胎蔵界 151 不思議慧童女尊像

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不思議慧童女・ふしぎえどうにょ(梵名:Acintyamati アチントヤマティ)

身色 肌色

手  両手で杖を持ち杖の上には半月があり、その上に星形がある。

姿  ひざまずいて蓮華に坐す。

『諸尊便覧』や『諸説不同記』には、サンスクリット名をキンカリニー(Kimkarini)とあります。

キンカリニーとは召使の女の意味で、不思議慧童女の尊名というより、この尊の左右に配された奉教者を指すとおもわれます。

不思議慧童女の尊名は文殊八大童女の一尊ですが、その由来は不明です。

不思議慧童女を中心とした5尊は、トムロの5尊と対象に配されており、真言も同じものを用いています。

合掌

 

 

 

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胎蔵界 140 妙音菩薩尊像

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妙音菩薩・みょうおんぼさつ(梵名:Manjughosa マンジュゴーシャ)

身色 黄色

左手 お経の入った箱を持つ

右手 青蓮華を持つ

姿  童子

髪  髪を三髻にする

台座 赤い蓮華に坐す

妙徳とも呼び『大日経疏』に「この尊は、大慈悲の心から妙なる法音をもって、衆生に説法し導く」とあるように、妙音菩薩は文殊菩薩の説法の徳を表します。

『秘蔵記』や『石山七集』などでは、この尊を五字文殊あるいは五髻文殊(ごけいもんじゅ)などとも称します。

五髻文殊の名は、この院の文殊菩薩が髪を五髻にしていることによります。

五字文殊も五髻文殊も、本来はこの院の主尊の文殊菩薩を指すものと思われます。

ここでいう妙音菩薩は、文殊菩薩の五智の一智を司る尊です。

合掌

 

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胎蔵界 103 如来愍菩薩尊像

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如来愍菩薩尊像・にょらいみんぼさつ(梵名:Tathagatamredita タターガタームレーディター)

身色 肌色

左手 宝珠を載せる

右手 花を盛った荷葉を持ち股の上に安ず。

尊名のアームレーディターは、繰り返されたという意味のようで、倦むことなく愍みを起こすことで、慈悲深い、憐れみ深いという意味になります。

種字のmreは『諸尊便覧』ではmaiとなります。

三形の宝珠は『諸説不同記』によります。

この尊は、如来慈・如来悲・如来喜・如来捨の四無量尊との五尊で一組となり、すなわち『大日経』では五浄居天を描く事になっています。

しかし現図曼荼羅には五浄居天はいない、そこでこの五尊が五居天にあたるとされていますが、直接のつながる点は見いだせていません。

合掌

 

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胎蔵界 99 大転輪仏頂 

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大転輪仏頂・だいてんりんぶっちょう(梵名:Mahosnisacakravartin マホーシュニーシャチヤクヴァルティン)

身色 黄色

右手 独鈷杵を載せた蓮華を持つ

左手 掌を立て、中指、薬指、小指を屈す。

台座 赤い蓮華に坐る

広大発生仏頂とも呼ばれています。

高仏頂・無量音声仏頂とともに三仏頂に数えられます。

この三仏頂は順次、仏部・金剛部・蓮華部の三部の徳を表したものをいいます。

大転輪の輪は、輪宝です。

本来は転輪聖王の持ち物で、戦争のときに軍隊の前にこれを揚げ、敵を破る象徴としました。

仏教ではこれを転じて、煩悩を破す武器として用いました。

それでこの尊像は、如来が煩悩を摧破する力を尊徳とします。

三形の独鈷杵は『諸説不同記』では五鈷杵となっていますが、こちらは『諸尊便覧』によります。

合掌

 

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胎蔵界 97 一切如来宝尊像

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一切如来宝・いっさいにょらいほう(梵名:Sarvatathagatamani サルバタターガタマニ)

身色 黄色

左手 宝珠を載せた蓮華を持つ。

右手 右掌を立てて、中、薬指、小指の三本の指を屈す。

台座 赤い蓮台に坐る

この尊像は『大日経』では遍知眼・能寂母といい、『大日経疏』では仏眼・仏母ともしょうされているようです。

『大日経疏』に「世尊び北辺に仏限を安置せよ。この尊は世尊の母であるので能寂母ともよびます。

衆生を救うため、如来はさまざまな姿に身を変え、慈眼をもって衆生を観察し導く」とあります。

それゆえ如来宝菩薩は、すべての衆生の願いに応じてさまざまな宝を生み出します。

この仏母の働きによって、この尊像は宝珠三昧ともいわれています。

三形の如意宝珠は、このような徳を示したものです。

合掌

 

