96 無能勝明王さま (インド名:アバラージタ) 今回ご紹介します明王さまは無能勝明王〈むのうしょうみょうおう〉で す。 釈迦院のお釈迦さまが佇んでおられる所から向かって右下の場所に佇ん でます。 四面四臂各三目、といわれるように顔が四面で四面すべてに目が三つ額 にあります。 四本の腕があり、右の一手(後ろの方の右手)は拳にして人差し指を立 て、腕を高くかかげます。 次の右手は拳にして、 人差し指を伸ばし胸に当てます。 左手の一手(後ろの左手)は内にむけて鉞斧(えつぶ)を持ち、次の手 は三鈷戟を持ちます。 八大明王の一。この明王さまは、釈尊の成道のときの降魔の徳を表しま す。 釈尊の成道を妨げようとす押しかけた魔王に対し、釈尊のさとりの偉大 さを認めさせ魔王を退散させました。 またこの明王さまは、釈尊お分身といわれ、無量にして自在な神力を持 ち、忿怒身をもって現れ、さまざまな障害を粉砕する徳を表します。 現図曼荼羅では、この明王を釈尊の左下におきますが、観蔵院曼荼羅で は『大日経』の説に従い右下に改めました。 合掌