寄木造りの制作行程 弁財天の彫刻 13 琵琶などの持物や細かな部分の彫刻

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琵琶を持って、実際に演奏している様子を表現するのですが、言葉では簡単に説明できても実際に彫刻をするとなると、なかなか難しいものです。

撥を持つ右手そして琵琶を支える左手は上下左右微調整できるように大きめに彫っておきます。

そうすると肘の位置や袖の位置も変わってきますので厚みの残し方も腕全体に及びます。

手の位置の決め方は全体像が仕上がっていく過程で少しずつ決まってきますが、あまり最初から確定しすぎないように心がけます。

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指と指の間の溝を彫るのは最後の最後まで彫らずに残しておきます。

どうしても手の雰囲気をみたいときは、鉛筆やボールペンなどで指と指の間の溝を描き込みます。

少し離してみて時間をおいて、手や琵琶の雰囲気を見てみます。

それでバランスが崩れていた場合でも指の溝は彫っていないのでまだ修正の余地があります。

溝を彫る位置が決まれば、仕上げながら修正します。

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琵琶の彫刻ですが、表面を奇麗に削り左右対称を気にしながら修正仕上げして、いよいよ細かな部分の彫刻をしていきます。

彫刻前に鉛筆やボールペンなどで琵琶の中に描き込みます。

一発で決まらないので消しゴムや表面を削るなどして位置を微調整します。

 

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描きおえたら、いよいよ琵琶の彫刻をします。

最終的な線にそってきっちりと刻みます。

転手(てんじゅ)と呼ばれている弦を微調整する突起物は別に作っておいて、仕上げるときに結合します。

これで一通り彫刻が終わり次回、仕上げに入ります。

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合掌

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目次

寄木造りの原型の琵琶を持つ弁財天を彫刻 1 四角い木から線を引く

寄木造りの原型の琵琶を持つ弁財天を彫刻 2  御顔の荒彫りと膠接着

寄木造りの原型 琵琶を持つ弁財天を彫刻3 御顔の荒彫りと全体の荒彫り開始

寄木造りの原型 琵琶を持つ弁財天を彫刻4 漠然とした全体のフォルム

寄木造りの原型 琵琶を持つ弁財天を彫刻 5  荒彫りの続き

寄木造りの制作行程 6 目安の線を引く

寄木造りの制作行程 7 目安線を彫刻 彫り進め過ぎずに彫刻する

寄木造りの原型 制作行程 8 弁財天の彫刻 手足をぼんやりと彫り進めて全体を進める

寄木造りの原型の制作行程 9 弁財天の荒彫りに目安線を描く

寄木造りの原型の制作行程 弁財天の彫刻 10 下図線を基準に彫刻をすすめる

寄木造りの制作行程 弁財天の彫刻 11 衣紋線などの細かな表現

寄木造りの原型の制作行程 12 弁財天の彫刻 お顔の彫刻 

寄木造りの制作行程 弁財天の彫刻 13 琵琶などの持物や細かな部分の彫刻

寄木造りの原型の制作行程 弁財天の彫刻 14 完成

寄木造りの原型の制作行程 12 弁財天の彫刻 お顔の彫刻 

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お顔の彫刻は最も難しい場所ではあるのですが、彫り方を文章で説明する難しさに直面しています。

一番良いのは何度も何度も彫り、数をこなすと上達します、と言うのが一番簡単なのですが、それでは説明にならないので、この状態で自分ならどうするかという事を思いながら書いてみます。

まずは、一休みします。

何でもそうなのかもしれませんが、なにか好きな事に熱中する事ってあると思います。

私の場合は現段階において弁財天を彫刻している最中は熱中しています。

どんな事でも熱中しているときは冷静な判断が出来ない場合があると思います。

頭が、怒りに満ちている時、悲しい時など、その時は非常に興奮していますが、冷静になると、あの時あんな事するんじゃなかったと後悔することなどあると思います。

熱中しているときも一緒で、非常にデリケートな彫刻の場合、熱中しているときに彫ってしまうと、失敗する事が多かったです。

それは木彫だからかもしれません。

粘土だとあとで、付け足したりするのが可能なのですが、木彫だと継ぎ足す事が出来ませんので、失敗しない事をこころがけるのですが、かといって失敗を恐れて、おそるおそる彫りすすめても、あまり良くありません。

やはり、冷静な心の状態のときに彫る人が最善だと思ったやり方を決めたのなら、失敗を恐れずに思い切って彫るのが一番早い上達方法かと思います。

それでも失敗するときは失敗します。

数で表すと、100体ぐらい顔を彫り込むと自分の 思い描いた顔が出来るのではないかと思います。

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前置きが長くなりましたが、まずは冷静な心の状態のときに顔の位置を見ます。

