黒目も彫りだして表現してます。
目は本当に難しい、荒彫り仕上げなのであまり手数をかけられない、この段階ではバランスを考えてどこを彫ればバランスがとれるのかを考えて一刀ずつ彫り進めます。
横顔は想像で彫刻しています。
鼻先と耳との距離感を考えながら、まだ耳の形は決めません。
わずかに目元を修正してます。
ほぼ横顔が決定しましたので耳の位置を決め、耳穴を基準に彫刻しました。
顔の表情をだします。
私は写真を見て確認しながら彫刻をしていますが、あまり細かく計測せずに雰囲気を感じ取りながら表情を出しています。
仏像と彫り方はそう変わらないですが、若干鼻に対して目の位置が高くなっています。
耳の後ろは余裕を持たせています。
顔の表情を形作るときに徐々に耳の位置を決めるのでこの段階ではまだ決めません。
後ろは想像で作っています。
眉と目の間の溝を彫刻するときに仏像と違って人の顔の場合、溝を目尻の上まで通さない方が良いです。
目を描いていますが、この段階では調子を見るだけなのであまりきっちりとした下絵ではありません。
黒い目を描く事で基準が明確に見えてきます。
顔の基準は黒目の位置だと思います。
黒目の位置を決めて目を少しずつ開けて、鼻の位置、鼻と口の関係などがはっきりとしてきます。
すべては黒目を基準として見てみるととても理解しやすくなります。
初めて顔出し動画を撮影しました。
お地蔵さんの仏頭を木取りの状態から仕上げの手前まで多少のカットがありますが、木彫りをしている様子はすべてカットなしで撮影しています。
カメラが向いていると意識が思った以上に分散して、途中カメラから離れてじっくりと表情をつくろうかとも考えたのですが、それだと全ての彫刻を撮影できないので私が見る立場だったら面白くないだろうと思って、ひかえました。
後から見返すと、緊張してしゃべっているのがよくわかります。
そして、彫刻している手元もよく見えていなかったのが動画を見返して残念だったなあと思います。
動画撮影は彫刻を彫りたい皆さんのためというよりも私自身の勉強になってしまいました。
一人で黙々と彫りながらしゃべるのがどれだけ難しいのか、本当に実感としてよくわかりました。
今回の動画は下の画像の一番小さなお地蔵さんを彫りました。
仕上がってはいないのですが、次回仕上げる行程を撮影してみたいと思います。
ただ、永遠と小刻みに仕上げているだけなのでよっぽど木彫が好きな人でないと面白くない動画になってしまうと思います。
今回の人物の彫刻ですが、資料は正面の写真のみです。
ですので顔の奥行きは憶測で彫るしかないのですが、完璧に似せるつもりはなかったので、一般的な人物の横顔を参考にしながら正面の顔と違和感がないように調整します。
まず最初にセイタロウさんの顔写真をプリントアウトして木に合わせます。
顔写真のプリント紙と木の間にトレース紙を挟んで輪郭線をなぞって描き木に写します。
大雑把に描いているので、あとで目鼻口を描き足します。
輪郭線をカットします。
後ほど若干の大きさの問題があったのですが、頭の高さが少し低かったのですが、これはカメラとの距離が近くで撮影された場合顔の表情が近くになります。
そのため顔の表情以外が少し小さく映ります。
実は人物を彫刻するときは以前も同じ問題があったので今回は僅かに余裕を持たせていたつもりなのですがまだ足りなかったようです。
もし顔写真を使って木彫りをされるときはカメラの距離が近い場所で撮影すると、少し顔の表情が大きく映りますのでその事をふまえて制作してみてください。
下の画像では斜め横からみるとかなり奥行きに余裕を持たせています。
第一刀目です。
耳の位置は、仏さんの寸法よりも若干余分に印を付けました。
幅の3分の2が仏さんの耳の奥行きです。
今回の人物の耳の奥行きは仏さんの位置を基準にすると耳と顔が近すぎるので、少し耳の位置を奥にします。
