造り手から見た仏像のすがた・かたち

 

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仏像彫刻をされている方でも、人それぞれに違いが

あり個性があります。

江戸末期のころは職業としての分担作業が細かいと

ころまで確立していて、仏師もまた高村光雲が伝え

ているように、設計図を元にして忠実に木に写して

いく一工程の技術者でした。

 

現在では仏像を制作する側は、わりと自由に制作さ

れている方もたくさんいらっしゃいます。

信仰の対象とする彫刻や絵画など、信仰を中心に捉

えるのか、それとも美術的あるいは学術的に捉える

のか、歴史的に捉えるのか、コレクションとして手

元に置きたいのか、人により様々です。

個人レベルなら自由にすることができますが、大き

なプロジェクトとして、お堂の設計から御厨子や仏

像のサイズに至るまで細かく規定されている場合は

それにおおじた、仏像を造らないとアンバランスに

なってしまいます。

また仏像の形としての知識はあまり持ちすぎないほ

うが良いという人もいれば、古代インド語である、

サンスクリット文字から仏像の姿の根拠を見出して

図面を起こされる方もいます。

仏像に関するの最低限の知識は必要ですが、どこま

で知るのが良いのか境目はあいまいなところです。

仏像や経典の知識をそこまで知っていなくても素晴ら

しい彫刻はうまれます。

 

全体の均整がとれていて、難しいお顔の表情や手先の

部分を上手に彫り上げなおかつそこに気品を感じさせ

人々を魅了する仏像を彫れる人は、知識を超越して感

性に訴えかけています。

 

実際問題、経典の知識を理解しよと思えば膨大な時間を

つぎ込まなければならず、一人の力ではむずかしい作業

です。

そして彫刻を制作する時間はなくります。

それだけ大蔵経には膨大な情報量があり、その中から経

典の中に説かれている仏像のお姿の情報を集める作業も

一人の仏師の力ではどうすることもできません。

それだったら、素晴らしい彫刻をしている人にはその制

作に専念してもらったほうが後世に良い仏像を残して行

くことに貢献します。

仏像のお姿の根拠となっているある一つの記述を探す作

業に1年もかけていたら制作作業がいっこうに進みません。

 

しかしながら、仏教が日本に伝えらえれ現在に至るまで

多くの方々が大蔵経の翻訳に努め、整理され必要な個所の

情報を効率的に手に入れられるようになってくるに従い、

最低限必要な知識を素早く検索することが可能となりまし

た。

そこに様々な解釈もあるかと思いますがそういった先人

たちの恩恵を受けることにより私たちは制作に集中する

時間を設けることができます。

幸運にも現代はネット社会により情報が溢れすぎていて

取捨選択するのが大変なところもありますが、仏像制作

を中心とした役立つ知識を抽出して使えるものだけ使わ

せていただき、あやしいものやネットには掲載していな

い情報があれば穴埋めをしていく形で、本から調べた必

要最低限の情報を書き込んでいきたいと考えています。

そうして少しずつ出来上がっていく私の仏像ポケット辞

典を公開し多くの人と共有ができればと思います。

 

とりあえず自分なりの仏像カテゴリーを作ってみました。

ページ数でいうと、曼荼羅と仏像すべての固定ページを合

わせて1000ページを超えています。

この白紙のページが何年で埋まるのか想像がつきませんが、

地道に書き留めていくつもりでいます。

その間に曼荼羅がいつの間にか出来上がっていた、といえ

るような悠久の時間の流れとともにブログを成長させてい

ければと思います。

 

 

 

 

 

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