光背のついたお地蔵さんの仕上げ
以下、仕上げの画像を複数掲載しています。
前回の目の微調整の続きをして途中休憩を入れながら何度も何度も修正を繰り返しようやく完成の運びとなりました。
造佛記のチャレンジシリーズは最後となります。
すべてのチャレンジシリーズを読まれた方は、少ないと思いますがここまで全て目を通した人なら仏像彫刻について10%ほど理解できたのではないでしょうか。
仏像彫刻はどんなに優れたテキスト本を読んだり写真を見ても実際に手を使って彫らなければ一向に前には進みません。
手を動かしながら仏頭までたどり着いた人は、さらに今までの苦手だと思うチャレンジシリーズを繰り返し彫刻すると必ず上達します。
彫れるようになったと思ったら、寄木造りの制作行程や初音ミクの彫り方などを参考に、自身の彫りたい彫刻を試されるとさらに木彫の楽しさを実感いていただけるのではないかと思っています。
お地蔵さんの衣紋線を彫りだした状態です。
さらに細かく彫刻刀で仕上げていきます。
さらに細かくなりますが耳の下線を描き加えます。
そして蓮弁も描きます。
蓮弁は真ん中を中心に描き加えて、一枚目が描けると隣同士の蓮弁を描きます。
その流れで隣同士蓮弁を増やします。
その次に中の蓮弁が少し顔をのぞかせていますが、中の蓮弁も描き加えます。
耳は外側の線を描いていませんが、難しいと感じたら輪郭線も描き加えてください。
そして、見えにくいですがお地蔵さんが持っている宝珠にもてっぺんのところに二重丸を描いてます。
線に沿って刻みました。
これでおおむね完成です。
後は削り残しなどをチェックして完成となります。
耳の彫刻は耳の穴を最初に決めています。
穴が決まったら、上のように丸刀を縦に入れます。
穴以外はあまり深く彫らないように気をつけて浅く彫りだします。
感じをみながら、全体的に浅いと思ったらどこを残して、どこを深く彫るのかを確かめます。
前から見ると耳を出すために顔の側面を削ります。
下書きをあまりきっちりとせずに彫刻刀で目を出しています。
仏像彫刻を始めた頃はもう少し仕上げてから目の下書きをきっちりとしていました。
しかし、仕上げてから、きっちりと目を決めすぎると硬い表情になる事がよくありました。
それで雰囲気だけを見るようにしてみました。
彫刻は陰影をみて立体感を感じています。
それで目も彫刻刀で陰影を薄らとつけながら、微調整で合わすようにしています。
全体的に彫りだしていますが、輪郭線は今回は大きめに余分を残しながら体のボリュームを意識して彫りだし増す。
ボリュームを意識するというのは、最も膨らんだところはどこかを考えます。
そしてどこをへこませばその部分は膨らむのかを考えます。
するとへこます部分イコール彫る場所になります。
肩、両肘、両膝、宝珠を持っている手、両肘から手にかけての流れなどが体の膨らみに当たります。
少しずつ体の上の方から膝にかけて彫り進めています。
このぐらいから額口に線をもう一度描き込みます。
正中線と額の高さに当たります。
その線を基準に眼の高さ、鼻の位置などを確認します。
個々からは顔の彫刻を参考に見ていただければと思います。下にリンクをはっておきます。
鼻の位置は少し低めに切り込みを入れます
鼻の次に眼を切り込みます。
そして口の膨らみを出します。
このあたりから宝珠を持った両手を意識しながらボリュームを出します。
早速ですが本日、天神さんにいってきました。
朝6時過ぎに到着、こんなに早く来たのは久しぶりです。
まだまだ準備中のお店が沢山ありますが、今回は砥石屋さんに行く事が目的なので一直線に目的の砥石屋さんに足を運びました。
お店に到着するととご主人が顔を覚えてくれていて、なんだか恥ずかしいのですが、「おはよう、砥石見に来たよ」といって物色させていただきました。
お店はまだ半分ぐらい品物を出している最中でしたが、見たかった砥石はすでに並んでいたので、5分程良さげな砥石を選び、試し研ぎをさせてくれるので、一通り試し研ぎをします。
その中からいくつか選び、私は木っ端という小さな砥石が欲しかったので、数は少ないのですが、私がほとんど購入してしました。
私が今日初めてのお客さんだったみたいで、それで木っ端の良い砥石が手に入りました。
上が青砥で、仕上げの前に当てる砥石ですが、今回6本手に入れました。
そして、その下が仕上げ砥石です。
中でも黄色い砥石が今回一番の戦利品です。
さらにその下においてあるのが、刀の仕上げ研ぎに使われる薄い砥石です。
これは、裏に和紙を漆で張合わせて指に砥石をのせます。
指に当てた砥石で刀を擦るようにして使います。
刀剣の仕上げに使われていますが、私は細い丸刀の裏研ぎに使います。
今回一番欲しかった木っ端の砥石です。
この砥石は初めて手に入れる色の砥石です。
