木彫りの初音ミク 完成

 

長くて短い10日間でした。

ようやく木彫りの初音ミクの着物姿をお披露目することができます。

材料は木曽檜で彫刻刀だけで仕上げていきました。

話は変わりますが、六本木ヒルズや高級スポーツカー、最先端を走っている人や物、建物などとは反対に、その真逆を仏師なり伝統工芸といわれる工芸技術者がいます。

1000年以上前から守り伝えられた伝統工芸は、どちらかというと新しさと真逆のようなところもあります。

私はフェラーリ、ポルシェ、ランボルギーニなど、乗りたいと思いますが、実際には手に入れる事はないでしょう。

しかし不思議に思うのですが、仏師や伝統工芸士といわれている人がスポーツカーに乗ると決して良くは思われない。

なぜ良く思われないのかというのはみなさんも感覚的によく分かっていらっしゃると思います。

特に伝統的色の強く、研鑽をつんでいるようなイメージのある技術などは、知らず知らずのうちに遊び心をセーブしているのではないだろうか、と感じることがあります。

私の初音ミクデビューは、遊び心を解き放つ、その第一歩になればと思います。

日本には欄間があります。

日本建築の内装の木彫装飾としてふすまなどの上によく見られますが、日本建築だけでなく、六本木ヒルズの内装に合う現代的で、技巧的で、デザインセンスのある欄間が、ITベンチャー企業のワンマン社長の独断と偏見で六本木ヒルズの内装に造られたら面白いだろうなあと、勝手ながら想像していました。

予算は1億円で、一流のデザイナーに作図してもらい、贅沢な材料で、最高の技術を使って、作り上げられたらどれだけ面白いだろうか。

見るだけで、わくわくします。

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目次

初音ミクの全身像の彫刻 1(着物)

木彫りの初音ミクの途中段階 2

初音ミクの全身像の仕上げ前の段階 3

初音ミクのお顔の修正 4

木彫りの初音ミク 5 完成

初音ミクのお顔の修正 

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連日、お顔の修正に取り組んでいました。

細目の平刀、丸刀、極浅丸刀、など細かい彫刻刀を駆使して微妙な顔の面を小刻みに修正していました。

仏像のお顔では、あご回りは風船を膨らませたかのように丸く膨らんでいます。

しかし初音ミクのフィギュアなどは、あごが尖がっています。

私は、仏像のお顔を沢山彫っているせいか、仏像のお顔の膨らみを作るのには慣れているために尖らすのに躊躇していました。

いつもの彫癖を打破すべく、思い切ってとは言わず、恐る恐るあごを尖らせたり、鼻を極度に小さくしたり、目を大きくしたり、と不安を抱えながら彫り進めていきました。

何とか今日、仕上げの一歩手前まで進むことができました。

 

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初音ミクの全身像の彫刻 1(着物)

木彫りの初音ミクの途中段階 2

初音ミクの全身像の仕上げ前の段階 3

初音ミクのお顔の修正 4

木彫りの初音ミク 5 完成

初音ミクの全身像の仕上げ前の段階

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今回の彫刻で一気に仕上げようと思っていたのですが、お顔の表情がなかなか決まらず、表情の微調整をもう少し詰めていけば、後は仕上げる段階に移りたいと思います。

しかし、これ以上触ると、表情が崩れていきそうなので一時休みます。

今までに私は、仏さまのお顔は当然のこととして、人間の顔も挑戦したことがありましたが、人間でもない仏さまでもない、キャラクターのお顔はまさに未知の領域だったと彫進めながら漠然と思っていました。

彫る前の私はアニメの顔は簡単なのではないだろうかという勝手な思い込みがあったのだと思います。

しかし、目が普通ではありえないぐらい大きな目をしていたり、全体のデフォルメのやり方など、かなり難しいと感じていました。

芸子さんをモデルにしているので、楽しい表情、真剣な表情、崇高な自尊心、美しいしぐさ、などが表情に織り込まなければいけないのだと思いますが、目が大きいのでそれがかえって表情を作るうえで難しくしています。

