この砥石は10年程まえになりますが、鍛冶屋さんで頂いた砥ぎ面が緩やかに丸くなっています。
はさみを砥ぐためにつかわれていました。
私はあまり使う機会が少なかったのですが、砥石の台を複数作る機会があったので一緒に台も作ることにました。
砥石の溝を彫り、砥石が溝に入ったのですが、突然並行に砥石が半分に割れてしまいました。
ショックで漆で接着しようとも考えたのですが、両方とも使えないだろうかと思い下の段の砥石が平らにできるかどうか、横から見て確認しました。
砥ぎ面を砥ぎだしても全面使えそうです。
二枚にしようと思いたちました。
(上が丸みのある砥ぎ面)
(下がこれから平らにする研ぎ面)
今後、平らにした砥ぎ面を利用する機会が多くなると思います。
台も少し薄いかなと思っていたので、今まで作っていた台を上の砥石で使う事にして、平らにする方の砥石の台を新たに作る事にしました。
上の画像は平らにする方が木の溝に入っている最初の状態
下の画像は平らにする方を新たに厚みを増して台を作り直す状態。
木が用意できたら、前々回の砥石台の制作行程と同じです。
下の画像は砥石の輪郭線に沿って木にたてこみを入れている所です。
たてこみに沿って丸刀を入れます。
微調整をくりかえして砥石を溝に入れます。
砥石の角を落として丸みを出します。
砥石台の裏を作っています。
台が細いので丸刀で横から一気に入れます。
粗いタッチで形が出てきたら仕上げに入ります。
まずは表面を鉋がけしますが、彫刻刀で丁寧に仕上げてもどちらでもよいです。
使い勝手に問題はありません。
表面が仕上がってきたら角を面取りします。
漆を塗る前の状態が出来あがりました。
漆を塗り終わり数日経過して固まった状態です。
これからガタガタの面を平らにしてみます。
まずは、金剛砥石といって、一番粗い砥石を用意します。
これで水と力を加えてごしごしと砥ぐというよりは削りだすほうが表現としては正確かもしれません。
面が出てきたら、金剛砥石から荒砥石、中砥石、という順番で砥ぎ面を仕上げていきます。
二つ出来上がりました。
割れたときは少し落ち込みましたが、割れた事で二つになって得した気分です。