お顔の高さが上の位置にあるのか下の位置にあるのかちょうど良い高さなのかを見ます。

お顔が高すぎると低くする事は難しいのですが、若干目の位置を低くする事はできます。

しかし鼻の位置を上に高くする事は可能ですが低くする事が出来ません。

目を下げすぎると大人の顔から子供の顔になります。

ですので私は鼻の位置を荒彫りからこの状態までわずかに低く下の位置にしています。

仕上げに近づくにつれ徐々に鼻の高さを上げて微調整します。

 

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鼻の位置が決まると小鼻の位置が決まり鼻の穴のわずかなくぼみが見えてきます。

このわずかなくぼみは、彫り過ぎに注意します。

鼻が決まると目の高さが決まります。

それと同時に口の位置も決まります。

目は左目から少しずつ微調整しながら形を決めて左目に合わせて右目を調整します。

 

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人間の目と同様に目には目玉の膨らみがあります。

しかし目玉の膨らみを気にしすぎると、そればかりが気になってしまうので、目玉の膨らみは心の隅にとどめながら自分なりの仏様の表情を思い描き彫刻をします。

人間の顔が元になって仏像のお顔が出来ているのですが、あまり人間の顔に意識が引っ張られると、人間っぽくなってありがたみがなくなる可能性があります。

仏像のお顔は人間の顔の中に風船をつめて、膨らませたようなほっぺたをしています。

そして赤ちゃんのように肌がぷるんとしています。

あまり、段差をつけすぎずにシンプルな表情ですが、しかし例えば人間のように目の横がわずかにへこんでいます。

このわずかなへこみを、強調しすぎずにわずかに表現するというのが仏像を形作るうえで重要な要素ではないだろうかと思います。

このわずかに人間の痕跡を残す彫刻は手の表現にも当てはまります。

手も赤ちゃんの手のように丸みや弾力を感じられるように彫ります。

手の場合、骨の出っ張りなどはありません。

シンプルすぎて、仏さんらしい手を作るのが非常に難しいです。

仏像の表現の難しさはこのシンプルな姿の中にわずかに人間の痕跡を残すところにあるのではないでしょうか。

しかも見ている人にはわからない程度に。

 

 

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お顔が決まれば、全体を確認してみます。

 

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寄木造りの原型の琵琶を持つ弁財天を彫刻 2  御顔の荒彫りと膠接着

寄木造りの原型 琵琶を持つ弁財天を彫刻3 御顔の荒彫りと全体の荒彫り開始

寄木造りの原型 琵琶を持つ弁財天を彫刻4 漠然とした全体のフォルム

寄木造りの原型 琵琶を持つ弁財天を彫刻 5  荒彫りの続き

寄木造りの制作行程 6 目安の線を引く

寄木造りの制作行程 7 目安線を彫刻 彫り進め過ぎずに彫刻する

寄木造りの原型 制作行程 8 弁財天の彫刻 手足をぼんやりと彫り進めて全体を進める

寄木造りの原型の制作行程 9 弁財天の荒彫りに目安線を描く

寄木造りの原型の制作行程 弁財天の彫刻 10 下図線を基準に彫刻をすすめる

寄木造りの制作行程 弁財天の彫刻 11 衣紋線などの細かな表現

寄木造りの原型の制作行程 12 弁財天の彫刻 お顔の彫刻 

寄木造りの制作行程 弁財天の彫刻 13 琵琶などの持物や細かな部分の彫刻

寄木造りの原型の制作行程 弁財天の彫刻 14 完成

寄木造りの制作行程 弁財天の彫刻 11 衣紋線などの細かな表現

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この段階は衣紋線(衣のしわ)などの細かい部分も、うっすらと彫りだしています。

衣紋線が見えてくると、最終的な完成像が見えてきます。。

最後に仕上げで衣紋線をくっきりと彫りだすのですが、この段階でそのことを考えながら、うっすらと彫りだしておいて、はっきりと彫らないように心がけます。

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この段階でまだ顔は奥にいきます。

しかし若干彫る余地を残しています。

お顔を最初に彫ると全体像が見えてきて彫るべき箇所が明確に見えてくるのですが、微調整の分を少し残しておきます。

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寄木造りの原型 琵琶を持つ弁財天を彫刻3 御顔の荒彫りと全体の荒彫り開始

