丸刀の裏研ぎの台を作る

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木彫をされていない人が見ると、これは一体なんだと思われるかもしれませんが、丸刀という刃先が丸い彫刻刀の裏の丸くへこんだところを、この砥石を使って砥ぎます。

裏を砥ぐ砥石は、台がなくても砥ぐ事も出来ますが、台をつけるとより安定して砥ぐことができます。

いまからのその台を作ってみたいと思います。

 

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私は丸刀の裏砥ぎ砥石は20個程あります。

しかし、砥石の幅は6種類しかありません。

幅が同じ砥石がいくつかかぶるのですが、砥ぐ面のアールが違います。

浅い丸刀を研ぐ場合はアールも緩やかになり、深い丸刀を砥ぐ場合はアールもきつくなります。

それと幅も6種類ですが、若干砥石の側面を砥いで幅を調整しています。

本来ならば全ての溝を作りたいのですが、あまり溝が沢山あっても道具としてスマートではないような印象を受けますので、使いやすい大きさの木をまずは用意します。

溝を削るのに電動の丸鋸で深さを調整してから溝を付けました。

5つぐらいの溝が丁度良さそうだと思ったので今回は5つにしてみました。

 

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溝が出来たら、砥石が入るか試してみます。

一発で全ての溝がちょうど良いという事もないので、少しずつ溝の幅を広げて微調整します。

そして下の画像のようにはいりました。

 

 

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あとは前回の砥石台を作ったのと同様に砥石台の角を丸めます。

 

 

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さらに全ての角を面取りして、サンドペーパーを当てます。

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もう一度、砥石を置いてみます。

 

 

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幅が大きすぎてあわない砥石もでてきます。

薄いヘラの用に先が細くなっている木を隙間に詰めます。

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挿し木で砥石を固定したら、彫刻刀をあてて使い勝手を確かめます。

 

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他の砥石も同様に試します。

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割れた砥石でも丸刀の裏研ぎに利用できます。

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以上、漆を塗る前の素地が完成しました。

下の画像は塗り終わった状態ですが、前回の砥石台と同様に拭き漆を施しました。

 

 

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完成です。

 

 

 

 

砥石台を作る 後編

 

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前回、砥石台と砥石の側面を拭き漆しましたが、漆が固まりました。

砥石の砥ぎ面を荒砥石で面を平にするのと同時に付いた漆を研ぎだして、面を奇麗にします。

 

 

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続いて人工砥石キングの中砥石で荒砥石でざらついた表面を滑らかにします。

 

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上の画像が研ぎ上がった状態です。

さらに同時進行で他の砥石の表面も仕上げます。

 

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これで仕上がりました。

仕上げている最中にだんだんと表面が奇麗になるのが何とも言えない至福の時です。

 

 

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試しに研いでみました。

砥石台と砥石が一緒になる事によって、置いたときの安定感が砥石だけのときと比べると全然違います。

今回の砥石台の作り方は、少し手間がかかりますが、板の上に砥石を接着し台の足も前後二枚の板を裏にはりつけることで、今回制作した砥石台と同じような効果があります。

接着剤はボンドだと、水溶性なので水に溶けます。

砥石は水を使うのであまりおすすめはしません。

出来るだけ耐水性の接着剤をおすすめします。

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砥石台を作る 中編 (漆を塗る)

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今回は漆塗りまで作業を進めていきます。

今回は砥石台の表面を仕上げて行きます。

まずは側面、裏、丸みのあるところなど鉋を使って仕上げて行きます。

 

 

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丸みのある所も豆鉋で仕上げます。

 

 

 

 

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漆が乗りやすいように表面をサンドペーパーで仕上げます。

 

 

 

 

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これで漆を塗る下準備が出来ました。

 

 

 

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同時並行で砥石台を制作してます。

他の台もこれからサンドペーパーをかけて同時に漆を塗ります。

 

 

 

 

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上がペーパーを当てる前

 

