金剛界 9 金剛愛菩薩尊像

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金剛愛菩薩−こんごうあい(梵名:Vajraragaヴァジュララーガ)

身色 肌色

手  二手に煎(矢)を矯めた姿で坐る。

尊名の愛(raga)とは、仏教では一般に貪欲を意味し、善根を積む妨げとなる三種の煩悩、すなわち三毒の一つとされています。

この貪欲は菩提を得る際の障害であり、釈尊の成道の際にも誘惑者となって現れた。

それゆえ仏教ではこの貪欲を悪魔と見て、魔羅(mara)ともいう。

このようないわれの愛を名とする尊であるから、また魔羅菩薩とも称します。

密教はそれまでの仏教では否定すべきとされたさまざまな煩悩を抑制するよりも、その心の働きをより一層菩提のために活かすことを追求するので、この貪欲にも新たな意味を見いだし、尊格化しました。

すなわち、衆生が具える愛著や貪欲は、その欲求の本源においては、金剛薩埵が菩提へ向かう欲求と同じであるとされる。

このように、愛著や貪欲という一見否定すべきように思われる心も、その本源を洞察してみれば、金剛薩埵の清浄な菩提心の三昧の境地と同じです。

この立場を煩悩即菩提といいます。

この煩悩即菩薩という考えは、大乗仏教において教理的に確立されたが、それはまた、大乗仏教以前に展開した小乗仏教の煩悩否定の教理を乗り越えた大乗仏教のこの教理が、密教に受け継がれ展開しました。

合掌

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