今回は、前回の三尊像と比べてさらに細かく彫り進めていきます。
まずは現状を様々な角度から見てみます。
次に、千手観音像の蓮弁を彫りだしていきます。
最初にペンで蓮弁を描きます。
左右に持った槍と錫杖も同じくペンで描いています。
そしてペンで描いた所を彫刻刀で立て込みを入れて一枚一枚段差を付けて蓮弁を彫りだします。
左右に持たせた槍と錫杖はまだ細かく彫り込まずに荒彫りで止めておきます。
次に手を描き込みます。
後ろの手は雰囲気をつかむ為に描いていますが、実際には微妙に変わって来ると思います。
今回は三尊像の体のラインとボリュームを決めてみました。

毘沙門天像はお腹にボリュームをつけているのですが、太っているのではなくて、恰幅を良く見せる為につけています。
そして足先を決める事により足回りがすっきりとしてきます。

飯綱権現像はくちばしをあまり目立たせないようにしました。
そして、着衣は色々と悩んでいたのですが、平安時代の不動明王の衣を意識して彫刻をしました。
江戸時代の像は衣が複雑に絡み合うようなひだひだの感じが多くて、私自身すっきりしないイメージがありました。
そこで、着衣が飯綱権現と不動明王がほぼ同じなので、古い仏像のすっきりとした平安時代を意識した着衣にしてみました。
千手観音像は今の段階では、十一面観音の姿ですが後ろの複数の手はこの本体がきっちりと決まってから考えます。
前回は若干顔が前に出すぎていたので、前回のお顔からさらに鼻先を削り全体的に後ろにしました。
お腹周りはお腹にボリュームを持たせつつ、スリムにしていき、膝前はまずは膝の位置を決めて、ボリュームを残しつつ彫刻をしています。
今回は体のボリュームを決めたので次回の彫刻時にもう一度違和感があるかどうかを確認しつつ、衣紋線を描きます。
前回の彫刻から随分と経過しましたが、今回は表面を整えていきます。
毘沙門天像は顔が少し大きめだったので、顔の幅を小さくしました。
それから膝の位置をもう少し高くして、おなか周りを少し絞りました。
飯綱権現像は前回の状態から顔の前を削りました。
唇の形が鳥の唇なので前に飛び出している事を想定して、当初は顔の前面を残していたのですが、顔が全体的に前に出ていて安定感が取れなかったので顔の表情を削り落としました。
今の状態は、それから少し眼と唇を薄らと出した状態です。
実はくちばしを彫るという事ですが、この唇は鳥をモデルにしているのですが、私はいままで鳥の彫刻をしたのが18年前に一度だけあります。
その時は遊び半分で鳥を想像しながら彫刻していて、きちんと彫った事がありません。
前からインコの彫刻をしたいという事もあって、インコの彫刻にも挑戦してみたいと思います。
インコの彫刻のリンク貼付けておきます。
話がそれましたが、次に左手に持たせた羂索を持っているように見せるために左手の下に羂索の分け目をつくりました。
右手に持った宝剣は柄の部分を分けて手も小さくさせてもらいました。。
はじめて彫る飯綱権現像は衣の形や体の絞り方や光背の炎と髪の毛の関係など、色々と迷いが出てきました。
迷いが出たら彫らないのが鉄則です。
三尊形式に並べてみました。
この状態で十一面観音像の本体の方は、衣紋線を薄らと彫刻していますが、くっきりと決めずにバランスを取りながら今後も彫り進めてます。
今回、千手観音像は腕をさらに2本と冠の顔を表現します。
そして、鉛筆で細かく加筆したところを削り込みます。
飯綱権現像も同じように加筆して彫りだしますが、上からなぞった線は雰囲気を見る為に描いているので、どちらかというと立体感を気にしながら彫りながら考えます。
毘沙門天像は体に動きがあり、衣が翻っていたりして複雑な彫刻です。
基本は顔を中心として彫りだしていますが、他の箇所は一番手前の出っ張っているところを彫刻してから奥の方を彫っています。
三尊並べてみました。
ここまで来たらしばらくは手を止めて、他の事をしながら自分の考えを成熟させる時間として使います。
それと、ブログの更新もしばらくは、お休みさせていただこうかと考えています。
仏像彫刻をしたい人が見に来ても困らないような作りにしたかったのですが、完璧とはいえませんが後は各自で試行錯誤しながらしていただいてと読者まかせですが、よろしくお願いいたします。