 

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ペーパーを当てた後です。

 

 

 

 

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本来ならば絵皿に漆を入れるのですが、台の砥石が入る場所に漆をたっぷりといれ、布で拭きます。

 

 

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すべて拭き取るような気持ちで、何度も布で漆を拭き取り、ムラがなくなったら台と砥石を接着します。

接着は麦漆接着します。

小麦粉と漆を混ぜたものを使います。

下の画像は砥石をヒックリ返し、厚めに麦漆を盛ってます。

 

 

 

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別の砥石ですが、そのまま台に載せて上からぎゅっと力を加えて厚めに盛り上げた麦漆を伸ばします。

 

 

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隙間が出来るので、漆と砥の粉を練った錆び漆を隙間に詰めて全体に伸ばします。

 

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砥石の側面も漆で拭いて行きます。

 

 

 

 

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漆が塗り上がりました。

後は漆が固まったら、砥石の表面を奇麗に研ぎだして完成です。

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砥石台を作る 前編

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砥石台を制作する前に上の画像の砥石をこれから台をつけます。

これらの砥石は実は何度か台をつけようと思っていたのですが、とても大切な石で今までは濡れタオルの上にのせて使っていました。

木の台をつけると漆で接着する事になり、取り外せなくなります。

それで台をつけるのをためらっていたのですが、やはり木でできた机の上でも砥げようにしたい、机の上で砥げると、楽に砥ぐことができます。

それに机に接している面が前後の端だけで面積も小さくなり、がたつきもなくなります。

なので使いやすさを優先いたしました。

 

 

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仮に木の台の上に砥石を置いてみました。

 

 

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上の画像の砥石をメインに制作行程をご紹介いたします。

 

 

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厚みを確認してどのぐらい深く彫るのかイメージします。

 

 

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まずは石を置いて鉛筆で線を引きます。

 

 

 

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線の内側を印刀の彫刻刀でたてこみを入れます。

 

 

 

 

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たてこみを入れた線にそって丸刀を入れます。

 

 

 

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丸刀は幅の半分ぐらいの場所から一気にたてこみ線まで押し込んでいます。

 

 

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全体的に浅めに丸刀を入れます。

この段階では一発で深いところまで丸刀を入れようとはしません。

 

 

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次に、最初に印刀を使って立て込みを入れましたが、同じようにたてこみを入れて丸刀を入れます。

これを所定の深さまで何度か繰り返します。

 

 

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上の画像は石を仮置きしてみました。

入らないので少しずつ側面を微調整します。

 

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少し入りました。

 

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少し入ったところの引っかかった場所に黒が付着しています。

黒が付着しているところを彫刻刀を使い削り落とします。

 

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さらに底の面のぼこぼこになった表面を平刀を使い平らにしていきます。

 

 

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砥石がほぼ入りました。

 

 

 

 

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裏返します。

 

 

 

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小さな足を彫りだします。

彫りだしに使うのは丸刀を使い、目分量ですが、等間隔で丸刀を入れてます。

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反対側も丸刀を入れます。

 

 

 

 

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真ん中で丸刀の彫り跡がつながりました。

 

 

 

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次に砥石の表面の角を落とします。

 

 

 

 

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ほぼ仕上げ前の状態まで出来ました。

 

 

 

 

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次は台を仕上げていきます。

 

次へ

 

 

京都でお買い物 ー 菊一文字、鳩居堂 ー  

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今日は夕方、菊一文字という刃物屋さんに行こうと4日前から決めていました。

