手板の彫刻は平安時代の仏師定朝さんが仏師達の技術を修練するために使われていると伝えられていますが、後に木彫の巨匠高村光雲が東京美術学校木彫科で木彫を指導するためにそれまでに様々なところで木彫の修練として伝わっていた手板をまとめられたようです。
まずは最初に上の画像の彫り方を順を説明していきたいと思います。
この板に会わせる必要はありませんが、私は一枚の板に4つ描いています。
2寸(60.6ミリ)幅の正方形を描き四隅からクロスさせて線を引きます。
細かい幅の線は全て1分(3.03ミリ)にしています。
中央の線から平行に線を引きます。
平行に線が引けたらクロスさせて同じように引いていきます。
今度は外側から同じ幅(1分)で平行に線をひきます。
線が引けて彫る前の準備が整いました。
私は印刀(三分幅 9㎝)一本で仕上げてみたいと思います。
まず外側の線に立て込みをいれて斜め横から薄く削ります。
木目にあわせて上に向って印刀を運ぶのか、引くのかを木の性質を見極めながら進めていきます。
外側の線ができたら、クロスの線を立て込み入れます。
外側の線は溝が薄いレの字になっています。
そしてクロスの線は薄いV字になっています。
クロスの線が出来たら、内側を彫ります。
最初に切り込みをいれるのはどの線も同じなのですが、どちらに向って斜めに削るのかが違うだけです。
その彫り込みの表現はレの字、Vの字、ヘの字の3種類を組み合わせたオウトツになります。
一つの三角形が仕上げる前の状態に彫り込めました。
三角の外側からレの字、そして反対のレの字、ヘの字、レの字、そして中央の三角の溝、という感じになります。
他の3つの三角も同じように彫り込んでいきます。
全て彫れましたら、仕上げます。
まずは一つ完成です。