仏像の顔の修正 ーお地蔵さんー

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ここ最近は昔の彫りかけの仏像の修正をしています。

とにかく顔ばかりひたすら修正の繰り返しですが、まえからお伝えしている通り修正しながら彫刻をするのは、とても勉強になります。

角材の状態から作ると粗彫りまで彫刻で力を使ってしまうので、肝心の顔の微妙な雰囲気作りの時には自分の彫刻しようとする力が疲れて弱くなっています。

今回3体の頭を見つけましたので、まずはお地蔵さんの頭を修正してみます。

 

 

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この二体の頭は前回彫刻した大黒天同様に彫刻の順序をいくつか作る為に制作していたものの途中で止まっていたのを、自分の顔の修錬に使わせてもらいます。

まずは正中線を引きます。

 

 

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次に顔の幅を測ります。

顔の幅の3分の2が一つとします。

額口(髪の生え際)を決めてそこから一つ下に線を引きます。

 

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修正に使う彫刻刀は2本だけではないのですが、主に平刀の幅が細いのを用意します。

 

 

 

 

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幅の細い平刀をまずは目をくっきりと目を出します。

 

 

 

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次に目の膨らみを表すために眉を少し下に移動しながら刻みます。

 

 

 

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ほほの丸みは難しいのですが、上の画像でいえば、少し上の所は彫らずにあご下とほほを繋げています。

ほほの丸みとあご下までが同じふっくらとした丸みで、あごが少し出ているという雰囲気にします。

顔の中に風船を入れて膨らませたような感じです。

 

 

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上記の事を意識しながら繰り返し繰り返し彫り進めます。

 

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わずかな差ですが顎下の境界線が若干上に上げる方が丸みがさらに増すように思えますので、もう少し上に上げてみます。

 

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鼻の幅もそろえていきます。

そして三道という首の3つのしわが少し不自然なので消える程度に薄く彫ります。

 

目を切りますが、いつものように下線を描かずに細い平刀でうっすらと目を刻み少しずつ広げながら微調整をします。

 

 

 

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今回はとりあえずここまでで終わっておきます。

続きを彫るか彫らないかは、まだ未定です。

合掌

 

大黒天の彫刻 制作行程の動画を投稿する

昨日完成した大黒天像をYouTubeに投稿しました。

よろしければリンクを張っておきます。

大黒天の彫刻 序章

 

今回の動画投稿でもう78本目になります。

まだまだ挑戦してみたい事もありますが、動画の投稿で目標としていたハードルが自分の中でどんどんと高くなっている事を実感しています。

今度の目標はビデオの前で説明しながら自画撮りをしたいと考えていますが、とりあえず限定公開で少しずつならしていければと思います。

緊張もしますが、自分の中の色々な弱点が克服できるのではないだろうかとも考えています。

私のつたないおしゃべりを皆さんの暖かい心で見守っていただければ安心して取り組む事が出来ますのでどうかお手柔らかによろしく御願いいたします。

 

 

 

大黒天の彫刻 4

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米俵の前面には宝珠を彫りだしますが、その前に全体的に彫り進めてみます。

 

 

 

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米俵を刻みます。

ここで初めて三角刀が登場します。

私が使っているのは45度の角度のついた三角刀です。

鈍角や鋭角の三角刀があるので彫る対象に合わせて使い分けます。

 

 

 

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最初に縄を刻みます。

 

 

 

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それから米俵の表面に三角刀で刻みをつけます。

 

 

 

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米俵の前面には両方とも宝珠を表現します。

さらに全体的に仕上げて完成とします。

 

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大黒天の彫刻 3

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衣紋線など薄らと彫刻したりまた、削り直したりとこの段階では微調整の連続です。

 

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そして、この段階ではとくにそれぞれの箇所のボリューム感を意識してみます。

全体的に丸くそして肩や手のボリュームがちゃんと出ているか、またそれが全体の丸みと調和しているかなどを考えながら進めます。

 

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手の刻みを入れると、手の形がぼんやりと見えてきます。

ここからは、修正しながら手を形作ります。

 

 

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もう一度衣紋線を引きます。

今度はほぼ最終的な線になると思いますがまだまだ修正の余地が見えてきたらどんどんと彫り直して行きます。

 

 

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大黒天を彫刻 2

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実は前回までの荒彫りの彫刻はここ数日の間の彫刻ですが、

今回の写真の画像は4、5年程前の彫りの途中からのスタートです。

顔つきも今と比べると迷いが感じられます。

ここからざっくりと彫り直してみます。

 

 

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まずは顔を彫り進めてみます。

鼻と目の位置が近すぎるのでほんの少し離して、満面の笑みに成るように微調整をします。

 

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顔の表情もだいたい定まってきました。

左手を内側にもっていきます。

右手はほんの少し内側にします。

小槌を持っているのであまり内側にすると小槌が顔にかぶさります。

それを避けるためです。

 

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いつもブログで書きますが、肩と肘と手のラインの膨らみは気をつけます。

それさえ押さえていたら、衣はどういう風にでも表現できます。

 

 

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目は片目で微調整し、雰囲気が見えてきたら反対側の目も合わせます。

ただ完璧な左右対称よりは、見た目でおかしくない程度で結構だと私は思います。

 

