを感じ、そして光背の中の一つのパターンを把握すると、より一層光背を含めて仏像彫刻を楽しめるのではないでしょうか。

 



補足ですが、最後の写真には私が紫檀で作ったマドラーが二枚あります。


この丸くなっている所は如意と呼ばれる形で、こういった表現は先ほどの光背でも使われたり、また水しぶきや雲など様々な場所にとても多く見ることができます。

この如意という形って意外と難しく、彫り手の技量というよりも形に対する考え方で大きく違った表現になってきます。

ではどうしたら美しく如意を表現できるのかという事ですが、先ほどの光背の形のように球体が入っていて、そこにまとわりついているように表現すると良いのですが、さらに球体が回転して動きを想像すると、形に対する迷いが取れて上手く彫れるのではないだろうかと私なりに解釈しています。

 

 

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