顔の四隅をの角をカットして徐々に丸めます。
まずは動画から
今回は彫り跡を荒々しく残した肖像彫刻にしてみました。
彫刻を長い間していると、奇麗な仕上げにはお腹いっぱいになっていて、荒彫りを挑戦してみたくなります。
かといって粗彫りをやってみようと思ってもなかなか彫ることに慣れていない人はむずかしいです。
というのも、形を作り出して行く行程で迷いがおきては、ちまちました彫りになり一部が奇麗に仕上がって全体としてアンバランスな彫刻になります。
特に目の周辺は彫りの回数を出来るだけ減らして仕上げなければいけないので、いがいと粗彫りは難しいです。
モデルとなっていただいたセイタロウさんにはまだ彫刻をしても良いのか聞いていなかったのです。
昨日思いつきで彫刻して3時間程で出来上がって、そのまま勢いでYouTubeにアップしました。
一応本人に似ているかどうかはここでは、控えておきますが、しかしこの木彫りの彫刻よりも男前なので、それだけは一言お伝えしておきます。
肖像彫刻は面白いもので、むかしからある肖像彫刻もおそらく同じだと思うのですが、本人に似ているかどうかはともかくその人の生き様を刻む事になります。
生き様というのは、物事対する真摯な姿勢であったり、たくましさであり、また弱さでもあったり、情熱的であり臆病であったりと、人それぞれどんな人でも長所だけではなく短所も持っていると思います。
長所だけをみて肖像彫刻として刻んでもきっと、深みのある表情は出ないように思います。
そのまなざしには、厳しさや優しさ気品をそなえていたり、また許してあげるおおらかさなど、まなざしの中から人柄を感じ取れるような眼差しを表現してみたいと思いました。
いつも大変お世話になっている、セイタロウさんの肖像彫刻を作ってみました。
セイタロウさんは私のブログでは英訳をしていただいて本当にいつも助かっています。
本当にありがとうございます。
今回の木彫りのセイタロウさんは荒彫り仕上げにしてみました。
荒彫りは意外に難しい彫り方で、手数をいかに減らしてピンポイントで彫り上げるかが試されます。
特に細かな顔の表情を形作るときも微調整の回数は限られます。
迷って何度も修正が出来ないので、最初の彫りが肝心になります。
皆さんがよく気になっている制作時間ですが、ちなみに今回は3時間ぐらいです。
私が作るとどうしても僧侶の風格になてしまうのですが、本人は私よりもだいぶ若く、木彫りの彫刻よりももっと男前ですよ。
セイタロウさんの詳しい記事はこちらにリンクを張っておきます。
前のページと同じ動画です。
確認の為に貼付けておきました。
小鼻の幅を決めます。
この小鼻も少し幅が広めですが、彫っていくうちに若干幅が細まっていきます。
そして小鼻のラインを鉛筆で描きます。
鼻の穴は僅かにへこんでいますが、無理にへこまそうとすると穴が目立ってしまいます。
ですので、彫る自信がない場合は小鼻の穴は小鼻の幅がしっかりと決まってからにしますが、私は今の段階では下線を描いてまだ彫りません。
後で、おそるおそる僅かにへこませます。
額についている丸い白豪は本来ならばもう少し厚みを残したり、また穴を彫ってそこに丸く削った木や水晶などを差し込んだりしますが、今回は表情を彫る練習なので白豪は僅かに浅く彫る事にしました。
あると表情をとらえるのが難しい場合はなくてもかまいません。
後で丸い木を貼付けても良いと思います。
そして、古い仏像でも水晶などがはめ込み式になっている仏像が多いのですが、人によっては額に穴をあけるのをあまりよく思われない方もいらっしゃいます。
私もどちらかと言えば心情的に額に穴を彫りたくないのですが。
この段階はどう説明していいのか本当に頭をかかえます。
うまく説明できないといけないのですが。
