金剛牙菩薩尊像(梵名:Vajrayaksa ヴァジュラヤクシャ)
この菩薩さまは金剛牙菩薩(こんごうげぼさつ)です。
お姿は、二手を金剛拳にして、外に向け、胸に当てます。
不空成就如来の四親近のうちの一尊で、不空成就如来の東(図では下)に佇んでいます。
梵名のヴァジュラヤクシャは金剛薬叉(ヤクシャ)という意味です。
薬叉は、インドのヴェーダ以前に遡って、古くから信じられた霊的な存在です。
初期の仏教では仏法の守護神として説話や仏塔彫刻などに端正な表情をした姿で登場します。
次第に羅刹と並んで猛々しいものと見なされ、人を食べる悪鬼と信じられました。
しかし、インドの神話では怪奇ではあるけれど、悪人のみを食べ、善人を守るとも信じられ、仏教の神話に取り入れられたようです。
『金剛頂経』には、口に金剛牙を持つ尊です。
この牙で一切の魔を摧伏するので摧一切魔菩薩ともいわれ、『理趣経』などにも登場します。
合掌