お地蔵さんの後頭部の彫刻

仏像の後頭部の彫刻の行程の写真はかなり少ないように思います。

そんな私もかなり仏像の制作行程の写真をアップしている方だと思いますが、それでも仏さんの後ろ姿は少なくなります。

今回、初めて後ろをメインにお地蔵さんの後ろ姿の彫刻を取り上げてみたいと思います。

後ろ姿を確認していると、こぶが二つついています。

今回はつけた彫刻をしてみますが、つけなくても良いです。

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ざっくりと彫刻を進めたところからスタートします。

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後頭部では耳との境目と首と二つのこぶのへこみの位置を決めて彫り込むと、少し後頭部としての雰囲気が出てきます。

そしてこの辺りから二つのこぶの段差をわずかに彫ります。

 

 

 

 

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大まかに、全体的に荒彫りが出来ましたので今度はこぶをしっかりとつけていきます。

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浅い丸刀を使ってサイドから徐々に内側に向けてこぶを削りだしています。

 

 

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大まかに彫ることができたら、ならしていきます。

 

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このあたりから、あまり分けすぎないようにして真ん中に刻みを入れて二つに分けます。

 

 

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徐々に細かい彫刻のタッチにしていき、彫り面を細かくしながら仕上げていきます。

 

 

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完成

彫刻前のお地蔵さんのお顔の作図

まずはYouTubeより

今回はお地蔵さんの作図をします。

彫刻でも作図でもお地蔵さんを選ぶ理由は、表情に集中できるからです。

そして髪がないのでシンプルでごまかしが効きません。

よく装飾が多く細部にまで徹底してこだわった方が良いように思われがちですが、たとえシンプルでも仏さんらしいフォルムをとらえて気品のある柔和な表情をとらえる事のほうが非常に難しいように思います。

これから描くお地蔵さんの仏頭ですが試しに描かれると、その経験が彫刻にも生かされると思います。

 

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まず上図の絵は何年も前から少しずつ描いては消してと繰り返して現在に至っています。

こういう修正と加筆が大変ためになります。

そして今から描くのは上の絵を参考に描いていたいと思います。

 

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まずは、スケッチブックに鉛筆にシャープペン(0.3㍉)を中心にそろえてみました。

 

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まずは真ん中に線を引きます。

 

 

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次に額口を決めてそこから上に半の長さが頭頂です。

一つが9センチにしました。

半が4.5センチになります。

幅は一つ半なので13.5センチになります。

額口から下に一つのところが口の部分です。

縦の総高が2つ半になります。

 

 

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まずはアウトラインの耳からうっすらと修正がきくように描きます。

次に頭頂のラインを描きます。

 

 

 

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そして目もうっすらと描きます。

目は少しのラインの変化で見た目が変わりますので消しゴムで簡単に消せる程度にします。

 

 

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目を描いてから口の位置を意識しながら鼻を描きます。

 

 

 

 

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鼻のすぐ下にラインが重なるように口を描きます。

微妙なところですが、鼻と口は離れすぎないように注意します。

鼻と目の位置関係は、鼻から目がとおざかるほど大人の顔になります。

鼻と目が近づくと童子のような表情に近づきます。

お地蔵様なので、その微妙なさじ加減で子供のような表情でも大人の凛々しい顔にしてもどちらでも良いと思います。

 

 

 

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薄らと目鼻口全体の線を決めずに描き込みます。

 

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鼻を消して少し少し上げます。

これは彫刻の癖で、最初に鼻の位置を下に描いていました。

 

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鼻を彫刻するように少し上にしました。

 

 

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目を描きます。

目が入る事で全体のバランスが見えてきます。

 

 

 

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定朝さんのお地蔵さんを確認していました。

私は定朝さんのお地蔵さんが一番、現存するお地蔵さんのなかで優雅だと思います。

 

 

 

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次に快慶作の地蔵菩薩像をかくにんしました。

快慶さんの仏像は大変繊細です。

 

 

 

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仏画も大変貴重な資料です。

 

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線はすべて同じ太さで同じ濃さにすると面白みがないので目頭と眉毛と輪郭線は特に濃く描きます。

 

 

 

 

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細かな修正をしていきます。

 

 

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最後に消しゴムで余分な線を消して描き残しがないかチェックして薄いところなどを見つけたらさらに描きこみます。

 

 

 

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完成

仏頭の彫刻 6

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中心線と額口そして額口から唇にかけて一つ(3.63㎝)の所に印を引きます。

 

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細かく修正します。

 

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すこし顎の下を彫り、顎を高くします。

それから全体を整えます。

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首の三道の位置も若干ずらします。

 