つまり鼻と小鼻の間を浅い丸刀を目の方向に斜めに彫りますが、その中で途中をややへこめたり、小鼻と鼻の間を丸刀で通すときに鼻と小鼻の区別が一発で見えるように彫る事、などその一刀で微妙な表現をしなければいけないのですが、かといってこの通りにしても絶対にうまくはいきません。
ですので最初は慎重になって何度も何度も繰り返しになると思いますが、上記の事を意識しすぎずに、まずは自分のやり方で一度挑戦してみてください。
首についた三本の線、三道と呼びますが意外と難しいです。
首の皺のような弾力感を表現するのですが、耳の下で徐々に消えていきます。
最初は深く彫ってしまいがちですが、深く彫らずに、浅めにおさえます。
徐々に仕上げにとりかかります。
完成
前回と同じ動画です。
眉と目をわけていきます。
ここで初めて丸刀を利用します。
まずは目の半分ぐらいまで眉との境目彫り進めて徐々にのばしていきます。
眉の位置は下線よりも下にしています。
眉も徐々に所定の位置に上げていきますが、まずは余裕を持って下位置から彫り始めています。
左目の周辺も同様に彫り進めます。
この段階ではまだ耳が出てきていません。
耳を出すために、まだ顔は細くなります。
顔を細くすると、目鼻口の感じが変わってきますので徐々に修正します。
その為に最初から目鼻口に余裕を持たせていました。
耳を出すために顔の幅を少しずつ細くしていきます。
目は内側を少し上げています。
荒彫りの状態で仏さんらしい表情にするのは難しいのですが、このときに色々と表情をためしていきます。
私は荒彫りの段階から目を出しています。
しかし、この状態が最終的な目の位置ではなく、目を薄らと削る事によって基準が出来ます。
全体的にどこを彫れば良いのかも明確に見えてきます。
鉛筆で目を描いても良いのですが、しかし彫って見た場合と、鉛筆の線で見た場合とでは全く同じ線でも違った雰囲気に見えます。
それで私は最近このように目を薄らと彫って確認しています。
仏像のお顔の制作行程は何度か記事にしていたのですが、今回は特に目鼻口を中心にまとめてみました。
まずは中心線を引いて、幅をはかります。
幅の3分の2が仏像の一つにあたります。
横線が三本引いていますが、間隔は仏頭の横幅の三分の一(半)にしています。
額口の横線から唇の横線までの長さが一つになります。
まずは首の輪郭線をカットします。
次に首をまるめていきます。
大きな仏像などは胴体に首を差し込んで制作された御像もあります。
今回は差し込みませんがその名残で少し先を細めています。
四角い四隅を徐々にまるめます。
次に頭頂を丸めます。
顎を丸めます。
顎を丸めるときは耳に注意します。
いよいよここからは表情の彫刻に入ります。
まずは鼻先の下に切り込みを入れますが、少し鼻に余裕を持たせて若干ですが下の位置にしておきます。
彫りながら徐々に鼻を上げていきます。
次に鼻の断面を削り、目のところで止めて、目の膨らみを意識して目の断面が逆三角っぽく見えるように面で彫ります。
くちの膨らみも意識しますが、口はまだまだ鼻に比べたら奥になるのでこの段階では彫りすぎる事はないですので思い切って彫ってみてください。
ここで口を横から見たら斜めに切り落とします。
口を斜めに切り落とし奥にすると顎(あご)が狭くなります。
ですが顎(あご)はあまり彫りすぎないよう、もう少し顔の彫刻がすすんでからにします。
唇は上唇を斜めに落とし下唇は真っすぐに下に落とすようにします。
下唇の端が一番深くなります。
その事を意識しながら上唇と下唇を分けます。
眉を彫る段階です。
丸刀で軽くついた中途半端な状態ですが、続きは次回に
わらじの製作の記事もいよいよ仕上げに入り今回で最後となります。
余談ではございますが、わらじはなにもアバカや、わらで編まなくてはいけないものではございません。
巷ではエコわらじといって、古着などをりようして編まれている方もたくさんいらっしゃるようです。