菊一文字の閉店時間が夕方6時30分までだったのですが、閉店時間が30分早くなったので何とか買いにいけるのが今日でした。

丸刀の裏を研ぐ砥石が欲しくて、別の刃物屋さんでも購入していたのですが、ほとんど私が買って、そのまま供給できていない状態でした。

それで菊一文字にあるという情報を聞いたので、早速行ってきました。

そしたら欲しかった3ミリ幅の石も置いてあって、3ミリと6ミリを、とりあえず5枚購入させてもらいました。

もう少しゆっくりと物色したかったのですが、閉店間際だったので次の鳩居堂へ急いでいきました。

鳩居堂では、お皿に入った金泥と小さな筆を購入、こちらも閉店間際なので物色せずに目的の物を購入して閉店となります。

鳩居堂は魅力的な商品が多く、店内の雰囲気も上品でいつも、お香の香りが漂っています。

今回初めて金泥のお皿を購入したのですが、いつもは葉書や封筒などの書き物を購入しています。

お気に入りの紙や筆やペンを使うと、書くという作業ではなく、書きたい雰囲気や気分にさせてもらえます。

近くにお気に入りの道具を購入できる環境に今日はなんだか感謝したい気持ちになりました。

実は、当たり前だと思っていた事が最近思うところがあって本当は恵まれていたのだなと気付かされました。

丸刀の裏を砥ぐ石なんて日本全国、どこでも手軽に購入できる物でもないし、特殊な細筆、金泥も大型ショッピングモールには置いていない。

今回購入した金泥は、香合佛に金線を描く為に購入しました。

翌日の日曜日に一日ゆっくりと金線で描きたいと思います。

 

 

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向って左がお皿に入った金泥、細筆、丸刀の裏研ぎ用の砥石

 

 

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本金の色はとても上品で、仏像の高貴な雰囲気にぴったりの色です。

ただ、金を定着させるための膠が入っていないので、薄めた膠を筆に含ませて使います。

砥石桶の砥石台を作る 後編

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漆接着が固まったので、丸ダボを鋸で切断します。

 

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最後に彫刻刀で仕上げるので面すれすれに切断せずに少し残します。

 

 

 

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鋸の跡を彫刻刀で削り、面をフラットにします。

 

 

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豆鉋で削っている場所は下の画像と同じ足の側面です。

天板の幅に合わせて削っていますが、鉋がない場合は下の用に彫刻刀で削ります。

 

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桶にセットして完成です。

 

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砥石を置いて試し研ぎしてみます。

上の砥石は、巣板という赤いまだら模様の入っている美しい砥石です。

これは京都で採掘される砥石の端材です。

小さな彫刻刀を砥ぐには使いやすいサイズです。

このぐらいのサイズだと、砥石桶とのバランスがぴったりです。

 

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上の砥石は一般的な大きさですが、載せてみると桶の幅いっぱいになります。

桶に対して砥石は少し大きめかなと思いました。

 

 

 

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上の画像は天然の中砥石です。

青砥と呼ばれているグレーの砥石です。

人造砥石のキングの中砥石と仕上げ砥石の間に使っています。

 

 

 

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砥石が大きいかなと思いましたが、実際に使ってみると十分使えます。

 

 

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これからも砥ぐのが一段と楽しくなります。

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砥石桶の砥石台を作る 前編

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この砥石桶と台は譲り受けた物です。

桶の形は楕円形をしています。

この楕円の長い場所に砥石台を載せてその上に砥石を載せて下のように研ぎます。

非常に長く使われていたのですが、素晴らしい事に水を入れても漏れることもありません。

試しに研いでみました。

研いでみると台が少しがたつくところがありましたので、この台だけを新しく作り直す事にしました。

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まずは材料を揃えます。

檜材を3枚用意しました。

 

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天板の板1枚と足を2枚少し大きめの物を使います。

 

 

 

 

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微調整は彫刻刀を使って仕上げるので、少し大きめに鉛筆で目安線を描きます。

 

 

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カットしただけではまだまだ大きいです。

下の画像のように彫刻刀で斜めにカットして、桶に入る幅を微調整しながら少しずつ下げていきます。

 

 

 

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上の画像はまだ入りきれていませんがこのぐらいになって初めて慎重に作業を進めて桶の高さと同じになるようにします。

 

 

