胎蔵界 195 蘇婆呼菩薩尊像

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蘇婆呼菩薩・そばこぼさつ(梵名:Subahuスバーフ)

身色 肌色 左手 蓮華を持つ、その蓮華の上には青蓮華を立てる。

蘇婆呼(Subahuスバーフ)は訳して、妙臂。 この妙臂菩薩が質問して金剛薬叉大将が答説するという『蘇婆呼童子請問経』という経典があります。

印と種字が一致するところから『大日経』の安慧菩薩は住慧菩薩とも呼びます。

安慧、住慧というのは常にその慧に安住して衆生を利するところから名付けられました。

『諸尊便覧』などには三形を蓮華上一鈷杵とありますが、蓮華上青蓮華に改められました。 なお蘇婆呼菩薩は童子形に描かれるのを常としています。

合掌 taizoukai-195-2

胎蔵界 194 無垢逝菩薩尊像

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無垢逝菩薩尊像

無垢逝菩薩・むくぜいぼさつ(梵名:Vimalagatiヴィマラガティ)

身色 肌色
左手 羂索を持つ。
右手 施無畏印
台座 赤い蓮華に坐る

別の説によれば

身色 白黄色
左手 羂索を持つ。羂索の頭に蓮華がある。
台座 赤い蓮華に坐る。

『大日経』の虚空無垢菩薩とおなじであるようです。
虚空のように無垢なる清浄慧の徳を表します。
尊名の無垢逝は無垢(vimala)なる慧をもって空を行じ、真如に去り(gati)行くことを示します。
左手に持つ蓮華索は自性清浄なることをあらわしているようで、『諸尊便覧』などには三形を蓮華上青蓮華と
するが蓮華索に改められたようです。
合掌

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胎蔵界 188 不空鉤観自在菩薩尊像

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不空鉤観自在菩薩・ふくうこうかんじざいぼさつ(梵名:Amoghankusaアモーガーンクシャ)

身色 肌色
身体 三面各三目四臂
面  左右の面は青色
右の第一の手 三鈷杵を持つ
右の第二の手 三鈷鉤を捧げ持つ
左の第一の手 蓮華を持つ
左の第二の手 羂索を下し垂れる。
台座 赤い蓮華に坐る。

『大日経』の行慧菩薩がこの尊像に当たります。
智慧を行じて衆生を利益する菩薩であるようです。
鉤は一切衆生を引きよせ救い上げる誓いを表します。
不空羂索観音と同体とされ千手眼観自在菩薩の眷属であるとされています。

合掌

 

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胎蔵界 184 智波羅蜜菩薩尊像 

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智波羅蜜菩薩・ちはらみつ(梵名:Jnanaparamitaジュニヤーナパーラミター)

身色 肌色。

右手 梵篋を持つ。

服装 羯磨衣を着し、下に白帖衣を着す。

台座 白い蓮華に坐る。

十波羅蜜の第十、智の徳を表します。
第六の般若波羅蜜が剣を持して煩悩を切断し、彼岸に渡らしめる実相智(世俗を超えた智)を示すのに対し、
この智波羅蜜は梵篋を持して世俗的な智である差別智を示しています。
すなわち、一切の衆生を正しく見て教化する智慧を表しています。

合掌

taizoukai-184-2

 

 

胎蔵界 187 忿怒鉤観自在菩薩尊像

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忿怒鉤観自在菩薩・ふんぬこうかんじざいぼさつ (梵名:Amoghakrodhankusaraja アモーガクローダーンクシャラージャ)

身色 正面肌色 左面青色 右面黒色

髻  頂に菩薩あり、その両手にはそれぞれ剣を持つ

手  4臂(四本の手)があり
第一の右手 三鈷鉤
第二の右手 施無畏の印を結ぶ
第一の左手 蓮華を持つ
第二の左手 羂索を持つ

三面 面ごとに頂に化仏がある

台座 赤い蓮華に坐る

『広大軌』などには蓮華印菩薩とあります。
忿怒の三昧に入った観自在菩薩が、慈悲の鉤をもって衆生を化導することを表しています。

合掌

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胎蔵界 147 優婆髻設尼童女

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優婆髻設尼童女・うばけいしにどうにょ(梵名:Upakesiniウパケーシニー)

