彫刻刀の手入れというのは刃先が常に鋭利な状態に保つために、定期的に研ぐことです。
研ぎ方としては二通りあります。
砥石で研ぐ方法と研磨機で研ぐ方法です。
研磨機は、円盤状の砥石を電動で回転させて刃先を当てて研ぎます。
円盤状の砥石は荒砥石、中砥石、仕上げ用の柔らかい円盤の三種類があり、それらすべて回転しています。
研磨機で研ぐと早く砥ぐことができますが、やはり砥石で研いだ方が鋭い刃がつきます。
私はブログと香佛舎のウェブサイトを早く形にさせたかったので、最近はほとんど研磨機で研いでいました。
研磨機でも仕事に差し障るという事はないのですが、今日ようやくウェブサイトが一段落ついたので、改めて道具を砥石で研いでいました。
研ぐという行為は、気持ちが良いものだなあと、久しぶりにその快感に浸ることができました。
私は座禅をマスターしているわけではないので、偉そうな事を言えませんが、座禅では考えないようにしなければいけないのですが、それってものすごく難しいことで、考えないようにと思えば思うほど考えていることになります。
5秒ぐらいは考えていない状態は続いていたのかもしれませんが10秒は持ちません。
しかし砥石を研いでいるときは、今から思うと何も考えない状態が続いていたのかもしれません、研ぐという事に集中しているので、あまり他のことを考えなくてすみます。
少しでも角度が変わると良くないので角度を変えずに一定のリズムで押しては引き押しては引きの繰り返しです。
厳密には考えているのかもしれませんが、私は懐古主義にはあまりなりたくないのですが、しかし昔の人は今の人以上にたくさんの手間が日常生活に組み込まれていたと思います。
よく骨董市で見かける古い道具を見ると何気なく細工を施してあったり、ちょっとした遊び心を感じる瞬間があります。
もしかしたら、手間を楽しんでいたのかもしれませんね。