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上の画像は板の幅に合わせて足の幅を揃えています。

下の画像は仮にセットしてみました。

 

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足は上から見ると長方形なので桶の丸みに合わせて削り合わせています。

 

 

 

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あるていど彫刻刀で削れたら、豆鉋で仕上げます。

 

 

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これで足は桶のアールにあいました。

次に足と天板をくっつけます。

まずは足が当たる箇所を鉛筆で線を引き、天板と桶の高さが合うよう鉛筆の線を基準にして段差を作ります。

 

 

 

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鋸をいれたら横から彫刻刀で木目に沿って割るように削り落とします。

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桶と台をセットしてみました。

高さがフラットになったら今度は足と天板を固定するためにまずは穴をあけて丸ダボを入れます。

 

 

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丸ダボを入れる位置に鉛筆で印を付けて、まずは錐を使って穴を小さくあけます。

 

 

 

 

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次に小さくあいた穴にドリルを使って穴をあけます。

 

 

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天板の穴があいたら、きっちりと固定してまずは片方の穴を天板から足にかけて深くまでドリルを入れます。

そして、一つ穴があいたら丸ダボを一本入れて固定しもう一つの穴をあけます。

穴があいたら同じように丸ダボを入れ、計四本同じ作業を繰り返します。

 

 

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麦と漆を使って練った漆接着材を作り、漆で接着します。

 

 

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接着できました。

 

 

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桶の中に入れて固まるのをしばらく待ちます。

続く

 

日本の玄能の魅力

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画像には三種類の玄能がありますが真ん中の玄能はよく使います。

小玄能といいますが、今回柄に汚れが目立ってきたので、表面を鉋で薄く落として、木の素地の状態にしました。

その上から椿油を全体に塗って久しぶりに鎚の手入れをしていました。

日曜大工で見かける金槌は上の柄のように真っすぐではなく持ち手のところが少しへこませて、持ちやすくしています。

私はへこませていない、真っすぐな柄の方が好きです、画像ではわかりづらいですが、わずかに持ち手の部分がへこんでいます。

一度使うとこの柄の形、小さいながら重量のある玄能を手放せなくなります。

もう20年近く使用していますが、まだまだ現役です。

そして、画像の下の細い玄能は豆玄能と呼び、骨董市で手に入れた物です。

とても繊細な作業をするときに使用します。

一番大きな玄能は鍛冶屋さんで直接手に入れた物です。

この玄能は大きいのですが、柄の長さが短くしてあるので小回りが利きます。

どの玄能も見た目の大きさ以上に重いです。

ずっしりとして、それが作業する上でとても扱いやすく、振り上げてたあとに重力に任せて落とします。

ですので、コントロールにだけ集中できます。

小さいのにずっしりと重いというのは作業をするのに大変重宝します。

合掌

 

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奇麗な彫刻刀と彫るための用と美を兼ね備えた彫刻刀の違い

私が彫刻を始めた20年程前、初めてちゃんとした彫刻刀を購入した一本が三分の印刀でした。

その一本を使って、花菱(幾何学紋の花)を板に彫る練習をして、次に手足を彫るときは、3本に増えていました。

そして、次に顔を彫り、全身を彫るようになった頃には30本程になっていたと思います。

その頃の私の彫刻刀の柄は漆塗りに興味があったので、下地に赤を塗りその上から黒を塗り重ねて、固まってからペーパーで一部を強く擦り、所々下地の赤が見えるような柄を作って楽しんでいました。

その時は格好良いと思って使ってその漆塗りの柄を握り数ヶ月間彫刻をしていましたが、彫刻を教えていただいた仏師の先生の柄をみると、柄の表面は何も塗っていなくて彫刻で使える程度に粗く仕上げた彫刻刀の跡が残っていて、それが手で何度も何度も使っているうちに木の色も変わり落ち着いた風貌になっていました。

