差し込み式の香合佛 阿弥陀如来立像 薄彩色仕上げ

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薄彩色仕上げ

彩色仕上げには大きく分けて極彩色仕上げと、薄彩色仕上げがあります。

極彩色仕上げは、下地を漆でしっかりと固めて、その上に胡粉という白色で塗り真っ白にします。

その上から鮮やかな色を載せていきます。

薄彩色仕上げは、木地の上から直接彩色をします。

木目が見える程度に薄く色をのせるので薄彩色といわれています。

そして、今から仏像に色を施すのは、薄彩色になります。

今回使う色は群青と金色の二色になります。

阿弥陀様の髪の色に群青を載せて、衣に金彩を施します。

 

 

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金は本金を使用しますが、この大きな絵皿に入っている金は膠分が入っていないので、あらかじめ膠を薄めたぬるま湯をほんの少し用意して、それを筆に含ませて金を溶かしながら描いています。

 

 

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まずは髪に群青をのせました。

そして、金彩を施して完成とします。

 

 

 

 

 

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 香佛舎 制作行程

香佛舎 ギャラリー

 

 

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差し込み式の香合佛 阿弥陀如来立像 3 木地仕上げ

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阿弥陀様の香合佛の木地が仕上がりました。

木地と書きましたが、これから彩色を施します。

その前に木地で仕上げた状態をご紹介したいと思います。

 

 

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香合の蓋の外側だけ、細かいサンドペーパーで仕上げた上から椿油を薄く塗りました。

阿弥陀様は、彫刻刀のみの仕上げです。

 

 

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最後に手で差し込み式の香合佛をのせてもらいました。

 

 

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木地仕上げ 完成

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差し込み式の香合佛の制作行程 阿弥陀如来像 2

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実はこの差し込み式の香合佛は、途中彫刻をしない時期が長くて、上の状態からさらに2ヶ月程経過したのが下からの画像です。

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面相なども細かいですが、時間の経過とともに彫るべき箇所がだんだんと見えてきます。

顔を細かく調整し、手先の調整と手首をさらに細くして肘から手先にかけてのバランス見ながら彫り進みます。

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阿弥陀様のおなか周りで手と脇腹の間がへこんでいます。

そのへこんだ部分はかなりへこませます。

するとおなかが出てきて、仏様らしい雰囲気になります。

 

 

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以前、袈裟の線を下書きしましたが、もう一度描き込みます。

さらに袈裟の細かな衣紋線もえがきます。

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下図線に沿って刻みを入れますが、バランスが悪いと感じたら、彫りながら微調整します。

 

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次は形を作りながら仕上げていきます。

 

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香佛舎 制作行程 

差し込み式の香合佛に色を加える

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昨日、鳩居堂で手に入れた金泥を試してみました。

金の色がとても上品で筆に水で薄めた膠を含ませて金を溶かしながら彩色しています。

一番細い筆で描きます。

本来ならば金粉を膠を含んだ水と一緒に時間をかけて指で練り合わせます。

この練り合わせるのにとても時間がかかります。

時間をかける事で金色が筆で描きやすくなり描いた後がなめらかになります。

 

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最後にもういちど削り屑を確認して彫刻刀で整えたら完成です。

 

 

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彩色前の状態

 

合掌

白玉の水鳥を白檀で彫刻 後編

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この白玉の水鳥は後ろを向いて顔を体にくっつけている姿をしていて首の下に隙間が空いています。

この隙間は最後まで彫らずにきっちりと形が整ってから隙間を空けていきます。

 

 

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羽の下線を描いていくと、厚みを残すところと、彫りだす箇所が明確になってきて、画像では表現しきれない微妙なオウトツがよくわかるようになります。

すると迷いがなく彫り進む事ができます。

最後に首の隙間を貫通させて仕上げにかかります。

 

 

