前回、普賢菩薩の二体目を彫り始めたところからお話をしました。
二体目は一体目を一度、制作しているので比較的スムーズに行きました。
そして仕上げの一歩手前まで彫刻をしてそこから仕上げられなくなってきたのですが、どこが原因かというと、お顔と首の関係性がおかしくなってきたからです。
首とあごの関係なのですが、本来ならばあごの下はまだ残しておくべき個所でその前に周りを彫刻すべきところでした。
なぜ、あごと首の関係がおかしくなってきたのかというと、私が完璧な平安時代のお顔を表現したかったからでした。
そのため顔を微調整して鼻の位置が高くなりすぎたり、鼻が高くなるとあごの位置が高くなってどんどん肩が下がっているように見えます。
すると胸の厚みがなくなってきてました。
そのようなことがあって、どんなに仕上げをきれいにしてもお顔が下に下がることもなく、細い首が
太くなることもないので、仕上げようという気がなくなりしまいにはそのまま放置することになりました。
日数がたてばたつほど、その欠落した形がさらに強調されているように見えました。
三体目を彫刻しようと改めて思ったのはその彫刻からしばらく経過した時のことでした。
私は普賢菩薩によっぽどこだわりがあるみたいで、大蔵集古館蔵の美しい普賢菩薩像の印象が強く
どうしても彫り上げたかったです。
そしてこの写真の向かって左の像が普賢菩薩像が三体目の像です。
この像は私が曼荼羅を制作する前にここまで仕上げたのですが、途中曼荼羅の制作をしようと思い立ち
ました。
曼荼羅の制作で私が会得したかったことがあるのですが、それは仏像の美しいフォルムを作れるようにするには
数をこなす事だろうと思っていたのですが、ただ単に小さな仏像を造っているだけでは面白みがないので
そこで曼荼羅を制作することを思いつきました。
これは大正解でした。
最初の数体は時間がかかっていた割にバランスが少しおかしく、しかし数を彫ると的確にバランス感覚が身についているのがじっかんとして
感じました。