あと少しで仕上げだとはいえ、実際に彫り始めるとあっという間に4時間ほど経過していたという事にもなりかねません。

着物姿をどこまで細く見せるのか、それも気を使っています。

あまり細すぎても、力が抜けたような雰囲気にもなるし、初音ミクの細さと着物の厚み等を考え、ちょうど良いバランスの細さにしていきたいと思います。

 

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初音ミクの全身像の彫刻 1(着物)

木彫りの初音ミクの途中段階 2

初音ミクの全身像の仕上げ前の段階 3

初音ミクのお顔の修正 4

木彫りの初音ミク 5 完成

木彫りの初音ミクの途中段階

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全身像の初音ミクはゆっくりと時間をかけて彫刻する予定でした。

3日前に作り始めてから楽しくてどんどん彫り進めていきました。

何かキャラクターを作りたいという気持ちは、何年も前から思っていたことですが、実際に作り始めるまでが長かったです。

作り始めると、あとは私の手が勝手に動くだけなので、YouTubeなどを楽しみながら彫り進めていくことになりますが、その代りキーボードは木屑だらけになるのは覚悟しないといけませんが。

 

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かといってYouTubeを見ながら彫れるところと彫れないところがあります。

ポイントとなる部分ですが、お顔、手、衣のしわを入れる個所、肘や膝など体のポイントとなる場所をどの部分に配置し着物で隠れて見えていなくても膨らみやへこませることでイメージさせるかなど、数えあげたら結構ありますね。

一枚の芸子さんの写真を参考に私なりのイメージで制作していますので、見えていない部分が果たしてこのような姿なのかは、本当のことはわかりません。

しかし、右足を前に出したときに左足はおそらくこの位置にあるだろうという事は、厳密には難しいですが大体は、あっていると思います。

本当は粘土を使って最初になれておくのが普通なのですが、今回は粘土をこねている時間がもったいないと思い、いきなり木に写してみました。

その代り多少の失敗しても修正が効くように、片方の面から攻めていき形が崩れていきそうになっても奥のほうがなにも彫っていないので修正は奥に彫進めるという具合で徐々に周りから囲い込んでいくように彫刻していきました。

失敗が効かない木彫はそれだけに神経を使います。(YouTubeみている場合じゃないですね。)

 

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初音ミクの全身像の彫刻 1(着物)

木彫りの初音ミクの途中段階 2

初音ミクの全身像の仕上げ前の段階 3

初音ミクのお顔の修正 4

木彫りの初音ミク 5 完成

初音ミクの全身像の彫刻(着物)

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初音ミクの全身像の彫刻 1(着物)

木彫りの初音ミクの途中段階 2

初音ミクの全身像の仕上げ前の段階 3

初音ミクのお顔の修正 4

木彫りの初音ミク 5 完成

前回、私は掌に乗るサイズの香合の初音ミクをレリーフで制作しました。

今回はその続編という事で全身像を彫刻してみようと思います。

私が初音ミクを彫刻しようと思うに至ったいきさつは、検索エンジンで3Dプリンターを調べようと思ったら初音ミクの3D加工を木製で制作していた動画を見たのがきっかけでした。

それでは手彫りで彫刻をしている人はいるのだろうかと思い検索してみると意外にも少なく、その中でも台湾人の制作した初音ミクは、クオリティーが非常に高く、日本でそこまでのクオリティーで作っている人は、実際にはいるのかもしれませんが、検索しても出てきませんでした。

香合の初音ミクの件もあり、いつかはクオリティーの高いのを作ってみたいと思っていました。

もちろん着物姿での制作です。

話はそれますが、私が小学生の時に広隆寺でみた仏像に圧倒された経験がありました。

それは、クオリティーの高さとか表情の豊かさ、迫力です。

その当時はすごいと感じていただけですが。

衣のなびいている表現、衣文線(衣のしわ)のリアリティー、仏像の肌に触れでば、人間の肌のように柔らかくへこむのではないだろうかと思えるような表現力など、とても人間技とは思えない技術に圧倒されていたのだと思います。

私はたまたま仏像に圧倒されたのですが、もしかしたら別の何か違うものでも、リアリティーや迫力を感じられるものがあれば、同じように感じていたのかもしれません。

仏像なら多くの仏師さんが沢山ネットに配信しているので仏像だけでなく、もっと多くの人に楽しんで見てもらえるような、そしてクオリティーの高いものを披露できたら面白いだろうなと思っていました。