寄木造りの原型 琵琶を持つ弁財天を彫刻4 漠然とした全体のフォルム

寄木造りの原型 琵琶を持つ弁財天を彫刻 5  荒彫りの続き

寄木造りの制作行程 6 目安の線を引く

寄木造りの制作行程 7 目安線を彫刻 彫り進め過ぎずに彫刻する

寄木造りの原型 制作行程 8 弁財天の彫刻 手足をぼんやりと彫り進めて全体を進める

寄木造りの原型の制作行程 9 弁財天の荒彫りに目安線を描く

寄木造りの原型の制作行程 弁財天の彫刻 10 下図線を基準に彫刻をすすめる

寄木造りの制作行程 弁財天の彫刻 11 衣紋線などの細かな表現

寄木造りの原型の制作行程 12 弁財天の彫刻 お顔の彫刻 

寄木造りの制作行程 弁財天の彫刻 13 琵琶などの持物や細かな部分の彫刻

寄木造りの原型の制作行程 弁財天の彫刻 14 完成

寄木造りの原型の制作行程 弁財天の彫刻 10 下図線を基準に彫刻をすすめる

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下図線を描いた部分をなぞって彫りだしました。

線が彫刻して立体的になると少し見え方も違ってきます。

ですので今回も線はあくまで目安という事で、あまり線にこだわると固いイメージになります

 

 

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下図線を前回同様、マス目をもう一度引きます。

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前回描いた下図線よりもさらに細かく描いていきます。

宝冠なども細かくなってきます。

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寄木造りの原型 琵琶を持つ弁財天を彫刻3 御顔の荒彫りと全体の荒彫り開始

寄木造りの原型 琵琶を持つ弁財天を彫刻4 漠然とした全体のフォルム

寄木造りの原型 琵琶を持つ弁財天を彫刻 5  荒彫りの続き

寄木造りの制作行程 6 目安の線を引く

寄木造りの制作行程 7 目安線を彫刻 彫り進め過ぎずに彫刻する

寄木造りの原型 制作行程 8 弁財天の彫刻 手足をぼんやりと彫り進めて全体を進める

寄木造りの原型の制作行程 9 弁財天の荒彫りに目安線を描く

寄木造りの原型の制作行程 弁財天の彫刻 10 下図線を基準に彫刻をすすめる

寄木造りの制作行程 弁財天の彫刻 11 衣紋線などの細かな表現

寄木造りの原型の制作行程 12 弁財天の彫刻 お顔の彫刻 

寄木造りの制作行程 弁財天の彫刻 13 琵琶などの持物や細かな部分の彫刻

寄木造りの原型の制作行程 弁財天の彫刻 14 完成

寄木造りの原型の制作行程 9 弁財天の荒彫りに目安線を描く

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一気に弁財天像が丸まりました。

 

 

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このまま彫り進むとどこを彫刻すれば良いのか見当がつきにくく、目安がない状態で彫刻を進めた場合、誤って本来彫るべき場所ではないところを彫ってしまいますので、中心線を引いていきます。

 

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中心線が引けたら、それを基準にして、一寸(30.3センチ)間隔でマス目を引いていきます

 

 

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今回は横からの線を引くと少しややこしくなるので前と後ろからみた姿のマス目を引きます。

 

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マス目が引き終わると、図面を見ながら仏像の細かな線を描きます。

 

 

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寄木造りの原型の制作行程 弁財天の彫刻 14 完成

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この段階まで来てもまだ手をきっちりと決めません。

形式として決まっている仏像では早い段階で手、足などを先に彫り進むと、全体のイメージが見えやすくなるので、

どの辺りを彫刻するべきか明確になります。

今回の彫刻は琵琶を持っている彫刻なので、今の段階で手を彫りだしすぎると、後で違和感がでてきます。

そのため、常に琵琶を持って演奏しているというイメージを頭に思い浮かべながら、全体を彫り進め少しずつ手の位置を決めます。

 

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背面の彫刻は前を先に彫り進めてその流れを考えて背面を彫ります。

しばらくは正面が決まるまで残しておきます。

 

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寄木造りの制作行程 6 目安の線を引く

寄木造りの制作行程 7 目安線を彫刻 彫り進め過ぎずに彫刻する

寄木造りの原型 制作行程 8 弁財天の彫刻 手足をぼんやりと彫り進めて全体を進める

寄木造りの原型の制作行程 9 弁財天の荒彫りに目安線を描く

寄木造りの原型の制作行程 弁財天の彫刻 10 下図線を基準に彫刻をすすめる

寄木造りの制作行程 弁財天の彫刻 11 衣紋線などの細かな表現

寄木造りの原型の制作行程 12 弁財天の彫刻 お顔の彫刻 

寄木造りの制作行程 弁財天の彫刻 13 琵琶などの持物や細かな部分の彫刻

寄木造りの原型の制作行程 弁財天の彫刻 14 完成

寄木造りの制作行程 7 目安線を彫刻 彫り進め過ぎずに彫刻する

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前回の目安の線を基準に彫刻をしていきます。
あくまでも目安なので、その線を最終的な線と思わずに、どこがふくらみ、へこむのか
ひじのでっぱった位置はだいたいどのあたりにくるのか、そのひじの位置を基準にし腕のラインがわかるように
彫りだしたり、と立体感の調子を出していきます。

