茶杓の銘「わすれ衣」と勝手に銘々しました。
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天女の衣が棗の上に乗っかりそのまま大空に登っていってしまいました。
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そんな「わすれ衣」、天衣を表現しています。
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天衣は、天女や忿怒尊のような仁王像などにも表現されています。
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仏像の天衣は、作り手によって様々に個性的に表現されていて面白いのですが、とても上手に出来た天衣は仏像の動きに合わせてバランスよくなびいていて、手の動きの躍動感をも感じさせます。
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そして、天衣だけを注目すると木という材質を感じさせない息を吹きかけただけで今にもふわっと飛んでしまいそうになるような表現をしています。
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しかし、ただ軽いだけでなく何処か一箇所か二箇所に力が加えて抑揚をつけなければ、全体としての見た目がただ軽い物になってしまいます。
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その辺りの頃合いをうまくつけられるかどうか制作者の美的感覚を試されるところです。
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美しい天衣の力作といえば平等院鳳凰堂の天女がとても美しいと感じます。
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中でも平安時代の制作当初の彫刻が残っている、本尊の阿弥陀如来像を彫刻した定朝さんの天女はとてもバランスのとれた素晴らしい天女です。
そういう天女を見ると私も彫ってみたいと思います。
やはり優れた彫刻を模して作るのは一番良い修練になります。
さて、今回の「わすれ衣」いつか天女があらわれて返してくださいと現れるのでしょうか。
いつかお目にかかる日を夢見て茶杓を削ってみました。
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