それで初音ミクを作ってみようと思ったのですが、みんなのためとかっこ良い事を書きながら実際には私の自己満足の世界なのかもしれませんが。

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木彫の初音ミクを制作してみる 6 完成

 

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あともう少しです。

顔は目が難しいのは言うまでもありませんが、鼻、唇もそれ以上にもしかしたら難しいかもしれません。

初音ミクの場合、鼻は少し出ているだけなので、小鼻は表現していませんが、仏像などは鼻、小鼻、目と鼻の間の境目などは、何度彫刻しても難しく感じます。

おそらく、初音ミクの場合一番難しいのが唇ではないだろうかと思います。

アニメでは細くて小さな線で表現されています。

これを彫刻で表現するのは難しいだろうなと感じていました。

下唇をうっすらと表現することにしました。

 

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完成です。

結局これだけ、彫刻刀を使いました。

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後は、箱の表面を鉋で削り、真田紐を通して持ち運びもできるようになりました。

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最後になりましたが、クリプトン・フューチャー・メディア代表取締役の伊藤博之さんには大変感謝をいたしております。

初音ミクの著作権について販売目的以外の利用を自由にしてくださり、安心して彫進めることができました。

本当にありがとうございました。

そして初音ミクを通して木彫の面白さをみなさんと共有できたこと、私も大変励みになります。

 

木彫の初音ミクを制作してみる 5

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仕上げの一歩前の段階の状態です。

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手は顔の次に難しく、顔と手がうまく彫れると、見栄えがぐっと上がります。

逆に顔と手がいまいちだと、全体をどれだけ仕上げても、思っているような彫刻に近づくことができないぐらい重要な部分です。

手には抹茶椀を持たせています。

左手で抹茶椀の高台(底)を持ち、右手で添えています。

ここまで小さいと逆に難しいのですが、親指とその他の手で構成されていた手に4本の指を彫りだしていきますが、その前に鉛筆で指と指の間の溝を描きます。

シャープペンのほうが良いと思いますが、鉛筆も先を鋭利にすると描くことができます。

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それでは溝を彫りだしていきます。

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手が決まってきたら抹茶椀の淵を鉛筆で描き丸刀で浅く彫りだします。

 

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顔も少しずつ幅1.5mmの平刀で小刻みに仕上げていきます。

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香佛舎 木彫りの初音ミクのギャラリー

    木彫りの初音ミクの制作工程

 

 

木彫りの初音ミクを制作してみる 4

 

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顔を奥に彫りこみ目の位置も微妙に決めていきます。

この段階ではまだ目の位置がはっきりしていません。

全体的にまだ修正がきく範囲内で彫進めているのでボリュームを持たせたいところ、削るところを鉛筆を使って描きます。

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アニメの顔を彫刻するのは初めてなので試行錯誤しながらの状態です。

アニメの場合、はっきりとした色の区別で表情を表していますが、色を使わない彫刻の場合、非常に難しいと感じました。

鼻ほんの少し膨らんでいるだけで、唇もあるのかないのか、わかりにくいぐらい小さいので、できるだけ浅く彫ってみました。

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ここまで小さいものを彫ると、特に表情は鉛筆の線があることによって表情がわかりにくくなります。

浅く彫った後は、幅1.5mmほどの平刀で小刻みに表情を整えていきます。

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顔ばかり彫ると全体が見えなくなるので、その他の個所も気になった点を彫刻します。

この段階まで顔ができると、深追いしないほうが良いです。

一度、休息を入れましょう。

ここで、熱中しすぎて顔ばかり彫っていくと、やる気がある気持ちとは裏腹に当初の頭の中で思い描いた顔から遠ざかってきます。

 

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この段階で、前髪のボリュームがあるので、角度によっては顔が陰になって見えなかったり、陰で表情が変わってきたりします。

そのため前髪も浅くしていきます。

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着物のしわは、実際の着物のイメージ写真を見ながら彫刻すると良いと思います。

洋服とは違う雰囲気のしわなので、色々と参考にしてください。

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香佛舎 木彫りの初音ミクのギャラリー

    木彫りの初音ミクの制作工程