蓮弁の制作 2 鉛筆で描いた蓮弁の輪郭線をカットした状態までの
画像です。
これから蓮弁の内側を蓮台のカーブに合わせて彫刻していきます。
普段は一枚一枚彫り進めるので、このように彫刻する前の状態を
まとめ て見ることはありませんでしたが、まとめて見ると大変そ
うに見えま す。
おそらく初めて蓮弁を彫る人が見ると書類が山積みになっている
ようで 嫌になるかもしれません。
今までどれぐらい蓮弁を制作したか数えられませんが、大きいもので
一 枚の幅が一尺近く(30センチ近く)あったように思います。
そしてちいさなもので幅が2分(6ミリ弱)ほどだったと思います。
それら様々な大きさの蓮弁の制作した数は、おそらく1000枚以上は
制作していると思います。
しかし、たかが蓮弁されど蓮弁、蓮弁にも製作者の個性は出てくるも
の です。
私は蓮弁が美しいと感じた仏像の一つに奈良、西大寺の愛染明王坐像
が あります。
鎌倉時代の古い仏像ですが、もちろん本体の愛染明王も素晴らしい彫
刻 です。
もし機会があれが台座の方もじっくりとみていただきたいと思います。
蓮弁の一枚一枚がふっくらとしていますが、上の方にある花弁と一番
下 の花弁では膨らみ方も微妙に変えてそれが全体的に見ても蓮弁の位
置が バランスが良く配置されております。
私は1000枚以上蓮弁を制作したとはいえ、素晴らしい蓮弁を見るとレ
ベ ルの差を見せつけられます。
鎌倉時代の仏師さんに挑戦するなんて大それたと思われるかもしれませ
んが、しかし過去の人とこうして彫刻で対談できる面白さは、なかなか
味わえるものではないように思えます。
話がついつい長くなりました。 早速彫刻を始めます。