古書に「砥は王城五里を離れず。帝都に随ひて産す」
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この砥とは京都の鳴滝砥石を指していて、京都に都が置かれた千余年前から切り出された石だろうと言われています。
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京都の工芸技術を支えたこの砥石は、世界中どこを探してもここ京都やごく一部滋賀にしか産出しない貴重な石です。
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非常に切れ味の良い刃がつきます。
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日本の仏像の材質である柔らかいヒノキが広く使われだしたのが平安時代も後期の方ですが、それ以前の木材は、硬い桜材やカヤ材などでした。
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不思議に思うかもしれませんが柔らかい木を綺麗に削るのは非常に鋭利な刃物でないと削れません。
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硬い木だと多少切れ味が悪くてもなんとか仕上げることができます。
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おそらく平安時代に入り、京都の砥石が使われだして、柔らかいヒノキが材質として利用され徐々に広まっていったのではないだろうかと想像致します。
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砥石が及ぼした影響はその後の京都の工芸品を見れば明らかに違いが出てきます。 ・ 漆工芸、竹細工、着物、指物、建具、建築、などなど、ありとあらゆるモノづくりに影響を与え続けてより洗練度を増してきました。
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しかしそんな貴重な砥石の生まれた背景を知るには2億年前まで遡らなければいけません。
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海底に漂っていた放散虫(2〜3ミクロンの石英)が千年に1ミリという極めて穏やかな速度で静かに堆積したのが始まりだと言われています。
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2億年前の放散虫の堆積や偶然の自然現象の重なりで、元々海底だった砥石の層が、ここ京都で取れるようになった偶然。
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なんだか勿体無い砥ぎができないなと思ってしまいます。m(._.)m この、ひと砥ぎ何年分なんだろうか(≧∇≦)