仏像の手の彫刻 握り手の制作行程 6

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まだまだ細かいところはカクカクしていますが、それぞれの指や手の膨らみはほぼ見えてきました。

これからは細かい彫刻に取りかかります。

 

 

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まず最初に指先を形作ります。

指先は最も肝心な手の表情を表現する箇所でもあり、上品な雰囲気を表したりもします。

それぞれの指の力の入れ具合ですが、これもはっきりと決まっている訳でもなく

以前も書きましたが、小指と人差し指は力を抜き中指と薬指は力を入れるという関係もどのように説明すれば良いか難しいところです。

あえて伝えるならば全体を見ながら細かいところを彫り、また細かいところを彫っているときでも全体を見ているという感覚で上記を意識しながら指を形作ります。

 

 

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人差し指は親指に軽く添えているので、どの指よりも後ろに力がかかっています。

 

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人差し指の次に小指が少し後ろに力がかかっています。

かかっているというよりは力を抜いている状態です。

 

 

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中指と薬指は後ろから見ると内側に入り込んでいます。

 

 

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指先の彫刻はこの辺にして今度は手首につける飾りを彫刻します。

 

 

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飾りをつけますが、まずは鉛筆に沿って切り込みを入れます。

そして下の画像のように、横から印刀で薄く削ります。

 

 

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手首の飾りの周辺は徐々に薄く削りだして奇麗に整えていきます。

 

 

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仏像の手の彫刻 握り手の制作行程 5

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この段階では、5本の指を漠然と彫りだしています。

小指なら内側の薬指にかかるようにまた人差し指も中指にかかるように厚みを持たせて微調整がきくようにします。

 

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上の写真のように指が右方向にいくにつれて人差し指から小指の幅が若干狭くなるようにします。

 

 

 

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小指の隙間も彫りだしますがこのときに小指が所定の厚みよりも細くなってしまうことがあります。

あまり深追いせずに厚みも残しつつ彫っています。

 

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中指と薬指が所定の位置に決まると、指と指の境目の刻みを作ります。

 

 

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この段階でも小指はまだ薬指にかぶせています。

形は出てきましたが、この段階では指全体のフォルムを見ながら厚みを揃え、指先が中央に向かって内側を向くように意識をします。

 

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まずは小指と人差し指の指先を意識しています。

指先はつま先よりもその下の中央がふくれるように、横から見ると爪の部分が少しへこむようにしています。

少しへこますだけで指先の雰囲気が出てきます。

 

 

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後ろから見て指の厚みがまだ不揃いですが厚みを揃えるように意識しながら刻み箇所をゆるく決めていきます。

 

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仏像の手の彫刻 握り手の制作行程 4

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握り手の荒彫り途中です。

今までは外側からけずっていましたが、この段階までくると握り込んでいる内側の削りに入っていきます。

赤ちゃんのような膨らみを意識しながら彫刻します。

しかし、丸く弾力感を残しながら彫るのは初めて彫る人には難しいでしょう。

おそらく彫りすぎて細くなります。

それでも思い切って荒彫りしてみてください。

上手くはいかないと思いますが、しかし誰でも最初は通る道です。

以前にも説明したかもしれませんが、早く上達するには、失敗覚悟で思い切った彫刻をする事です。

 

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薬指と中指の隙間の溝を彫る前に手首を削ります。

当初は手首を彫る予定ではありませんでした。

しかし、腕と手のつなぎ目、顔なら顔と首と胸の関係など、全身像に移る前に境目を彫っておいた方が、スムーズに移れると思ったからです。

ですので手首の一部も一緒に彫る事にします。

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上の画像で刻みを入れる場所はどこでも良いのですが、私の場合持ちやすいように切れないところにしています。

 

 

 

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手首の最初の荒彫りの段階では根元の方は太く残しながら全体的に彫り足りないと感じるぐらいでやめておきます。

 

 

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手首との境目は弾力感を出すために小さな膨らみを作ります。

 

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仏像の手の彫刻 握り手の制作行程 3

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このブログを書いている私が手の彫刻をしているにもかかわらず、どのように説明をすれば良いのか、全くわからなくなってきました。

 

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丸く彫刻をして、手の弾力感や膨らみを残しつつ赤ちゃんのような手をイメージするように彫り進めていくのですが、写真をみて、この通り進めてください、といえばそれですむのですが、それでは私の文章力が育たないので、ない頭を振り絞って書いてみます。

下の写真は親指が正面にきていますので親指から説明したいと思います。

親指の彫り方というよりは膨らませ方と言った方がよいのかもしれません。

一番膨らんでいる箇所は第一関節のあたりです。

そこを頂点として周りを丸めていきます。

親指の先は少し長めにしておきます。

そして徐々に所定の位置まで短く彫っていきます。

 

 

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次に親指以外の四指を解説するとすれば、中指と薬指が握り込んでいるので中に沈み込みます。

しかし沈み込ますときにきっちりと二本の指を沈み込ませるのではなく、小指と人差し指が微調整できるように沈み込ませる幅を短くしておきます。

 

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どのような彫刻でもそうですが、まんべんなく彫りだしていきます。

前の段階も途中段階で今度は親指を丸め、人差し指の輪郭線を決めていきます。

第一関節、第二関節で曲がっているという感覚を想像しながら、カクカクっと人差し指の輪郭線が荒彫り段階で刻まれています。

これは仕上げになると、丸くなりますが、丸くなる中にも若干このカクカクっとしたのが、よく見れば見えるというような仕上げ方にします。

 

 

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後ろの方も中指、薬指が沈んでいるので小さい幅で沈み込ませます。

 

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人差し指の鉛筆線を描き込みましたが感じを見るためなので、まだ彫りません。

