茶道具の修繕  ー携帯用の茶杓ー

 

 

 

 

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茶道具の修繕  ー携帯用の茶杓ー

 

 

私の茶道仲間に、骨董屋さんにお勤めの方がいらっし

ゃいます。

その方は若いのですが、昔から日本の古い道具を日常

生活に取り入れて楽しんで使われています。

たまにその方の古い器を金継していますが、今までい

つ直したのか覚えてないくらいです。

今回は今までとは違い、携帯用に折りたためる茶杓を

直します。

現状は芯の部分が緩くなっているために使うのが難し

い 状態です。

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この茶杓は茶筅の入れ物に収納されているようですが、

上の写真に見られるように、入れ物に小さなU字形の

黒い金属があります。

よく見かける茶道具ではあるのですが、漠然と見てい

たのか、 どのように収納されているのか見当がつ来ま

せん。

そのためこのU字の金属に茶杓を差し込むのではない

ろうかと勝手に想像していました。

自分の思い込みですぐに取り掛からなくて良かったと

今ほっとしていますが、もう少し詳しく調べると茶筅

の裏に収納するのだと、理解できました。

そしてU字の金属の部分は組みひもを通す穴だとわか

りました。

早速取り掛かってみます。
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まずはゆるくなった芯の部分を取り替えます。

良く見かける携帯用の茶杓の芯の部分は黒くなっ

ています。

おそらくU字の部分と同じ材質の物で固定されて

いたのだと思いますが、この茶杓は前の持ち

方が、即席で芯の部分を竹で修理されたのだ

います。

量産されている茶道具と違い、茶筅の入れ物と茶

杓はとても上品な半透明の朱色の漆が塗られてい

ます。

前に使われていた人が修繕までして使いたいと

わせる、そんな茶杓、茶筅入れです。

最近のものではないと思いますが中に入っていた

茶筅は、オリジナルではないように思います。

茶筅は使っていくうちに摩耗していくのでそれは

仕方がないことですが、それだけ大事に使われて

きたことでしょうか。

後で紹介しますが、茶筅の中に茶杓を入れるため

裏から茶杓を差込んでみましたが入っていきませ

ん。

そのため、茶杓が収まるように少しずつ確認しな

がら穴を広げました。
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茶杓の芯は少しきつめの竹の棒を作り、少しずつ穴

に差し込んでいきます。

あまりきつく入れすぎると茶杓自体が繊維に沿って

割れてしまいますので、穴にさしていく力加減を

のぐらいで抑えるのか、きわどいところです。

ある程度入っていくと今度は二つとも同じ大きさの

穴なので、最初に差し込む方の穴をごくわずかに広

げます。

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穴を少し大きく広げましたら、最初に差し込む穴を

きつめに差し込んでいきます。

そうすると、次に貫通して差し込む穴は少し小さい

ので入っていきませんが、次の穴に入るように今度

少し小さめの穴に合わせてわずかに削り落としな

がら、きつく穴に入れていきます。

最後に飛び出した部分を削り落として茶杓の完成と

なります。

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完成した茶杓を茶筅の中に入れていくのですが、あま

り入っていきません

それで今度は茶筅の穴を広げていきます。

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茶筅に入りましたら、あとは組みひもを取り付け

て完成となります。

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携帯用の茶道具の歴史は古いようです。

南方録の「会」の中に夏越の祓い(なごしのはらい)

の野点の事が書いてあり、利休が加茂川の川べりで

野点をしていた様子がそこには記されているようで

す。

室町時代までさかのぼるような野点は当時と今とで

は、ずいぶんと違うものだったと思います。

私の知り合いに、コーヒー豆専門店をされているマ

スターがいます。

マスターは、仲間と一緒に大文字山をよく登られて

いて、頂上ではコーヒーではなく、抹茶を立ててい

るようです。

残念ながら私は、お相伴にあずかれませんでしたが、

山頂で戴くお茶は格別のものだろうなあと、想像し

ます。

そんな私は、山に登ると、携帯用のミルを使って挽

きたてのコーヒーを入れて仲間と一緒に休憩します。

コーヒーも、とても美味しい飲み物ですが、たまに

は趣向を変えて抹茶でもしようかなと、思ってはい

もののまだ実行するに至っていません。

また、野菜を届けてもらっている方がいるのですが、

野点の企画を考えている様子。

畑の真ん中で抹茶を立ててお客さんを楽しませたい

と、とても面白そうな事を言っておられる方もいま

す。

そんな野点は茶道の世界に気軽に入りやすいようで

外でお茶を立てるシンプルな道具は、カバンに入る

程度の大きさ、気軽な感じで良いですね。

 

 
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