しかしメールやメッセージは一日一回は確認するようにしますので、お返事が出来るようにさせていただきます。
しばらくはゆっくりとした時間を作って、読書や英語の勉強や遊びやボケーとした時間に使いたいと思います。(笑)
三尊像は継続して投稿させていただきますが、その日程は現段階では未定です。
また仏像総覧のページも少しづつ加筆していきたいと考えていますが、Wikipediaのの解説はコピペが出来るようなのでまずはコピペをしながらWikipediaでも紹介されていない仏像もあるのでそういったページは空欄にして後で加筆したいと考えています。
それでは、皆さんよろしくお願いいたします。
毘沙門天像の彫刻を始めます。
まずは顔の周辺を彫刻します。
毘沙門天像は動きがあり複雑な形状をしているので顔を彫刻をしたら肩の周辺などはあまり思い切って彫りすぎないようにしています。
毘沙門天の持物が前に出ています。
それでまずは持物である槍と宝塔を残しながら毘沙門天の形を意識しながらほりますが、槍の棒は少し幅を広めに取っています。
最終的にはこの半分か3分の1程になるのでかなり細くなります。
それと下図を貼付けてから顔の位置が少し向って左に寄っているように感じたので、もう少し右側(外側)へ寄せて、もう少し顔が外を向くようにしました。
毘沙門天が踏んづけている邪鬼はまだはっきりとした形を決めていませんが、徐々に彫り進めながら決めていきます。
始めからきっちりと決めない理由は、立体感で見るのと図面だけで見るのではどうしても感じが違ってきます。
ですので下図を貼付ける事で、木取りの木の奥行きがわかりどのぐらい彫れるのかがはっきりとわかり、中の立体感が見えてきます。
逆に下図できっちりと決めすぎるとバランスが取りづらくなるので、全体を微調整できるように彫っています。
飯綱権現像は初めて彫刻をします。
それで飯綱権現の全体像は様々な御像を参考にさせていただいたのですが、顔の表情は三十三間堂の中の28部衆の中の伽楼羅像を参考にしようと考えています。
お顔の表情は大変凛々しくくちばしの表現なども大変参考になります。
彫刻をしながら迦楼羅の雰囲気を意識して細かく攻めていきたいと思います。
まずは顔の周辺からそして肩周りそして足元を荒彫りして行きます。
足下の動物は白狐です。
飯縄権現が乗っているこの白狐、もともとは狐ではなかったようです。
「野干(やかん)」または「射干(しゃかん)」と音表記された動物で、アラブ語やペルシャ語で「シャガール」「シガル」「シャガーラ」、フランス語やロシア語では「シャカル」、つまりイヌ科食肉目の「ジャッカル」のようです。
非常に頭が良く、 日本や中国にはいないようです。
狼やコヨーテに似ていて狐より小さく、木登りが得意といわれています。
この動物が中国では狐に当てはめられ、それがそのまま日本に伝わり「野干」=「狐の異名(または狐に似た動物)」と考えられるようになりました。
足下のよりも白狐の奥行きを意識して、思い切って足を奥になるように彫刻をします。
あまり奥まで行き過ぎると奥行きが足りなくなるのですが、白狐の顔の奥行きも必要なので加減を考えながら彫刻をします。
彫刻が進むにつれて下絵が消えていきますが、この段階では全体の姿と奥行きの関係を考えて全体的に彫り進めます。
本来ならば顔をこの段階では奥にするために鼻先に当たる面を削るのですが、くちばしの飛び出し具合がまだわからないので、しばらくは残し気味で彫り進めて行きます。
この段階でもくちばしの先は残しているのですが、おそらくもう少し奥にしても大丈夫だと思います。
三尊像の下書きの続きですが、中尊の千手観音像の大まかな雰囲気を描いている最中です。
脇侍の毘沙門天と飯綱権現像は少し輪郭線を整えた程度に描いています。
千手観音は合計四十二臂(42本)あります。
胸前で合掌する手を除いた40本の手それぞれに25の世界を救います。
40本×25世界で1000になります。
25世界というのは天上界から地獄まえでの25の世界があるという考え方からきています。
今回描いているのは合掌をする手と臍前で宝鉢(ほうはつ)を持っている手の4本を描いています。
後ろの38本の手を描く前にしっかりと体つきを描いておくことで出来るだけシンプルに考えるようにしています。
とりあえず今回はここまで、一旦離れます。