金剛界 77  水天

kongoukai 77-2

水天 (梵名:Varuna ヴァルナ)

この尊像は水天(すいてん)です。

浅い青の肌色で、右手に龍索を執り、左手は拳にして腰に伏せます。

外金剛部二十天の一で、北方に位置しています。

五類天の中では地居天の一尊、種字はna(ダ)と呼びますが蛇を意味するナーガの頭文字で水と蛇は密接な関係にあります。

合掌

kongoukai 77-1

 

 

金剛界 64 月天

kongoukai 64-2

月天(梵名:Chandra チャンドラ)

この尊像は月天(がってん)です。

童子の姿をしていて右手は胸前で半月を持ちます。

左手は拳にして腰におきます。

外金剛部二十天の一で、南方に位置しています。

月光は冷たく輝き、それは煩悩の熱悩を冷却し清涼の境地に導く功徳があります。

三形の半月は定を示し、日天の日輪の慧に対します。

右手を定手(じょうしゅ)、左手を慧手(えしゅ)と呼びます。

合掌

 

kongoukai 64-1

金剛界 75  調伏天

kongoukai 75-2

調伏天(Vajrajaya ヴァジュラジャヤ)

この尊像は調伏天(ちょうふくてん)です。

お姿は象頭人身で右手は拳にして、左手は三鈷剣を執ります。

毘那耶迦の一類。

外金剛部二十天の一つで北方に位置します。

『金剛頂経』巻10では尊名を勝、密号を最勝金剛としてサンスクリット語ではジャヤーヴァハと伝わります。

しかし、アーヴァハが持ち運ぶと誤読され、愛持と訳されています。

合掌

kongoukai 75-1

 

 

金剛界 63 日天

kongoukai 63-2

日天(梵天:Aditya アーデイトヤ)

この尊像は日天(にってん)です。

右手を胸前で仰げ、その上に日輪を置きます。

左手は拳にして腰に置きます。

この日天尊像は外金剛部二十天の一つで、南方に位置します。

五類天の中では飛行天の一つ。

『金剛頂経』巻10は甘露軍荼利、『賢劫十六尊』の真言では金剛軍荼利としますが、古来より日天とされて来ました。

そのため種字のア、三形の日輪、印相の日天印はいずれも日天のものです。

合掌

kongoukai 63-1

 

 

金剛界 61 梵天 

kongoukai 61-2

梵天(梵天:Brahma ブラフマー)

この尊像は梵天(ぼんてん)です。

梵天像のお姿ですが、右手に紅蓮華を持ち、左手は臍前におきます。

外金剛部二十天の一で、東方に位置します。

五類天の中では三界主の一。

十二天のとしては上方の守護を司ります。

密号の寂黙(mauna)は古代インドの修行者の総称の牟尼(muni)に由来しています。

牟尼は宇宙の根本存在である梵(ブラフマン)との一体感を求めて思索し、ひたすら沈黙の生活に徹しました。

釈尊もそのような宗教者の一人で釈迦牟尼と呼ばれています。

ブラフマンは元来ヴェーダ聖典の讃歌などの神秘的なことばを意味していました。

後に宇宙創造の神話が発達すると創造主として、生類の主(ブラージャーパティ)などが現れるに至りました。

根本原理であった梵は神格化され、梵天となりました。

梵天は宇宙の創造を司る最高位を占めます。

しかし、後世のヒンドゥー教の宇宙論では、創造・維持・破壊の中、創造の一部門を司る地位に後退しました。

梵天は仏教においては、釈尊の成道に際し、帝釈天と共に説法を懇願し、また仏教守護の善天として知られています。

仏教の世界観である須弥山世界にあっては、色界の初禅天に位置しています。

合掌

 

kongoukai 61-1

 

金剛界 60 金剛摧天 

kongoukai 60-2

金剛摧天 (梵名:Vajravikirana ヴァジュラヴィキラナ)

この尊像は、金剛摧天(こんごうざいてん)です。

体は人ですが、頭は象です。

右手で傘蓋を持ち、左手を添えます。

毘盧耶迦(びなやか)の一類。

外金剛部二十天で、東方に位置しています。

名前のヴィキラナは粉砕を意味しています。

密号の舜拏はサンスクリット語のシャウンダ(Saunda)が当てられ、酒精、酔いを意味しています。

合掌

kongoukai 60-1

金剛界 59 倶摩羅天

kongoukai 59-1

倶摩羅天(梵名:Kumara クマーラ)