 

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ここまでくると、衣紋(衣のシワ)をつける準備をします。

 

 

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薄らと衣紋線を描いていますが、大黒様の場合とても少ないです。

左腕にかかる衣の衣紋線も3本から4本ぐらいです。

 

 

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正面の衣紋も薄らと刻みます。

 

 

 

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大黒天を彫刻 1 

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大黒天の角材の正面です。

高さは、11.5㎝

幅は、 7.5㎝

奥行き、7㎝

今回は上記の寸法の桧を使います。

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まず始めに、正面、上面、後ろ、底面に正中線を引きます。

 

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そして大まかな輪郭線を鉛筆で描いていきます。

 

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鉛筆線にそって大まかにカットします。

 

 

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彫刻をする前の状態がここまでです。

次から一刀目に入ります。

 

 

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まずは顔の周辺を大まかに落とします。

 

 

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右側の顔は右手で持った鎚を意識しながら彫ります。

 

 

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左手で持った袋の丸みを意識して大まかに荒彫りします。

 

 

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後ろから見ても袋のボリューム感を残しながら大まかに落とします。

 

 

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真上から見た状態です。

手前が後ろです。

帽子がまだ角ばっているので、丸みをもたせます。

 

 

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途中で鉛筆を使って描きます。

するとどこを彫るべきか見えてくるので、下書きをするときに肩から肘のライン、肘から手のラインの膨らみを意識しながら描くと、どこに描き込めば良いのか想像がつきます。

 

 

 

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前から見ても手の位置は意外と内側にきますので、そういう事も描いていると見えてきます。

次に鉛筆の基準に沿って彫ります。

このときボリューム感を残した荒彫りをすると立体感が見えてきます。

 

 

 

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この段階ではまだまだ細かいところは追求しませんが、大黒様はとても柔和で丸いイメージがあります。

全体的に丸くふくよかさを荒彫りの段階から意識をしておきます。

 

 

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大黒天を彫刻 序章


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大黒天の彫刻

左から順に彫刻野行程を並べています。

実はブログを始める前に上の画像のように彫刻の行程をいくつか作ろうとおもっていたのですが、途中で止まっていたのを改めて彫り進めて行きました。

いつものようにブログに細かく行程をアップしていきますが、その前にまずは彫る行程をざっとご紹介いたします。

 

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まずは角材を用意します。

 

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輪郭線をざっくりと削り落とします。

 

 

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大まかに彫り進めていきます。

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細かいところをあまり意識せずに大まかに彫り進めます。

意外と大まかに彫り進めるのは難しいと思いますが大黒天像はとてもシンプルな彫刻なので荒彫りの雰囲気を掴むつもりで彫り進めていければと思います。

 

 

 

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段階に応じて、一つの彫り面の面積を小さくします。

 

 

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仕上げの一歩手前です。

 

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完成

 

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日本の美しい履物 草履、下駄、雪駄

日本の美しい履物

現在では一般的な履物といえばスニーカーや皮靴などが一般的ですが、いざ着物や浴衣や作務衣などを思い立って初めて着たいと思ったときにもっとも困ってしまうのは履物のように思います。

イタリアの高級シューズ、フェラガモやリーガルなど良い靴の代名詞として良く知られていますが、いざ日本のものになると、どういうものをはけば良いのか、どういうものがあるのか思いつきにくいかと思います。

靴と同様に自由に楽しめれば良いと思いますが、下駄っぽいものや雪駄っぽいものなど、求めやすいものを手に入れて最初に試されるのもよいのですが、靴と同様に実際に見たり触れたりする事で、ヨーロッパの高級シューズと同様に日本にもすばらしい履物が沢山あります。

 

 

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上下の履物は雪駄です。

この履物の裏には皮が張って金属でとめていいます。

一番よく履いている履物で茶道でも使えるし、日本の着衣にはなんでも合います。

無難と言えば無難なのですが、この雪駄が一つとりあえずストックしておけば次に手に入れる履物は自由に遊ぶことができます。

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上の画像から3枚の画像は下駄です。

地面から高くなっているので雨の日などには重宝します。

私は洋服の装いで遊びで下駄を履いたりもします。

からんころんと、歩くたびに音が鳴って、それが何ともいい音です。

でも博物館には下駄で入館しない方が良いです。

私は音が大きいために注意されました。

 

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下駄の鼻緒の色が変わると雰囲気に彩りが出てきます。

鼻緒の色で楽しんでも面白いと思います。

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漆塗りの下駄です。

茶道にはNGですが、花街へ着流しで遊びに行くのもなかなか面白いのではないでしょうか(笑)

 

 

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こちらは皮の鼻緒にうっすらと模様が刻まれています。

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他にも竹の皮を使った草履などもあります。

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日本の履物も色々ありますので、いろんなシチュエーションを想像したり、実際に使ってみると日本の履物の良さを実感できると思います。

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そうはいっても、カラフルなカジュアルなシューズも好きなのですが、フォーマルな装いのシューズも私は好きですがね。

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左からリーガル、ギャルソン、フェラガモ、と結構私もミーハーです。

履きたいと思ったらその日が吉日、今この瞬間に一番履きたいもので楽しむのが一番です。