漆のヘラ
漆塗りと聞いて筆などを使ったペイントをイメージされる方も多いかと思いますが、下地を作り何層も重ねて最後の段階で地の色(黒や朱色など)を筆(漆刷毛)で塗り、また上絵を筆で塗ります。
筆といっても、本職の方などは漆刷毛という人の髪の毛でできた刷毛を使います。
現在では、人毛でないものも出てきています。
話がそれましたが、漆を塗る作業の前の下地を作る作業も重要な工程の一つで、初めて塗られる方、慣れていない方などが漆を塗ると凹凸ができたり、小さな異物が混入したりしてなかなか思うように仕上がらないと思います。
それらの問題の多くは下地の面がきちんと仕上げられていないことがあります。
下地の面の凹凸や小さな穴も完全にふさぎ平らにすることにより、塗り終えた後の仕上がりは美しくなります。
本職のように完璧にはいきませんが、下地を改善することにより、見違えるような出来栄えになると思います。
そして下地にはヘラを使います。
本職で漆をされる方の塗師刀(ヌシガタナ)という直刀ですが短刀のような刃物を使って木のヘラを作られます。
私は、塗師刀を持っていませんので代用で少し小さめの鉋(かんな)と彫刻刀を併用して作ります。
ヘラを削る前の状態です。
今まで使っていたヘラです。
参考にしながら複数本作ります。
鉋(かんな)で表面、裏面、両サイド面を削ります。
本職の方は塗師刀をつかいますが、私は彫刻刀を使い角度をつけます。
彫刻刀で角度をつけた面を鉋で仕上げます。
完成です。
右側3本のヘラは柔らかくて薄い金属でできています。
とても使いやすいので木のヘラと併用して使っています。