両界曼荼羅の方向 ネパールやチベットには土の上に築かれた曼荼羅があります。
密教の修法で清浄な土や牛糞を用いて作られた土の壇の上に色粉を使っ て尊像
を表現しています。
起源を遡るとインドで修法されていたものが、伝わったものですが仏教 が滅び
てしまったインドでは、土壇を築くことがなくなりました。
この土壇の曼荼羅は修法が終わると惜しげもなく壇を壊し、儀式が始ま ると新し
く建立します。
その繰り返しですので、当時の姿は跡形もなく消えて行きますが、その 痕跡は宗
教儀式の中から読み取ることになります。
土の上に描かれておりますので真上から曼荼羅を見ると、胎蔵界曼荼羅 は中尊が
土壇の西向きに行者は東向きになって相対する形をとります。
金剛界曼荼羅は中尊が土壇の東向きに向いており行者は西向きに相対し ます。
この修法が中国に渡り、曼荼羅が中国では軸装に改まりました。 軸にかけられると
曼荼羅は水平から垂直方向に装いが変わりました。
そのことで起こった方位の問題と妖術的な効果の減少を防ぐために密教 の寺院では
東の壁に胎蔵界曼荼羅、西の壁に金剛界曼荼羅を配置するようになり ます。
寺院によっては一面しか場所を確保できない場合もありますの で、その時は我々か
ら見て右に胎蔵界、左に金剛界を配置いたします。
方位を覚える簡単な方法としては右胎左金(うたいさこん) という呼び 方で配置を
覚える方法があります。
合掌