二張の和傘9 ー最澄とベルギービールー

二張の和傘9 ー最澄とベルギービールー

平安時代

日本の三筆として嵯峨天皇、弘法大師、橘逸勢があ

げらます。

その中でも傑出して弘法大師が有名ですが、書の世

界では弘法大師の華々 しい陰に隠れて最澄は見過ご

されています。

私は、書道の手本については、先生から渡されたも

のを使用して、そのまま何も 考えずにただただ真

をして書いていました。

しかしご主人、「最澄の書は上品で、優雅な字を書

いているのだけどそれは性格にも表れているんです

よ。」とおっ しゃり、私はどのような字だったか

全く思い出せないというより、あまり意識していな

かったので全くわからなかった。

最澄の父親は中国から渡ってきた帰化人ですが近江

の国(滋賀県)に生まれています。

エリート出身の最澄は、遣唐使船にも潤沢な準備で

のぞんでいました。

遣唐使船で中国へ渡り、生きて帰れるかわからない

非常に危険な航海でしたが最澄は天台数学や真言密

教、など全般的に日本に持って帰りました。

余談ですが、実際には古代人の航海術は我々が想像

している以上に発展していて、中国へも自由に行き

来していたようです。

ではなぜ、遣唐使船、4隻のうち1隻しか無事に航海

できないといわれてるように危険だったのでしょう

か。

それは、占い師の権威が高く、航海をする手段はす

べて占い師が 決定していた事が大きいようです。

 

出発日時や航路など、占いのみをもって決められて

いたようでは、唐へ渡る 人々もたまったものではな

かったと思いますが、船についても体裁だけ整えて

いるため、ちょっとしたはずみで船底から海水が浸

入してくるといった状態でした。

もしかしたら島民に連れて行ってもらったほうが、

安全だったかもしれません。

彼らは、長い経験と感覚で、リスクのある無謀な航海

はしなかったことでしょう。

 

私は、エリートとは無縁の世界で生きてきました。

そういうことから、何の支援もないような境遇から自ら

努力して這い上がり、権威に対してそれに打ち勝つよう

な物語は 好きでよく見ました。

また主人公に感情移入して一喜一憂しながら観戦するの

はとても盛り上がります。

しかし、それにこだわりすぎると、逆に物を素直に見え

にくくしていることにもなります。

司馬遼太郎が書いた空海の風景を読んで、私は空海の泥

臭さ人間的魅力に魅せられましたがその対比として 最澄

があげられているところもありますが、最澄も努力をし

ていないわけではありません、非常に地味かもしれませ

んが、年下の空海に頭を下げて、真言密教の神髄の教え

を乞うといった素直さや心の余裕を感じさせます。

それが、字に表れているようです。

私はご主人と御婦人方、三人でベルギービールとピザを

頂きながら、しばらく書の話で話題がつきませんでした。

実はこの時、初めてベルギービールをいただきます。

修道院で作られた麦芽100%のビールは、とても濃厚で

贅沢な味でした。

食後には北京ガラスの小さな鉢に アイスクリームと

イフルーツをいれて目の前に用意していただきました。

その上にベルギービールをかけて食べるのがご主人の

物で、私も試しに頂きましたが、いままで食べたこと

ない味で美味しかった。

これは普通のビールだと、あっさりしすぎて薄味になりま

すが、ベルギービールの濃厚な味はアイスの甘さにはちょ

うどよい具合です。

ただ、カロリーも桁違いですが。

                                                                                         続く

 

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