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ここからは、細かく仕上げていきます。

 

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個人的にあまり仕上げすぎない上の画像の状態ぐらいが私は木彫としてはちょうど良いようにも思います。

 

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さらに仕上げていきます。

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首の下の円柱の表面も細かく仕上げていきます。

 

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仏頭の彫刻 5

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次に首の3段のシワ(三道)をつくります。

慣れるまではシワの作り方も難しいのですが、できるだけ薄く彫ります。

 

 

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私は早い段階で目を薄らと彫ります。

めを彫ると全体の雰囲気が見えてきます。

そこから微調整をしていくのですが、あくまでも目は目安であって修正が利くようにします。

 

 

 

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仏頭の彫刻 4

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顔の表情がざっくりと削れたら段階に応じて細かいタッチに変えて彫刻をします。

しかしあまり細かくならないようにします。

細かくしすぎると、進み具合がわかりづらくなります。

 

 

 

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後頭部の首のすぐ上に上の画像のようにこぶのような段差がついています。

こぶのような段差がついていても、ついていなくてもどちらでも良いと思います。

 

 

 

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ここからは顔の表情を決める肝心な彫刻作業になります。

 

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遠目で見て膨らみなどを意識しながら仕上げないように彫りだします。

ほっぺから顎にかけての表現は口の中を基準に、そこに風船がはいっていて少し膨らましたようなイメージをしてみます。

そのイメージに近づくにはどこを彫ると膨らむのかを想像します。

 

 

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首はへこませていますが、出来るだけ顎のラインは深く彫りすぎないように注意します。

 

 

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耳の彫刻は耳の穴を基準に考えます。

耳の穴の高さは目よりも少し下にします。

耳の穴をスタートして?のようなラインを描きます。

 

 

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仏頭の彫刻 3

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いよいよ顔の表情を彫刻します。

まずは鼻先の下を余裕を残してカットします。

 

 

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次に片目ずつ目を大まかに彫りだします。

 

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続いて口の膨らみを彫りだします。

この時に口も顎に向って斜めにカットします。

 

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さらに眉の段差もカットします。

この時に丸刀があれば大変重宝します。

 

 

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唇は真ん中をあまり削らずに下唇の端をカットする気持ちで削ります。

 

 

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この段階で仏さんの顔に見えるように荒彫りをするのが理想的です。

 

 

 

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顔のが進むに従って、首の根っこも少しずつ細くしています。

 

 

 

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首を丸刀で少しずつ彫りだしていますが、彫り過ぎには注意します。

 

 

 

 

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仏頭の彫刻 2

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まずは、首の丸みをカットします。

 

 

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首が荒彫り出来たら、顔の角を丸めます。

 

 

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顎の下はこの段階ではかなり余裕があります。

最初に彫られる方はとても慎重になるかと思いますが、横から見て顎から耳タブの先にむかって下の画像の用にカットします。

 

 

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耳を残して後頭部の首回りもカットします。

 

 

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最初にカットしたところを基準にして丸めます。

 

 

 

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仏頭の彫刻 1

仏頭の彫刻 ーお地蔵さんのお顔ー

お地蔵さんのお顔の彫刻は以前より何度かご紹介いたしました。

今回は首の下が円柱のようになっているぐらいですが、こちらの方が顔だけに集中できるのではないだろうかと思いました。

まずは完成の仏頭から
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次にYouTubeにアップしたものを貼付けて見ました。

上の動画は写真を多用し、細かい段階のカットを100枚以上 1枚 1秒程度のスピードでご紹介しています。

 

上の動画は、回転のみで写真はあまり使っていません。

 

まず最初に、角材の段階からご紹介します。

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1つが1寸2分(3.63㎝)です。

1寸の長さを㎝に直すと3.03センチになります。

つまり上の画像でいえば、額口から口の長ささのところに目盛りがついていますがその長さが1つです。

幅は一つの1.5倍の長さです。

つまり幅は5.4㎝になります。

角材の長さは10.89㎝と余分の長さになります。

幅は5.4㎝になります。

奥行きは5.4㎝よりも少し長くして5.7㎝ぐらいにしておきます。

 

 

 

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耳の奥行きは鼻先から一つ(3.63㎝)の所に耳の中心が通ります。

耳の高さは額口の高さから一つと少し長めにします。

上の首の前の斜線の幅は5分(約1.5㎝)にします。

 

 

 

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まずは首の輪郭線をカットします。

 

 

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底面はコンパスで引いてあります。

直径は3.8㎝です。

 

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