4  軍荼利明王

軍荼利明王(ぐんだりみょうおう)は密教において宝生如来の教輪転身とされ、様々な障碍を除くとされ、五大明王の一尊としては南方に配される。

曼荼羅における軍荼利
胎蔵界曼荼羅においては、軍荼利明王として、金剛界曼荼羅においては、甘露軍荼利菩薩、金剛軍荼利菩薩、蓮華軍荼利菩薩がいる。これを三部軍荼利と呼ぶが、軍荼利明王に該当するのは甘露軍荼利菩薩、サンスクリットでいうアムリタ・クンダリンである。アムリタとは、不死の霊薬のこと、クンダリンは水瓶、あるいは、とぐろを巻いた蛇のこと。
軍荼利明王は、疫病をもたらす毘那夜迦天(インドのガネーシャ)を調伏すると密教では解釈されている。
チベットでは十忿怒尊のヴィグナーンタカとなり、象頭神(ガネーシャ)を踏む。

軍荼利明王の起源と成立
軍荼利は梵語クンダリニー(kuṇḍali)に由来し、クンダリニーは体内のチャクラを流れるエネルギー(体内で覚醒したプラーナ)とヨーガでは解釈されている。クンダリニー・ヨーガは特にインドの後期密教ではタントラやヒンドゥー教のシャクティ(性力)信仰から影響を受けて盛んだった。クンダリニーの語源は、コイル、螺旋、環、巻き毛などを意味するサンスクリット語のクンダラ(kundala)という名詞から派生したクンダリヌ(kundalin)螺旋を有するものの女性形主格である。このクンダリニーは不可触民起源の女神でその後、密教に取り入れられたクンダリー女神に由来する。本来は女神であったが中国で性転換させられて日本に伝わったため日本では男性の姿の仏像が作られている[1]。
以下は、軍荼利明王とクンダリニー・ヨーガとの関係を示唆している。
クンダリニーは脊椎で休眠しているとされ、ヨーガで覚醒すると脊椎の尾部から頭部に向かって上昇し、これが体内で蛇が頭を持ち上げる感覚を体験することもある。それゆえに蛇はクンダリニーの象徴として表現される。軍荼利明王の体には蛇が巻き付いている。
クンダリニーの上昇に伴い、眉間辺りに位置するアジナー・ チャクラが第三の眼になる体験をすることもある。軍荼利明王の顔には第三の眼がある。
クンダリニーの覚醒によって、甘い蜜が喉元に下りてくる味覚を体験することがある。ヨーガではアムルタ(甘露)と表現する。
軍荼利明王の成立は明王の中では古いようで、不動使者とともに金剛甘露軍荼利菩薩が7世紀には仏典の陀羅尼集経(阿地瞿多訳)に登場している。日本に伝播した明王は、中期密教の忿怒尊である。チベットは後期密教の影響を受けているため、姿形や性格、人気のほどは異なる。 軍荼利の記述で「荼」を「茶」と記述されるのを見るが茶は間違いである。

姿形
軍荼利明王は一面八臂の姿で、手は2本の腕で三鈷印を結び、他の腕には武器や斧を持ち、顔は三ツ目でとぐろを巻く蛇を身に纏った姿で像形されることが多い。

真言
オン アミリテイ ウン ハッタ(Aum Amrte Hum Phat)
邦訳すれば、「オーム、甘露尊よ 浄めて下さい、砕いて下さい。」という意味になる。

参照Wikipedia

 

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