寄木造りの制作行程 1 釈迦如来座像 下図

寄木造りの制作行程 釈迦如来坐像

【曲名】 千年の追憶
【サイト名】フリー音楽素材 H/MIX GALLERY
【管理者】 秋山裕和
【アドレス】http://www.hmix.net/
目次

寄木造りの制作行程 1

寄木造りの制作行程 2 釈迦如来座像 下図の完成

寄せ木造りの制作行程 3 釈迦如来座像

寄木造りの制作行程 4 木取りの状態 釈迦如来座像

寄木造りの制作行程 5 三千本(膠)で接着

寄木造りの制作行程 6 彫刻開始

寄木造りの制作行程 7 釈迦如来坐像の全体の荒彫り

寄木造りの制作行程 8 釈迦如来坐像 体のラインを意識して彫る

寄木造りの制作行程 9 釈迦如来坐像 衣の線

寄木造りの制作行程 10 釈迦如来坐像 衣の彫刻

寄木造りの制作行程 11 釈迦如来坐像 YOUTUBEへ投稿

寄木造りの制作行程 12 釈迦如来坐像 衣紋線を描く

寄木造りの制作行程 13 釈迦如来坐像 衣紋線を刻む

寄木造りの制作行程 14 釈迦如来坐像

寄木造りの制作行程 15 釈迦如来坐像 トースカンを使う

寄木造りの制作行程 16 釈迦如来坐像 仕上げの段階 (ニコニコ動画の話題の動画に取り上げられました。)

寄木造り制作行程 17 釈迦如来坐像 仕上げ

寄木造りの制作行程 18 釈迦如来坐像 螺髪の下図線。

寄木造りの制作行程 19 釈迦如来坐像 螺髪の彫刻開始

寄木造りの制作行程 20 釈迦如来坐像 完成

 

 

 

 

yosegi syaka-1

寄木造りと聞いて皆さんはどのような感覚を覚えられるでしょうか。

少し仏像の事を勉強なされた方なら、平安時代後期に定朝さんが完成された仏像制作の技法だと思われると思います。

理系の人間なら、ちょっと図面を見たらその仕組みを一瞬で理解されると思います。

しかし私は非常に飲み込みの悪い人間で、学校の勉強でも成績表を見せたくないような評価でしたが、そんな私が少しずつ、ゆっくりと時間をかけて寄木造りを学ばせてもらいました。

普通の人が10年でマスターするところを、私は15年かけました。

それぐらい飲み込みが悪いのですが、そこで逆転の発想になって考えてみました。

世の中、本を出版する人は賢い人が大半だと思います。

私のような人間にでもわかりやすく教えられるような、テキスト本があったら面白いだろうなあ。

飲み込みの悪い人間が、作るとテキスト本がどのようになるのか少し実験をしてみたいなと思うようになりました。

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寄木造りの第一歩として白紙にセンターラインを引きます。

 

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次に、仏像の底辺を線でひきますが、下からの高さは仏像が収まれば適当でよいです。

 

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この定規は一般的なセンチ(メートル法)の定規ではなくて、日本で昔使われていた、竹で出来た、尺の定規です。

この尺の定規、長さが一尺(いっしゃく)が30.3㎝で、その一尺の10分の1のメモリが一寸(いっすん)です。

続いて、一寸の10分の1が一分(いちぶ)です。

つまり

1尺=10寸

1寸=10分

という計算になります。

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7列、線を引きましたが、一寸幅で統一しています。

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続いて縦の線も7列ほど線を引きましたが、同じく1寸幅で統一しています。

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同じマス目を隣のページにも加筆しました。

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仏像の髪の生え際の位置が下から5列目になります。

髪の生え際を基準に顔の幅と高さと顎の位置を線で囲います。

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続いて、膝の幅が5マス分になるように鉛筆で線を強く引きますが、膝の幅と額口の高さが同じ長さになります。

上図では、膝の幅の位置がマスの半分にあたります。

そして胴体は幅が4マスになるように同じく強く線を引きます。

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続いて隣のページの横の図面に移ります。

仏像の左側からみたずめんですが、胴体が2マス分になり、背面から膝先までが4マス分になるように線を強く引きます。

そして、横顔の寸法は鼻先が中心線から1分半(1.5分)ほど後ろに線を引き鼻先から耳の中心までの幅が1寸になるように線を引きます。

そして鼻先から後頭部までの幅が1寸7分になりますが実際には1寸5分に髪の毛の幅1分プラス余分の1分という感じになります。

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顎の高さは3寸半目盛り、つまり3.5マス目の位置に切り込み線を入れます。