もちろん塗ってあるのもあったのですが、それも同じようにあまり奇麗に仕上げずに荒削りの状態の上から薄らと塗ってありました。

それらの柄は当初感じていた、粗雑な感じの印象だったのが変わっていて、その削り跡が素朴な味わいに見えてきました。

そのような事がきっかけで次に私がした行動は、彫刻刀の柄の漆を全部削り取って、素朴な味わいになるような柄を目指して、作りなおしていました。

その柄をしばらく使っていたのですが、どうも仏師の先生のような統一感のある素朴な雰囲気ではなく、アンバランスな苦心して素朴感をだしたようのな雰囲気になってしまいました。

いつの間にか私は仏像を彫るという事から、道具を美しく見せるという事に興味が移っていました。

沢山の道草をしてしまいましたが、たどり着いた結果、道具は仏像を彫るための補佐に過ぎないという事です。

どんなに高価な鋼を使おうが、道具に細工を施そうが、沢山の彫刻刀を集めようが、美しく洗練された仏像をさらに言えば仏像の高尚な表情が彫れる事が一番重要であるということです。

仏像を彫るための補佐的な彫刻刀ですが、以前にも書いたと思いますが、仏像を彫りながら、年月を重ねて、少しずつ手に馴染む個々人それぞれの道具に仕立てていく事が、控えめでありながら道具としての用と美を兼ね備えた道具に仕上がっていくのではないだろうかと最近ではそう感じています。

道具に限らず色々な道草を沢山したおかげで私は、仏像を彫れるようになるのに普通の仏師の1.8倍の年月が かかったように思います。

私の性格は、どっしりと腰を据えて一つの物事に取り込もうとしていても、あれもやってみたいこれもしてみたいと、結構いいかげんなところがあります。

そういうことで私のブログを読んでいただいている読者はもしかしたら、仏像を彫れるようになるのに普通の仏像彫刻のテキスト本と比べて2倍近く時間がかかるかもしれませんが、それは覚悟してください。

ゴールを先に延ばしにして余裕を持って、いろいろな経験を積みながら仏像が彫れるようになる方が、私は楽しく生きられるのではないかと思います。

私は道具に興味があるときは全力で道具に目を奪われる時期も必要だと思います。

美しい道具、沢山の道具を見せびらかして良い仏像が彫れると勘違いしてしまう可能性がありますが、別に勘違いしても良いのかなあとも思います。

あとで確実に勘違いしていたと恥ずかしくなるのは個々人の差はあるかもしれませんが時間の問題です。

それもまた苦い経験を沢山積んできたからこそ、これから彫刻を始める人に対しておおらかに優しく接する人間に成長できるのであれば、全てひっくるめて良い経験なのかも知れません。

 

合掌

彫刻刀の柄の先を短くする

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彫刻刀を毎日使用していると、刃の部分が短くなってきます。

刃先が木の柄に近づいてきて、使い勝手が少しずつ悪くなってきます。

短い方が大きな力を加えやすいのですが、微妙な彫刻をするのには刃先が長く出ていた方が使いやすい場合の方が多いので、柄の先を削って刃を出してみたいと思います。

 

 

 

 

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まず最初に印刀で短くしたい長さに切り込みを入れます。

 

 

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切り込んだところは薄く残しているので、上から軽く刃を入れると下の画像のように感嘆に木が取れます。

 

 

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同じ要領で反対側も削ります。

 

 

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柄の先は斜めに落として、形を整えます。

 

 

 

 

 

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柄の先は印刀を裏にして、金属部分に刃が当たらないようにゆっくりと削り仕上げます。

最後に全体の形を整えたら完成です。

 

 

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道具の種類

彫刻刀に柄をつける

彫刻刀の柄を割って作る

ペンケースに入れる彫刻刀を改良してみる

二種類の砥石を使って彫刻刀を砥ぐ

彫刻刀の刃先が欠けたら

丸刀の研ぎ方

彫刻刀の柄を削って丸刀の刃先を長くする

彫刻刀の柄の先に糸を巻き付ける