あべのハルカスでは高野山の名宝展が開催中です。
見所がたくさんあるので楽しみにしていました。
運慶作の八大童子像、快慶作の四天王像や孔雀明王像など、名品ぞろいです。
しかし、せっかくあべのハルカスまで来たので地上300メートルの天井回廊への興味も出てきて、天井回廊と名宝展をセットでチケットを購入すると割安になるという事も背中を押され、天井回廊まで行ってみました。
今日は一日雨で、スムーズに進む事が出来ました。
16階から一気に60階までは、感覚としては30秒ぐらいでしょうか、意外と早く到着しました。
59階から58階を撮影。
57階は中庭のになっていて天井は吹き抜けになっています。
展望台から高野山の名宝展が開催されている16階まで降りてきました。
展覧会では以下の仏像を中心に見ていきました。
室町時代作の弘法大師坐像(金剛峰寺)
唐代の諸尊仏龕(ぶつがん)(金剛峰寺)
平安時代の不動明王坐像(金剛峰寺)
不動明王を囲む運慶作の八大童子像 (金剛峰寺)
快慶作の孔雀明王坐像(金剛峰寺)
快慶作の四天王立像(金剛峰寺)
その中で唐代の諸尊仏龕は総高23.1センチの白檀で出来た観音開きの中に、中央に釈迦如来、向かって右側に観音菩薩、向かって左側に弥勒菩薩が配置され、その周りにも多くの修行者が刻まれています。
とても細かく多くの像を彫りだしているにもかかわらず、どの像を見ても良い表情をしていました。
唐時代の工人の技量の素晴らしさを垣間みる事が出来ます。
平安時代の不動明王は、平安時代の柔和な雰囲気と怒りの様相が、とても上品で吸い込まれるような魅力があります。
日本では忿怒形の姿をただの怒りとして表現していないように不動明王をみていつも感じています。
もちろん、大日如来の化身でもあるので当たり前といえばそれまでなのですが、仏像には儀軌といって、仏像を制作するのに当たって、守るべき法則があります。
その法則を守って制作しても、魅力的に表現できるという事はまた別です。
儀軌だけでは、伝えられない表情の中に垣間見える怒りの中の優しさや包容力などは、どのようにして当時の工人達が学んだのだろうか。
とても知りたいところです。
その不動明王の周りを取り囲む八大童子像は、運慶作でとても生き生きとした彫刻使いが感じられます。
1メートル前後程の高さの童子像で、彫刻としてはとても表現しやすい大きさです。
ですので、素晴らしい造形美の仏像がこのサイズには、多く作られています。
なんといっても八大童子像の魅力は肌の弾力感だと思います。
この弾力感を木彫で表現するのは非常に難しいのですが、それを運慶の才能で見事に表現されています。頭の先から、足先まで、どこを見ても力を手を抜いていない、それがまるで生きているような清々しい童子像は、本当に日本の宝だと強くおもいました。
そして、快慶作の四天王像も見事です。
写真で見ると大きく感じるのですが、実際には134センチ程の高さの像です。
快慶さんの仏像の素晴らしさは、完璧なところだと思います。
精密に計算された力強さを感じます。
これは私の独断なのですが、彫刻を始めた当初は運慶さんよりも快慶さんの方が上手だと感じていました。
それは上記のような精密に計算された美しさが理由なのですが、この四天王像は私の中で上位にはいる素晴らしい像である事は今でも変わりませんが、完璧な作品が持つ人を寄せ付けない壁を感じさせるのではないだろうかと、今日改めて見て感じました。
私の嘆きですが、よくもまあ鎌倉時代の名工達が完璧な仏像のお手本を残してくれたものだと思います。
そのおかげで私たちは目指すべき仏像の姿がより高度に、より難しく、そして楽しく学ばさせていただくことができます。
先代の技量に感嘆と尊敬を再確認した一日でした。
合掌