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ぼんやりとした腕のラインがみえてきましたが、この時点ではあまり深追いせずにさらに全体を
彫刻していきます。

一か所に彫刻をのめりこんでしまうと、後で後悔することが多いです。
彫りすぎると付け足すことができないので、他の場所もバランスよく彫進めます。

彫刻をやり始めた段階では、苦手な個所と得意な個所が出てきます。
そうすると特異な個所は掘り進みすぎて苦手な個所が後回しになります。

なので深追いをしないという事を心掛けます。

 

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寄木造りの制作行程 7 目安線を彫刻 彫り進め過ぎずに彫刻する

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寄木造りの原型の制作行程 12 弁財天の彫刻 お顔の彫刻 

寄木造りの制作行程 弁財天の彫刻 13 琵琶などの持物や細かな部分の彫刻

寄木造りの原型の制作行程 弁財天の彫刻 14 完成 

寄木造りの制作行程 6 目安の線を引く

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荒彫りの状態で基準となる印がないと、迷いがでてなかなか彫刻が進みません。

ちまちまと、迷いながら彫ると時間だけが無常に過ぎていきます。

 

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確実にわかっている印を描いていきます。

真ん中に一本の縦線を描き、それを基準に一寸(30.3ミリ)のマス目を引いていきます。

図面と照らし合わせて、弁財天を描いていきます。

あまり細かく描いても意味がないので、大まかな線を描いていきます。

 

 

 

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横から見た線は今回は描かず正面の線に合わせて彫り合わせたときに少しずつ横のラインを決めていきます。

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寄木造りの原型の制作行程 弁財天の彫刻 14 完成

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仏像を彫刻するときに持物である琵琶の面積が大きいので、仏像本体の形が琵琶に引っ張られる相になります。

一番肝心なのは仏像本体のバランスが取れている事で、琵琶に隠れたおなかの膨らみ、琵琶に隠れた左腕などを意識しながら進めていきます。

琵琶を後で別材で作り本体に後で取り付ける方法もありますが、そうすると、琵琶を持つ雰囲気が合わない可能性があります。

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迷いがあるのか、正面を漠然と決めながら横、後ろ、を順に進めます。

図面の上ではきちっと線が決まっているので、その線に合わせて彫り進めていけば図面通りの仏像が完成します。

しかし、図面をただ単にきっちりと計り寸法通りに彫刻をすると、固い雰囲気になりがちです。

立体にすると遠近感が違うので、図面は目安と考え、彫刻をくるくる回転させながらバランスの良い、顎や肩や肘や膝などの位置を決めていきます。

 

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まだ後頭部はへこめる事が出来ますが前の鼻の位置が決まっていない、最近ではあまり修正をする事はなくなりましたが、お顔の表情が彫り過ぎたりしても今なら多少は修正がききます。

鼻を少しへこませて、全体的に後ろにずらします。

そのため後頭部は厚みを残しています。

 

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この段階ではまだ膝前の琵琶と左右の腕の位置がぼんやりとして定まっていません。

今の段階で正確に手の位置を定めてしまうと、全体が仕上がっていくうちに少しずらしたいと思ってしまうことがあります。

しかし一度決めてしまうと修正がききません。

そこで、手の位置を曖昧にして、修正出来るように残しておきます。

 

 

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この段階で意識するところはポイントとなる出っ張りをどこに曖昧に定めるか

出っ張りというのは肘、膝、肩、です。

見方としては、顔を横から見たとき鼻の一番高いところから耳の中央までの長さがだいたい1つです。

1つというのは、膝の幅と額の上の髪の生え際までの高さが同じで5つあります。

その5分の1の長さです。

そういう事で鼻の高さが決まると、横から見たときの耳の位置が決まります。

そうすると今度は横から見たときの肩の位置がだいたい、耳よりも少し後ろにきますがその位置が見えてきます。

撥を持つ右手、と琵琶を支える左手の位置が決まると肘の位置が決まります。

これで、バランスを取るための基準が決まるので、そのときに始めて思い切って彫りだしていきます。

 

 

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基本的に出っ張ったところを早い段階で押さえておくと、バランスを崩さずに、スムーズに彫り進められます。

しかし、早い段階で押さえておくと書いたものの、慣れていないと彫り進めている間に微妙にずれていきます。

そういう事がないように、常に計りながら、思い切って彫刻をするのが早くて的確に彫り上がります。

 

 

 

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真後ろはお尻の位置、肩甲骨の位置、背中の凹凸を意識します。

仏像と人間では人間の体の方がリアルすぎるので、仏像を制作するときは、お尻、肩甲骨の位置、背中の凹凸の意識はしても、丸く角がないように彫ります。

 

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