琵琶を持って、実際に演奏している様子を表現するのですが、言葉では簡単に説明できても実際に彫刻をするとなると、なかなか難しいものです。
撥を持つ右手そして琵琶を支える左手は上下左右微調整できるように大きめに彫っておきます。
そうすると肘の位置や袖の位置も変わってきますので厚みの残し方も腕全体に及びます。
手の位置の決め方は全体像が仕上がっていく過程で少しずつ決まってきますが、あまり最初から確定しすぎないように心がけます。
指と指の間の溝を彫るのは最後の最後まで彫らずに残しておきます。
どうしても手の雰囲気をみたいときは、鉛筆やボールペンなどで指と指の間の溝を描き込みます。
少し離してみて時間をおいて、手や琵琶の雰囲気を見てみます。
それでバランスが崩れていた場合でも指の溝は彫っていないのでまだ修正の余地があります。
溝を彫る位置が決まれば、仕上げながら修正します。
琵琶の彫刻ですが、表面を奇麗に削り左右対称を気にしながら修正仕上げして、いよいよ細かな部分の彫刻をしていきます。
彫刻前に鉛筆やボールペンなどで琵琶の中に描き込みます。
一発で決まらないので消しゴムや表面を削るなどして位置を微調整します。
描きおえたら、いよいよ琵琶の彫刻をします。
最終的な線にそってきっちりと刻みます。
転手(てんじゅ)と呼ばれている弦を微調整する突起物は別に作っておいて、仕上げるときに結合します。
これで一通り彫刻が終わり次回、仕上げに入ります。
合掌
目次
寄木造りの原型の琵琶を持つ弁財天を彫刻 1 四角い木から線を引く
寄木造りの原型の琵琶を持つ弁財天を彫刻 2 御顔の荒彫りと膠接着
寄木造りの原型 琵琶を持つ弁財天を彫刻3 御顔の荒彫りと全体の荒彫り開始
寄木造りの原型 琵琶を持つ弁財天を彫刻4 漠然とした全体のフォルム
寄木造りの制作行程 7 目安線を彫刻 彫り進め過ぎずに彫刻する
寄木造りの原型 制作行程 8 弁財天の彫刻 手足をぼんやりと彫り進めて全体を進める
寄木造りの原型の制作行程 弁財天の彫刻 10 下図線を基準に彫刻をすすめる
寄木造りの制作行程 弁財天の彫刻 11 衣紋線などの細かな表現