試しに購入しました。
これで当分は砥石には困らないですね。
この段階になってくると、彫刻として面白くなってきます。
それと同時にちょっとした彫刻刀の動かし方次第で表情が随分と変化します。
斜め横から見ると首がまだ出ていませんが、この首の奥行きは最後まで残し気味の方が失敗が少ないです。
実は彫刻を始めて間もない頃はこの首の凹みにこだわりすぎて仕上がったときには首が彫り過ぎになってしまう事があります。
そいういうこともあり、首の凹みは迷ったら彫らないのが鉄則です。
耳の彫刻は耳の穴をまず最初に決めます。
そして、穴を中心に彫刻刀で薄らと刻みを入れます。
何度も何度も顔に描き込みます。
描いた線を基準に薄らと刻みを入れます。
すると線は消えますが、消えた時に表情を確かめ少し違うと感じたらその箇所にまた加筆して、繰り返します。
繰り返しても全く解決しそうにない場合はしばらく休んでください。
一生懸命取り組んでも、失敗する確立が高くなるだけです。
しばらく離れるとどこが彫り足りないのかよくわかるようになります。
お顔の表情は本当に微妙な場所なので、一度で決めようとは思わずに眼は薄らと彫りながら微調整できるように彫りすすめます。
今回光背のついたお地蔵さんの彫刻という事で、ちょうこくの彫り進め方をご紹介したいと思います。
このお地蔵さんに使っている木は日本の木ではありません。
実はフィリピンで手に入る木を使って彫ります。
セイタロウさんが、フィリピンで仏像彫刻をの練習していて、日本の木で彫るのは難しいので現地の木を使って彫れるのか、どこまで彫れるのかその確認のために今回この木材をつかいます。
フィリピンには固い木が多いのですが、この木は比較的柔らかくて手に入れやすい木です。
将来日本の檜を使って彫るのを目標に、この木で練習しても問題なさそうです。
まず最初に何を彫ろうかと考えていました。
坐像で光背の付いた仏像は、チャレンジのコーナーではまだ制作していないので、光背付きのお地蔵さんを彫ってみたいと思います。
まず最初に正中線を引きます。
次に膝張りの長さを決めます。
膝張りとは両膝の幅の長さです。
額口も同じ長さです。
膝張りとは横の長さですが、額口は縦の長さで頭の額(髪の生え際口)です。
二つの基準線を頭に入れておきながら彫り進めて行きます。
横の状態です。
横も正面を確認しながらラフに描きます。
頭頂部の少し余裕をもたせて鋸を入れます。
深さは横の光背の線までいれます。
平刀で横の光背の位置を確認しながら平刀で削り落とします。
肩から膝にかけて鋸を入れます。
そして横のラインを確認して鋸を入れます。
そして光背の深さまで彫刻刀で削りだします。
ピラミッドの用に三角形の形ですがお地蔵さんの輪郭線に沿ってきっちりと出すと初めて彫る人にはわかりやすいです。
ただ私はこの後、頭を決めます。
まずは首の位置を浅く鋸をいれます。
そして平刀で斜めに刀を入れて頭を出します。
このままでは顔が前に出過ぎて、胸が出てこないので顔を奥に引っ込めて胸を張ります。
横から見ると顔がへこみ過ぎに見えるかもしれませんが、胸の前に両手がくるので、その分、顔を奥にしています。
両肩を彫り込むのと手の流れも同時に表現します。
顔の右側を目と鼻を彫っています。
耳もまだまだ出てきますが、ほんの少し段差をつけて耳を削りだします。
このぐらいになると耳の後ろの段差を作ると、首回りが見えてきます。
顔の表情を制作する上で鼻と頬と目の境を彫る前に小鼻の幅を決めます。
先の話になりますが、小鼻の下の二つの穴を若干緩やかに形作ることを想定しておきます。
唇は、小鼻の幅よりも若干大きくなります。
その感覚で、下唇の両端を深く彫ります。
すると、唇の真ん中はつながっているのですが、上唇と下唇が分かれているように見えます。
唇の両端だけを彫り込んで唇の雰囲気を出します。
そして唇の真ん中はあまり触らずに軽く彫る程度にしておきます。
するとメリハリのある顔になります
難しい唇ですが仏像の口元の練習を何度も繰り返して口元だけを練習すると、上達も早いです。
丸刀を使って眉と目の間の溝を彫りだして、目に膨らみをつけます。
目はまだ奥にいくので、少し大きめに残しながら微調整して所定の位置までもっていきます。
まだまだ残しておきます。
左目の真ん中を上から少し印刀を使って削ると、仏様のような雰囲気になります。
荒彫りの状態から仏様の雰囲気を作りながら彫りだします。
目を上にあげていきます。
下図線は雰囲気で描いています
まだまだしっかりと決めようとはしません。
あくまでも仏様らしい雰囲気を一刀一刀の加減で模索しています。
雰囲気だけを見ていたので左右対称ではありません。
自分が仏様らしいと思う表情を左右確認して思っている表情に近いところを反対側に反映させます。