大黒天の彫刻 4
大黒天の彫刻 3
大黒天を彫刻 2
実は前回までの荒彫りの彫刻はここ数日の間の彫刻ですが、
今回の写真の画像は4、5年程前の彫りの途中からのスタートです。
顔つきも今と比べると迷いが感じられます。
ここからざっくりと彫り直してみます。
まずは顔を彫り進めてみます。
鼻と目の位置が近すぎるのでほんの少し離して、満面の笑みに成るように微調整をします。
顔の表情もだいたい定まってきました。
左手を内側にもっていきます。
右手はほんの少し内側にします。
小槌を持っているのであまり内側にすると小槌が顔にかぶさります。
それを避けるためです。
いつもブログで書きますが、肩と肘と手のラインの膨らみは気をつけます。
それさえ押さえていたら、衣はどういう風にでも表現できます。
目は片目で微調整し、雰囲気が見えてきたら反対側の目も合わせます。
ただ完璧な左右対称よりは、見た目でおかしくない程度で結構だと私は思います。
ここまでくると、衣紋(衣のシワ)をつける準備をします。
薄らと衣紋線を描いていますが、大黒様の場合とても少ないです。
左腕にかかる衣の衣紋線も3本から4本ぐらいです。
正面の衣紋も薄らと刻みます。
大黒天を彫刻 1
大黒天の角材の正面です。
高さは、11.5㎝
幅は、 7.5㎝
奥行き、7㎝
今回は上記の寸法の桧を使います。
まず始めに、正面、上面、後ろ、底面に正中線を引きます。
そして大まかな輪郭線を鉛筆で描いていきます。
鉛筆線にそって大まかにカットします。
彫刻をする前の状態がここまでです。
次から一刀目に入ります。
まずは顔の周辺を大まかに落とします。
右側の顔は右手で持った鎚を意識しながら彫ります。
左手で持った袋の丸みを意識して大まかに荒彫りします。
後ろから見ても袋のボリューム感を残しながら大まかに落とします。
真上から見た状態です。
手前が後ろです。
帽子がまだ角ばっているので、丸みをもたせます。
途中で鉛筆を使って描きます。
するとどこを彫るべきか見えてくるので、下書きをするときに肩から肘のライン、肘から手のラインの膨らみを意識しながら描くと、どこに描き込めば良いのか想像がつきます。
前から見ても手の位置は意外と内側にきますので、そういう事も描いていると見えてきます。
次に鉛筆の基準に沿って彫ります。
このときボリューム感を残した荒彫りをすると立体感が見えてきます。
この段階ではまだまだ細かいところは追求しませんが、大黒様はとても柔和で丸いイメージがあります。
全体的に丸くふくよかさを荒彫りの段階から意識をしておきます。
大黒天を彫刻 序章
大黒天の彫刻
左から順に彫刻野行程を並べています。
実はブログを始める前に上の画像のように彫刻の行程をいくつか作ろうとおもっていたのですが、途中で止まっていたのを改めて彫り進めて行きました。
いつものようにブログに細かく行程をアップしていきますが、その前にまずは彫る行程をざっとご紹介いたします。
まずは角材を用意します。
輪郭線をざっくりと削り落とします。
大まかに彫り進めていきます。
細かいところをあまり意識せずに大まかに彫り進めます。
意外と大まかに彫り進めるのは難しいと思いますが大黒天像はとてもシンプルな彫刻なので荒彫りの雰囲気を掴むつもりで彫り進めていければと思います。
段階に応じて、一つの彫り面の面積を小さくします。
仕上げの一歩手前です。
仕上げない仏像の下図と仏像彫刻
このページに掲載している画像は袈裟を着ていない如来の御姿です。
何年前に描いたのかわかりませんがブログをやり始める2年以上は前だったと思います。
4年近くのんびりと描いてようやくこの姿まできました。
袈裟を着せていないのは仏像の体つきを見るためです。
この仏像の絵とは別の絵を描いている時に、ふらっとこちらの仏像の絵を修正しながら仏像の姿を思い描きます。
真っ白な状態から描いた方が良いようにも思うかもしれませんが、仏像の御姿に気品や拝まれる対象としての雰囲気を持たせようと思うと、描くという作業よりも修正する作業の方が大きいように思っています。
今回、頬のラインの膨らみ目の雰囲気を少しずつ修正していました。
一から描くと描き終えた事に安堵してしまって冷静に見れない事があります。
つまり最後まで仕上げると力つきてしまうので、最後の修正が力不足になります。