この尊像は倶摩羅天(くまらてん)です。

青緑色で童子のお姿をしていて、左手は拳にして腰に当てます。

右手は胸前で鈴を執ります。

外金剛部二十天の一で、東方に位置しています。

古いインドの名前、梵名のクマーラは少年や童子という意味のようで『金剛頂経』巻10では童子天と呼ばれています。

サンスクリットでは、この尊像の名前をサナトクマーラ(永遠の青年)としています。

サナトクマーラは梵天の息子とも軍神スカンダともいわれています。

そして、倶摩羅天は大自在天の子とされており、その理由から『大日経疏』では混乱が見られ、スカンダを童子天と呼んでいます。

合掌

kongoukai 59-2

 

 

金剛界 27 金剛鬘菩薩尊像

kongoukai 27-2

金剛鬘菩薩尊像(梵名:Vajramala ヴァジュラマーラー)

この菩薩さまは金剛鬘菩薩(こんごうまんぼさつ)です。

天女のお姿で、両手は華鬘を持っています。

内の四供養の一尊で、成身会などの諸会の西南の月輪に位置します。

この菩薩さまは大日如来が南方の宝生如来を供養するために出生しました。

『金剛頂経』によれば宝鬘をもって供養する、とあります。

ここでは手に持つ華鬘は宝生如来の福智の二徳を讃えたもので、大日如来は金剛鬘菩薩を出生することをもって供養の意を表します。

合掌

kongoukai 27-1

金剛界 24 金剛牙菩薩尊像

kongoukai 24-2

金剛牙菩薩尊像(梵名:Vajrayaksa ヴァジュラヤクシャ)

この菩薩さまは金剛牙菩薩(こんごうげぼさつ)です。

お姿は、二手を金剛拳にして、外に向け、胸に当てます。

不空成就如来の四親近のうちの一尊で、不空成就如来の東(図では下)に佇んでいます。

梵名のヴァジュラヤクシャは金剛薬叉(ヤクシャ)という意味です。

薬叉は、インドのヴェーダ以前に遡って、古くから信じられた霊的な存在です。

初期の仏教では仏法の守護神として説話や仏塔彫刻などに端正な表情をした姿で登場します。

次第に羅刹と並んで猛々しいものと見なされ、人を食べる悪鬼と信じられました。

しかし、インドの神話では怪奇ではあるけれど、悪人のみを食べ、善人を守るとも信じられ、仏教の神話に取り入れられたようです。

『金剛頂経』には、口に金剛牙を持つ尊です。

この牙で一切の魔を摧伏するので摧一切魔菩薩ともいわれ、『理趣経』などにも登場します。

合掌

kongoukai 24-1

 

 

金剛界 23 金剛護菩薩尊像

kongoukai 23-1

金剛護菩薩尊像(梵名:Vajraraksa ヴァジュララクシャ)

この菩薩さまは金剛護菩薩(こんごうごぼさつ)です。

二本の手を胸前で金剛拳にして人差し指を伸ばし、端を相い対します。

不空成就如来の四親近のうちの一尊像です。

不空成就如来の西(画像では上)に位置します。

尊名の金剛護の「護」というのは、身を保護するものを意味します。

『金剛頂経』では、衆生界を救護し、また一切如来が金剛堅固な身を得ることであるとされています。

大乗仏教の菩薩行の理想では、菩薩は勇敢に衆生の救済に努めるのでありますが、そのためには菩薩の身を堅固に護らねばならない。

その場合に菩薩を護るのは菩薩行に努める精進であるとされました。

これが六波羅蜜のうちの精進波羅蜜です。

この尊像の密号を精進金剛としているのもそのためです。

武士が戦場で身を護るのに喩えて、甲冑で表しますが密教でも、この思想を取り入れ修法のはじめには身口意の三業を浄めて、菩薩の境地になって、甲冑を着る思いをして印契(いんけい)を結び、真言を唱えることを必ず行います。

甲冑を着て、制服し難いものに果敢に立ち向かうから、密号を難敵金剛とも呼ばれています。

また、この甲冑は菩薩行の基礎になる慈愛の心でもあるとされています。

合唱

kongoukai 23-2