胎蔵界曼荼羅 胎蔵界曼荼羅の完成に尽力された方々のうち代表的な方がお二人いらっ しゃいます。 インド僧、善無畏さんと中国人僧侶、一行さんです。 西暦715年に善無畏さんがインドから唐(中国)に沢山の御経を持ってこ られましたがその中に『大毘盧遮那成仏神変加持経』七巻、略して大日 経があります。 この大日経を中国人の一行というお坊さんにインド語から中国語に翻訳 するお手伝いを頼みました。 そして完成した大日経を元に造られたのが胎蔵界曼荼羅、正式名称は大 悲胎蔵大曼荼羅と呼びます。
この曼荼羅の中心に蓮の形をした、中台八葉院があります。 蓮のお花が開いていく様子、これが中尊である大日如来を中心とした仏 さまの悟りの徳が広がっていく様を表したものといわれております。 中台八葉院の周りには沢山の院があり、様々な専門分野があります。 まず遍知院という場所には三角形の姿をした形が描かれておりますが、 智慧を象徴的に表したものといわれております。 蓮華部院では慈悲を金剛手院では智慧として展開します。 持明院では先ほどの慈悲と智慧が衆生に効果的に働きかけるようにお手 伝いします。 釈迦院では歴史上のお釈迦様の姿を描く事により現実世界の悟りの具体 的な働きをあらわすといわれております。 地蔵院ではより観音様の慈悲心に基づく現実的な実践が徹底され、具体 的な衆生救済が表されております。 除蓋障院では、金剛手院の智慧の働きをさらに具体的な行為の展開いを 表しております。 虚空蔵院では我々現実世界での如来の福徳が無限である事を示しており ます。 文殊院では釈迦院の働きをより具体的な形を我々に示しております。 蘇悉地院でもまた虚空蔵院で説かれている福徳をより具体的な形を我々 に示しております。 そして最外院では、我々人間社会や地獄の様相が描かれておりますが、 それは大日如来の救いがあますとこなく及んでいる事を伝えています。 全体的に見ると、大日如来の徳が内側から外側に広がっている様子でも あり、また外側にから内側へ自身を高めるという見方としてもとらえる ことができます。 合掌