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今回は彫刻刀のみの仕上げで完成とします。

紙ヤスリなどを使って、表面をつるっとさせる仕上げ方もありますが、彫刻刀のみで仕上げます。

彫刻刀での仕上げだと削り後が若干残って木彫らしい仕上げになります。



香佛舎で制作行程をまとめました。

香佛舎 クリックするとページに進みます。

白玉の水鳥を白檀で模刻 前編

西洋などの豪華な石と言えばダイヤモンドなどきらきらと輝く石などが高級品として扱われていますが、日本でも、ヨーロッパなどで制作された宝石に魅了されている方々も多いと思います。

キラキラ輝く宝石に比べてアジアに目を向けると特に中国で産出される石の中でも白玉は、西洋で重宝されるような輝きを放ってはいませんが、どちらかというと鈍い光り方をしています。

しかし、この濁ったような石の質感ですが、身近でみると何とも言えない魅力を感じます。

中国では代々と玉(石)が珍重され、故宮博物館などでは国宝に指定されているものもあります。

今回、この水鳥の彫刻が施されている白玉(はくぎょく)を模して白檀に刻んでいきたいと思います。

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白檀の彫刻をブログに載せるのは意外と今回が初めてで、彫刻している最中、一刀、一刀彫るにつれ新鮮な白檀の匂いが漂ってきます。

白檀にも彫りやすいものと少し彫りづらいものがありますが、赤くて濃い色ほど彫りやすく、薄くなってくると彫りにくくなり見た目も、濃い色の方が白檀らしい奇麗な色に仕上がります。

今回、彫刻をした白檀の木は前者の赤くて濃い色の部類に入る木です。

 

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削ると削り屑がでますが、白檀や、香木と言われる貴重な木になると、この削り屑も捨てないで大事に取っておきます。

香りの成分の粉に使ったり、熱を加えて匂いを楽しんだりすることができます。

 

 

 

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白檀は固い木です、それで上の様に荒彫りの段階でも一刀一刀の刻みの面積は小さなものになり、仕上げの様に小刻みに荒彫りをしていきます。

柔らかい木のような感覚で彫るととても固いですが、彫り方を変えて小さく小刻みに時間をかけて彫ると適度な力で彫り上げる事が出来ます。

 

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続く

法華経のなかの釈迦三尊像

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厨子入り釈迦三尊像

携帯できる仏像の中ではもっとも手の込んだものになります。

中尊が釈迦如来坐像、この両脇の菩薩さまは末法に法華経を広めることをお釈迦さまから命じられた菩薩さまの代表です。

白象に乗っておられる向かって右が普賢菩薩騎象坐像、反対側の獅子に乗っておられるのは騎獅文殊菩薩坐像です。

お釈迦さまに近侍する菩薩として「釈迦三尊」という名称で一般的になりました。

制作者として中尊のお釈迦様は小さいのですがストレスなく彫れるぐらいの小ささで、その両脇の菩薩像のサイズが顔の長さ3mm程の寸法なので、これから面相を出すのが大変です。

といいながら大変というよりは、さらに小さい仏像をチャレンジしたいという欲求のほうが高いので早く彫りたいですがね。

 香佛舎 釈迦三尊像ギャラリー 

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香佛舎 六角の筒状の厨子入り観音菩薩立像

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香佛舎 六角の筒状の厨子入り観音菩薩立像

以前、丸い筒状の厨子入り釈迦如来立像をブログに公開しましたが、今回はその六角バージョンを制作しました。

丸い筒状の厨子を制作していた時に、四角、八角、十六角、三二角、丸(仕上げ)という手順で削っていたのですが、途中の八角の時に、八角もいいなと思っていたので今回は、六角で試しています。

八角ではない理由として、角の数ができるだけ少ないほうが、インパクトが強くなると思ってそうしたのですが、六角で少し不満が出てきたらその時に別の角数でも試してみたいと思います。

正円は轆轤(ろくろ)で作ると簡単にできてしまうので私が香合佛を作るうえで、轆轤では造れないような形状のものを作っていこうと考えています。

香佛舎 http://kougou.org/?page_id=1032

 

 

 

 

 