 

 

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胎蔵界 202 不空供養宝菩薩尊像

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不空供養宝菩薩・ふくうくようほう(梵名:Amoghapujamani アモーガプージャーマニ)

身色 肌色

手  四臂(四本の腕)右の第一の手に剣、
第二の手に三鈷杵
左の第一の手に宝珠を載せた開いた蓮華を持つ
第二の手に羂索をもつ

台座 赤い蓮華に坐す

サンスクリットの尊名は「空しからざる供養の宝珠を具えるもの」という意味で、不空供養珠とも訳されているようです。
それゆえに、左の第一手に持つ花びらの開いた蓮華の上には宝珠を載せていることになっているようです。
尊名に見られる供養とは、塗香・華鬘・焼香・飲食などを諸仏諸菩薩に供養することです。
その空しからざる供養によって、衆生の苦を除き安楽をもたらす功徳が、如意宝珠のように思いのままであるのがこの尊像の特質
であるようです。
右手に持つ二種類の武器は煩悩を破り、左手の羂索は衆生の救済、そして開蓮華の上の宝珠は慈悲の働きと
その功徳が思いのままであることを表しています。

合掌

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胎蔵界 195 蘇婆呼菩薩尊像

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蘇婆呼菩薩・そばこぼさつ(梵名:Subahuスバーフ)

身色 肌色 左手 蓮華を持つ、その蓮華の上には青蓮華を立てる。

蘇婆呼(Subahuスバーフ)は訳して、妙臂。 この妙臂菩薩が質問して金剛薬叉大将が答説するという『蘇婆呼童子請問経』という経典があります。

印と種字が一致するところから『大日経』の安慧菩薩は住慧菩薩とも呼びます。

安慧、住慧というのは常にその慧に安住して衆生を利するところから名付けられました。

『諸尊便覧』などには三形を蓮華上一鈷杵とありますが、蓮華上青蓮華に改められました。 なお蘇婆呼菩薩は童子形に描かれるのを常としています。

合掌 taizoukai-195-2

胎蔵界 194 無垢逝菩薩尊像

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無垢逝菩薩尊像

無垢逝菩薩・むくぜいぼさつ(梵名:Vimalagatiヴィマラガティ)

身色 肌色
左手 羂索を持つ。
右手 施無畏印
台座 赤い蓮華に坐る

別の説によれば

身色 白黄色
左手 羂索を持つ。羂索の頭に蓮華がある。
台座 赤い蓮華に坐る。

『大日経』の虚空無垢菩薩とおなじであるようです。
虚空のように無垢なる清浄慧の徳を表します。
尊名の無垢逝は無垢(vimala)なる慧をもって空を行じ、真如に去り(gati)行くことを示します。
左手に持つ蓮華索は自性清浄なることをあらわしているようで、『諸尊便覧』などには三形を蓮華上青蓮華と
するが蓮華索に改められたようです。
合掌

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胎蔵界 188 不空鉤観自在菩薩尊像

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不空鉤観自在菩薩・ふくうこうかんじざいぼさつ(梵名:Amoghankusaアモーガーンクシャ)

身色 肌色
身体 三面各三目四臂
面  左右の面は青色
右の第一の手 三鈷杵を持つ
右の第二の手 三鈷鉤を捧げ持つ
左の第一の手 蓮華を持つ
左の第二の手 羂索を下し垂れる。
台座 赤い蓮華に坐る。

『大日経』の行慧菩薩がこの尊像に当たります。
智慧を行じて衆生を利益する菩薩であるようです。
鉤は一切衆生を引きよせ救い上げる誓いを表します。
不空羂索観音と同体とされ千手眼観自在菩薩の眷属であるとされています。

合掌

 

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胎蔵界 184 智波羅蜜菩薩尊像 

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智波羅蜜菩薩・ちはらみつ(梵名:Jnanaparamitaジュニヤーナパーラミター)

身色 肌色。

右手 梵篋を持つ。

服装 羯磨衣を着し、下に白帖衣を着す。

台座 白い蓮華に坐る。

十波羅蜜の第十、智の徳を表します。
第六の般若波羅蜜が剣を持して煩悩を切断し、彼岸に渡らしめる実相智(世俗を超えた智)を示すのに対し、
この智波羅蜜は梵篋を持して世俗的な智である差別智を示しています。
すなわち、一切の衆生を正しく見て教化する智慧を表しています。

合掌

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