身色 黄色。

右手 独鈷戟を持つ。

左手 掌を立てて、中指と薬指を屈す。

台座 赤蓮華に坐す。

三形の輸羅(sula)は、鋭い槍で、『大日経疏』に「妙慧を以て、無知を穿ち実相に達す」とあるように、鋭い智慧を表します。

種字のdiliは、『大日経疏』によれば、diは施者を表し、liは三昧の相を表します。

無相の三昧の中においてよく一切の願を成就すると説く。それゆえこの尊は、文殊菩薩の布施の徳を司ります。

合掌

 

 

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胎蔵界 203 孔雀王母

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孔雀王母・くじゃくおうも(梵名:Mahamayayuri マハーマユーリー)

身色 肉色

右手 孔雀の尾羽を持つ

左手 開蓮華を持つ。

台座 赤蓮華に坐す。

インドでは古来より孔雀は猛毒の蛇を食するので不思議な霊力があるとされました。

それゆえ、孔雀の真言を唱えることで毒を払うと信じられました。

釈尊の弟子の阿難は、ある比丘が毒蛇に咬まれて苦しむのを釈尊に伝えたところ、この孔雀の真言伝授されたと伝えられています。

この真言=明呪の霊験が特に顕著なので、孔雀明王とも称されているようですが、一般の忿怒形の明王とは異なり、本来は菩薩であるとされています。

漢訳の尊名に王母とするのは、真言陀羅尼を司る王(明王)の功徳を生み出す力を明王の母に喩えた命名であります。

手に持つ蓮華は、大悲を表し、この尊を単独で修法する一尊法の場合には、孔雀に乗った四臂あるいは六臂の像がしばしば用いられています。

合掌

 

 

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胎蔵界 197 蘇悉地羯羅菩薩尊像

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蘇悉地羯羅菩薩尊像・そしつちからぼさつ(Susiddhikara スシツデイカラ)

身色 白黄色

両手 胸に当てて印を結ぶ

台座 赤蓮華に坐る

『広大軌』などでは出現智菩薩といい、『大日経』には出てきません。

蘇悉地(susiddhi)は妙成就と訳し、羯羅(kara)とは作るという意味で、妙成就を完成したものの意味です。

妙成就には五種あります。

1、精進

2、明王

3、除障

4、もろもろの勇猛事

5、一切の真言

合掌



 

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胎蔵界 196 金剛針菩薩尊像

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金剛針菩薩尊像ーこんごうしんぼさつ(梵名:Vajrasuciヴァジュラスーチ)

身色 白黄色

左手 独鈷杵を載せた蓮華を持つ

右手 中指と薬指を屈し、小指と人差し指を伸ばす。

台座 白い蓮台に坐る。

印と真言が同じであところから、kお金剛手院の金剛説菩薩と同体であると考えられます。

金剛の針が何ものをも貫くように、針のような智慧をもって、一切法を貫きとおす徳を表します。

合掌

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胎蔵界 139 月光菩薩尊像

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月光菩薩尊像 がっこうぼさつ(梵字:Chandraprabha チャドラプラパ)

身色 黄色

左手 未開敷蓮華を持つ。

右手 半月をのせた青蓮華を持つ。

姿  童子形

髪  三髻にする。

台座 赤蓮華に坐す。

日光菩薩と共に、薬師如来の脇侍にもなっています。

青蓮上の半月は、法王を目指す文殊菩薩の修行中の智慧を表しています。

衆生を導く姿を、半月が次第に満ちていくさまとして示しています。

そして金剛界曼荼羅にも描かれています。

 

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