香佛舎 薬師如来坐像を追加しました

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香佛舎にアップする今回の香合佛は四角い檜(ひのき)の木にお薬師さんがレリーフで刻まれています。

その蓋は平たい状態から丸みをつけています。

今回お薬師さんを彫刻しようと思った理由ですが、私は曼荼羅を木彫で制作していますが、お薬師さんが一体もありません。

日本でもなじみのある薬師如来ですが、500体近い仏様が表現されている曼荼羅の中には一体もないというのも不思議な気持ちがします。

曼荼羅でご紹介できないということもあり、今回はお薬師さんを彫らせてもらいました。

日本に古く平安や鎌倉時代より現存するお薬師さんの中には持物である薬壺がなくなっている場合が多くあります。

それは、仕方がないといえば仕方がないのかもしれません、外れやすい持物が1000年近く左の手にずっと残っているというのは奇跡に近いと思います。

他の仏像でも言えますが、観音菩薩なら持物である蓮がなくなっていたり、不動明王の左手で持つ羂索が別のものになっていたりします。

しかし薬師如来の場合薬壺が紛失すると釈迦如来坐像と間違うことがあります。

お釈迦さんの姿もいくつか種類がありますが、その中に施無畏与願印というお姿が、薬壺を持っていないお薬師さんと同じになります。

補足ですが、人差し指を親指にくっつけて指で丸を作ると今度は阿弥陀如来坐像になります。

今回のお薬師さんの彫刻の参考にさせていただいた仏像は興福寺像(平安初期)、法隆寺像(平安時代)を主に参考にさせていただきました。

他にもいくつかありますが、大きなところではこの二体です。

法隆寺の薬師如来坐像は平安時代とかなり古いのですが、どうしてもさらに古い飛鳥時代の釈迦三尊像の陰に隠れてしまい、あまり大きく取り上げられることがありません。

法隆寺の薬師如来の台座は個人的にとても美しいと感じてみています。

派手な彫刻ではなくまた地味でもないのですが、全体の姿がまとまっていてちょうど良い塩梅でおさまっています。

それは台座の中に上から蓮台、華盤、返花、框など、それぞれのパーツの長さ、幅、厚み、遠くから見ても、どこのパーツも主張しすぎていないバランスの整った素晴らしい台座です。

法隆寺に参拝に行かれる際には是非、台座まで拝観してみてください。

また本体の説明は後日させてもらいます。

合掌

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香佛舎 弥勒菩薩の制作工程を追加

醍醐寺の三宝院に快慶作の弥勒菩薩坐像があります。

快慶が制作した仏象は比較的多く現存していますが、その中でも醍醐寺三宝院の弥勒菩薩は特に見ごたえがあります。

どうしてこんなにも魅力があるのだろうかと、今タイピングしながら考えています。

これは私の仏像の好みの問題なのかもしれませんが、基本的に座禅を組んでいる姿は、美しく見えるのではないだろうかとおもいます。

そして衣の表現では快慶の弥勒菩薩は通肩(つうけん)という両肩に衣が、かぶさっている姿をしています。

その姿が厳密にはちがうのですが、全体的に遠くから見ると左右対称に見えます。

そしてその袈裟の衣文線(衣のしわ)が組んだ手を中心に放射状に広がっているような印象を受けそれが、より魅力的に感じさせているのだと思います。

また持物である五輪塔がアクセントとして全体の中心にあります。

高く結いあがっている菩薩の髻(結い上げた髪の毛)、その髻をすっぽりと覆いかぶさるように宝冠がついていますが、この頭上の宝冠が高い位置にあることで像全体の表現をスマートにまとめ、それが菩薩の叡智や賢さなどを引き立てているように感じます。

他にも魅力的な要素はまだまだあるのだと思いますが、今回は弥勒菩薩の歴史的なことがらやそのご利益などは多くの方々が書き記しているので、私は、弥勒菩薩を見ていて惚れ惚れするところを、稚拙ながら記してみました。

香佛舎 弥勒菩薩の制作工程

 

 

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