一生懸命必死に仕上げるという方法ももちろんあります。
しかし仏さんらしいお姿を描こうと思うとなかなか難しいように感じます。
絵と同様にここに三体の仏像があります。
4年前に彫り始めてまだ仕上がっていません。
彫りを修正したり、絵を描きながら仏像のお顔をどのように表現するのか仕上げようと思わずに、残しておきます。
新しく仏像の彫りを始める前に、未完成の仏像を少し修正してから新しい仏像を彫り始めると彫るところがよくわかるようになると思います。
私は仏像彫刻ですが、もし何か物事にぶつかって超えないといけない壁が出来たとしたら、途中で作業や研究や練習をストップして、頭を切り替えて、やるべき事から離れる勇気も必要なのかもしれません。
仏像のお顔の表情の修正
まずはYouTubeで。
上の画像が修正後の顔の表情です。
修正前の顔の表情です。
仏像お顔の表情は修正しながら彫ると迷いが少なく彫る箇所が明確になり彫り進みに実感がわきます。
彫りに迷ったらがむしゃらに彫る事をやめてしばらく時間を置いた方が良いです。
人は他人が作った物の欠点を見る事は得意ですが、自分のものを客観的に見る事は難しいように感じます。
ですので時間をおいて自分が作ったか作っていないのかわからない、しばらく見えないところに置いて別の事をします。
ある日突然思いついたかのように取り出すと「アー全然彫れてない」「鼻の位置が高すぎ」など、以前一生懸命彫っていたときに比べて他人が制作したかのように批評する事が出来ます。
その感覚を忘れずに、まずはどのように修正をするのか、足先から額口の高さまでを計ると6寸です。
ですので10等分にすると6分になり、この仏像の一つは6分になります。
それを基準にまずは中心線を描き、額口から一つ下がったところが口元です。
口元よりも少し高い位置が鼻の位置です。
額口から6分下がったところが口元ですが少し高い位置にあります。
そして鼻もそれに従い高い位置にあります。
鼻が下がっていると上に上げる事が出来るのですが、所定の位置よりも高い位置にあると下げる事が出来ません。
ですので全体的にあげていくことになるのですが、まずは肩をこれ以上下げないように心がけます。
肩を下げてしまうと鼻の位置が決まっているので、首が長く違和感が出てきます。
今回耳は表情とは関係がないのですが、ある程度の輪郭線を作って顔を彫った分、耳も少し彫り進めます。
まずは第一刀です。
目をはっきり出してあげます。
すると全体的に引き締まります。
つづいて口元を彫りだします。
鼻の位置が上に上がっている分あごをあげます。
髪も太すぎるので幅を狭くします。
幅を狭くすると同時に飾りの部分も低くして幅を揃えます。
表情を整えながら隣り合った首や耳や髪や肩を意識しながら進めます。
ある程度の荒彫りが出来たら、細かく表情を作ってみます。
目の線を鉛筆で下書きをせずに、彫刻刀で細かく当たりをつけながら彫りだしています。
以前は下書きを書いていたのですが、下図線で見るよりも削り跡を確認しながらの微調整の方が、仏さんらしく彫れるように思います。
顔の表情と同時に宝冠も少し彫りだします。
表情だけが先に彫り進めすぎると、全体的な雰囲気が見えにくくなります。
ですので顔が少し進んでいる程度にします。
今回は仕上げではないので、あくまでも修正です。
下の画像が修正後となります。
完
光背のついたお地蔵さんの彫刻 5
お地蔵さんのお顔の彫刻 7 仕上げ
前回の目の微調整の続きをして途中休憩を入れながら何度も何度も修正を繰り返しようやく完成の運びとなりました。
造佛記のチャレンジシリーズは最後となります。
すべてのチャレンジシリーズを読まれた方は、少ないと思いますがここまで全て目を通した人なら仏像彫刻について10%ほど理解できたのではないでしょうか。
仏像彫刻はどんなに優れたテキスト本を読んだり写真を見ても実際に手を使って彫らなければ一向に前には進みません。
手を動かしながら仏頭までたどり着いた人は、さらに今までの苦手だと思うチャレンジシリーズを繰り返し彫刻すると必ず上達します。
彫れるようになったと思ったら、寄木造りの制作行程や初音ミクの彫り方などを参考に、自身の彫りたい彫刻を試されるとさらに木彫の楽しさを実感いていただけるのではないかと思っています。