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基準線が決まる、基準の位置を動かさずにフリーハンドで描いていきます。

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yosegi syaka-17 yosegi syaka-18 yosegi syaka-19 yosegi syaka-20

 

今回は、ラフに描いてみましたが、時間を置くと新鮮な気持ちで確認する事が出来るので、しばらく放置しておきます。

忘れた頃に、つまり私には何の縁もゆかりもない全くの他人が描いたと思えるぐらいの感覚になると、客観的に見る事が出来ます。

気持ちが乗った状態で一発で完成させようとしても後から修正するはめになります、その手間を惜しんでここで止めておきます。

続く

造り手から見た仏像のすがた・かたち

 

books3

 

 

 

 

仏像彫刻をされている方でも、人それぞれに違いが

あり個性があります。

江戸末期のころは職業としての分担作業が細かいと

ころまで確立していて、仏師もまた高村光雲が伝え

ているように、設計図を元にして忠実に木に写して

いく一工程の技術者でした。

 

現在では仏像を制作する側は、わりと自由に制作さ

れている方もたくさんいらっしゃいます。

信仰の対象とする彫刻や絵画など、信仰を中心に捉

えるのか、それとも美術的あるいは学術的に捉える

のか、歴史的に捉えるのか、コレクションとして手

元に置きたいのか、人により様々です。

個人レベルなら自由にすることができますが、大き

なプロジェクトとして、お堂の設計から御厨子や仏

像のサイズに至るまで細かく規定されている場合は

それにおおじた、仏像を造らないとアンバランスに

なってしまいます。

また仏像の形としての知識はあまり持ちすぎないほ

うが良いという人もいれば、古代インド語である、

サンスクリット文字から仏像の姿の根拠を見出して

図面を起こされる方もいます。

仏像に関するの最低限の知識は必要ですが、どこま

で知るのが良いのか境目はあいまいなところです。

仏像や経典の知識をそこまで知っていなくても素晴ら

しい彫刻はうまれます。

 

全体の均整がとれていて、難しいお顔の表情や手先の

部分を上手に彫り上げなおかつそこに気品を感じさせ

人々を魅了する仏像を彫れる人は、知識を超越して感

性に訴えかけています。

 

実際問題、経典の知識を理解しよと思えば膨大な時間を

つぎ込まなければならず、一人の力ではむずかしい作業

です。

そして彫刻を制作する時間はなくります。

それだけ大蔵経には膨大な情報量があり、その中から経

典の中に説かれている仏像のお姿の情報を集める作業も

一人の仏師の力ではどうすることもできません。

それだったら、素晴らしい彫刻をしている人にはその制

作に専念してもらったほうが後世に良い仏像を残して行

くことに貢献します。

仏像のお姿の根拠となっているある一つの記述を探す作

業に1年もかけていたら制作作業がいっこうに進みません。

 

しかしながら、仏教が日本に伝えらえれ現在に至るまで

多くの方々が大蔵経の翻訳に努め、整理され必要な個所の

情報を効率的に手に入れられるようになってくるに従い、

最低限必要な知識を素早く検索することが可能となりまし

た。

そこに様々な解釈もあるかと思いますがそういった先人

たちの恩恵を受けることにより私たちは制作に集中する

時間を設けることができます。

幸運にも現代はネット社会により情報が溢れすぎていて

取捨選択するのが大変なところもありますが、仏像制作

を中心とした役立つ知識を抽出して使えるものだけ使わ

せていただき、あやしいものやネットには掲載していな

い情報があれば穴埋めをしていく形で、本から調べた必

要最低限の情報を書き込んでいきたいと考えています。

そうして少しずつ出来上がっていく私の仏像ポケット辞

典を公開し多くの人と共有ができればと思います。

 

とりあえず自分なりの仏像カテゴリーを作ってみました。

ページ数でいうと、曼荼羅と仏像すべての固定ページを合

わせて1000ページを超えています。

この白紙のページが何年で埋まるのか想像がつきませんが、

地道に書き留めていくつもりでいます。

その間に曼荼羅がいつの間にか出来上がっていた、といえ

るような悠久の時間の流れとともにブログを成長させてい

ければと思います。