 

 

 

 

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親指と人差し指の穴の中央から徐々に開けていきます。

今はこの程度に押さえておきす。

 

 

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人差し指と小指の境目を少しはっきりとさせていきます。

 

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仏像の手の彫刻 握り手の制作行程 2

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握り手の制作行程1からずいぶん日数が立ちましたが、前のリンクを貼付けておきます。

握り手のの制作行程1

握り手は数年前に彫刻をした手の見本があるのでそれを見本に角材の状態から彫りだしていきます。

彫刻道具

印刀 三分から七分 (9ミリ〜21ミリ) 一本

平刀 幅 一分五里 (4.5ミリ)      一本

丸刀 幅 一分 (3ミリ)        一本

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人差し指は親指に接して、中指、薬指は強く握り、小指は力を抜かせるようなイメージで下書きをします。

 

 

 

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完成の握り手では手首も彫りだしていますが、ある程度、握り手の形が出てくるまでは、手首の事は考えずに握り手に集中します。

 

 

 

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丸めるように外側から彫り進めて徐々に内側の中指、薬指の指先の刻みを入れていきます。

 

 

 

 

 

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親指と人差し指の間の物を持つ穴を最初に決めて凹みをつけると握っている雰囲気が見えてきます。

 

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challenge 3  顔と手をリアルに再現

仏頭

仏頭

握り手

握り手

開き手

開き手

challenge 3

challenge シリーズも第三弾目になります。

カッターナイフで仏像彫刻→一本の印刀で仏像彫刻→複数の彫刻刀で仏像彫刻がこの段三段目にあたります。

第三弾目の次がこのブログでも以前ご紹介しました寄木造りの制作行程にでてくる釈迦如来坐像と吉祥天像で、その他の彫刻としては初音ミクの制作行程です。

つまり第三弾目の顔と手がきっちりと彫る事ができましたら、全身像を彫刻したとしても、スムーズに入っていけます。

彫刻刀を握るのが小学校以来経験がないという人もいると思いますしそういう人の方が大半ではないでしょうか。

カッターナイフで仏像彫刻から始めなくてもいきなり第三弾目の顔と手を挑戦しても私はかまわないと思います。

また、初音ミクの彫刻から初めても問題ないと思います。

私も彫刻を習い始めた頃は、無謀な挑戦をよくしました。

失敗しないように、そして手本のように作ろう、作れるはずだと自分に言い聞かせて難しい事にチャレンジしました。

しかしなかなかうまくいかず沢山失敗して基本の大切さを痛い程知る事になりました。

しかし、基本から順を追って彫刻をするのもなんだか面白くないと思います。

本来ならば基本の大切さをアピールしないといけないのですが。

しかし、なぜ彫刻をしたいのか、なぜピアノが弾きたいのか、なぜサッカーがしたいのか、それは一流のプレーや作品の凄みに感動して、自分もそんな風になりたい、作りたいという気持ちが心の底からわき上がってくるからです。

いきなり応用をやりたいと思うはずです。

その気持ちを大切にして、無謀な挑戦をどんどんする事で自分の特性がどういうものか人知れず黙って挑戦してみてください。

仏像の手の彫刻 握り手の制作行程 1


前回、開き手をご紹介しましたが、今回の握り手は開き手同様に、仏像の手の形の中で最もよく表現されています。

この二種類の手の形をきっちりとマスターをすれば、いろいろな手の表現の応用も比較的スムーズに表現できるようになります。

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仏像は、お顔の表情で善し悪しが決まりますが、古くて素晴らしい仏像の多くはその手もまた素晴らしい表情をしています。

 

 

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私はそんな拝みたくなるような気品のある手を目指していますが、お顔と同様に難しいところです。

拝みたくなるような手ってどういう姿なのだろうかと考えたりしますが、私がこの握り手を作るにあたって注意しているところがあります。

5本の指の中で一番しっかりと握り込んでいる指が中指です。

次に握り込んでいる指が薬指です。

軽く触れている指が人差し指と親指です。

そして力を抜いた指が小指です。

 

 

 

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仮に全ての指に力が入ると、忿怒形のようにぎゅっと握りしめて、全体的に力が入りすぎます。

仏像を全体的に見て、手だけぎゅっと握りしめた状態だと、見ている方も力が入ります。

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その反対に握り手なのに、全ての指に力が入っていない状態だと、だるい感じの印象を受けます。

全体的に仏像を見て、手だけ指に力が入っていないとやはり、疲れて力を抜いた感じに見えます。

 

 

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古くて、拝みたくなるような、素晴らしい仏像に出会うと、手の力の入れ具合などの微妙なバランスが実に巧く表現されています。

どこかに力が入るとそのバランスを取るようにどこかに力を抜かせます。

その差をどのように巧みに表現するかによって、さらに深みのある仏像に仕上がるのではないだろうかと模索しています。

 

 

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続く

仏像の手の彫刻 開き手の彫刻 1 

仏像の手は、顔に並んで難しい彫刻です。

しかし、顔と手が彫れるようになると、どんな物でも彫れるという自信がつきます。

仏像の手はいままでどのぐらい彫刻してきたのか正確に計った事はありませんが、1000近くは彫刻しているのではないだろうかと思います。

顔もそうですが、彫りすぎたりしてなかなか理想の形にたどり着くのは難しいですが、何度も何度もチャレンジして理想の姿にいつかたどり着きたいと思います。

仏像の手は赤ちゃんの手がとても参考になります。

赤ちゃんのように柔和なボリュームがあって、無駄な部分を削ぎ落としていくような作業です。

次回は、四角い木から彫りだしていきたいと思います。

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続く