今回は香合佛の全体を整えて、衣の彫りだしまでをしていきます。
まずは下線を描きたいのでその前に彫り残してある所や、木の細かな粉末を取り除いて描きやすくしていきます。
彫刻が整ってきたらシャープペンなどの細いペンで描き込みます。
下図を描き込んでいますが細かな所はあまり気にせず衣の輪郭線に重点を置き、衣紋線はまだこの段階では描きません。
この段階から細い平刀が重宝します。
今回から普賢菩薩像の彫刻にとりかかります。
まずは中心にコンパスのあとが付いているので中央を通るように真ん中に線を引きます。
そしてその線を基準に額口と膝張りを決めるとあとはラフに鉛筆で描き込みます。
彫るときに意識するのは中心線と額口の高さと膝張り(膝と膝の距離)です。
本体のボリュームを考えて削りだします。
全体的に少し大きめなので鉛筆で描き込みます。
ここからいつものように面相を刻み始めます。
まずは鼻から。
次に目を刻み込みます。
さらに鉛筆で線を描き込みます。
描き込んだ線はあくまでも基準線としてあとは彫りながらバランスをとります。
私の彫刻のやり方はもしかしたら初心者には難しい所があるかもしれません。
というのも、私が鉛筆で描く線はスケッチをする感覚です。
しかし一般的には、線は確定した線としてきっちりと線に沿って刻みを入れていきます。
私も昔はそのやり方だったのですが、このやり方はとても早く的確に作業を進めることができるのですが、あとで全体のバランスを調整しようと思ってもすでに線にきっちりと刻み込まれて、微調整がむずかしいということもあります。
そして、彫り進めながらバランスが見えてくるのですが、平面の状態に近いときに鉛筆できっちりと描き込んでも立体として表したときに微妙にバランスが変わってきます。
ですので、きっちりとした線は微調整を繰り返しながら完成に近づいたときに初めてきっちりとした線が見えてきます。
このやり方で気をつけないといけない点は先ほども書きましたが、中心線、額口、膝張り、肘の幅、顔の幅を押さえておきます。
そうすれば左右のバランスが崩れる事がないです。
まずは動画より
今回の香合佛の彫刻は白檀を使ってみます。
白檀を使った香合佛の彫刻ははじめてのご紹介となります。
今回彫刻をするのは下記の画像を参考にした香合佛ですが普賢菩薩像をもう少し大きくしようと思っています。
それでは取り組んでいきたいと思います。
まずは香合佛の厚みを鋸で決めます。
厚みは身と蓋が合わさった厚みプラス5㍉ぐらいを考えています。
木の厚みを切り取ると次ぎにコンパスを使って最大幅の長さで円を描きます。
丸い線に沿って余裕を持たせて鋸でカットしていきます。
上から見たら8画になります。
次に蓋と身を切り離します。
まずは切りはなす厚みの線を決めます。
蓋と身は同じ厚みではなくて身の方を少し大きめにとります。
鋸を使って身と蓋を切り離します。
切り離した白檀を今度は丸めます。
荒彫りで丸めていくと、上の画像のようにひびが入っていました。
このひびは削らないと分からないのですが、これでは人にお渡しできないので、白檀の残りの木を使ってもう一組、作りました。
するともう一組作った香合のほうにも上の画像のようにひびが入っていました。
ですので、ひびの入ったものはひびの入っている木同士、何も傷がない木は傷の入っていない木同士で組み合わせることにしました。
そしてひびの入っている方を私の守り本尊として、ひびの入っていない奇麗な状態の木をお客さんにお渡しする事にします。
上の画像ではひびの入っていない木同士を合わせてコンパスで内側の線を引いています。