実際、私も今いただいた注文のお客様が、小さな女の子ということで、足が痛くなったらかわいそうだと思い
古着で鼻緒をしあげたところ、とても雰囲気のあるわらじになりました。
わらじは、編むのに何一つ、特別な道具は要りません。
必要なものは、根気と時間と手だけです。
そして、編み方は、たくさんの方法があります。
どれが正解というのはまったくないので、自分なりに、自分の足や手、使う素材にあった編み方
で編むのが一番良いと思います。
花火大会や、夏祭りが増えて浴衣などで出かける機会が増える季節になってくると思いますが、
今年は自分で編んだわらじで出かけてみるのも、粋でかっこいいと思います。
それでは、早速仕上げの説明を進めさせていただきます。
↑前回、はさみの先で飛び出たワラを押し込んで調整した後です。
このようにまっすぐなるように仕上げます
このときに初めてつま先の形の左右を意識してすこし形作るようにします
↑ハンマーを使ってたたきつぶしていきます
このときしっかり上から叩き込むことで、ワラどうしの摩擦力が高まり、硬くしまり、まるで板が中に入っているような硬さになります。
また叩き込むときもワラが飛び出さないように、まっすぐ調整しながら叩きます。
↑ハンマーで叩き潰す箇所で一番重要な箇所はここです。
鼻緒の輪を裏でげんこつ結びにした、げんこつの箇所を平らに叩き潰して、絶対にほどけないようにします。
この画像のように真平らになるまで何度も、わらじの表側から、叩き潰します。
↑叩くと、どうしてもワラが平らにつぶれて伸びるので、多少形が変形し、少し大きくなります。
叩き込んだあとに、全体として美しいフォルムになっているかいろんな角度からチェックします。
↑
鼻緒を通す穴の位置を決めて、はさみで、ワラを通す隙間を作ります。
このとき、鼻緒が通る位置ですが、思ったよりかかと側になります。
私は編みたてのときこの位置をよく間違い、失敗しました。
ちなみに、この位置が、つま先よりになると、幼いイメージの仕上がりになり、かかとよりになると大人っぽい上品な仕上がりになります。
ある程度は好みで調整できますが、あまりつま先よりにすると、履いていて足が痛くなったり脱げ易いわらじになってしまいます。
↑
通した二本のワラを撚って、鼻緒を作ります。
言葉で説明するのは難しいのですが、ワラをはさんで合掌した手を、左手を前に、右手を手前にずらしながら、
ワラは手前に回すというイメージです。
最初は、難しい箇所ですが、なれると簡単に誰でも出来るようになります。
また、どうしてもなれないうちは、ワラが逆に回転していき、撚り方が逆になった鼻緒になってしまいます。
逆になってしまうと、美しくないだけでなく、とてもはいていて足が痛いわらじになっていまうので注意が必要です。
↑
ワラを撚るときは、上に引っ張りながら撚るのですが、そのときに、せっかく硬く編みこんだ、箇所が崩れてしまわないよう、鼻緒の両側を、足の親指で押さえ込みます。
そして、上手に撚れるとこのように、手を離しても、ワラが立ちます。
↑
十分な長さになるまでワラを撚ります。
↑
鼻緒を通しますが、このときにしっかり、上からみて反対側の穴とまっすぐ同じ位置になるようにします。
ただし、履く人の足甲の形や高さがわかれば、その人の足に合わせて多少左右の位置を斜めにすることもあります。
自分で履くのであればこの時点で足を乗せて実際にしっくり来る位置を決めてしまうのがいいと思います。
↑
最初に通した鼻緒の隙間に向けて、上、下、と余ったワラを隙間に編みこんでいき、最後に余ったワラを切り落とします。
↑
鼻緒を通した箇所を叩き込みます。
鼻緒を通すと鼻緒の一列分、わらじが大きくなりますので、片足分を作って、それにサイズをあわすときなどは、その大きさの分小さめに編むようにしておきます。
このときにもう一度、飛び上がっている箇所やゆるい箇所、変形した箇所もしっかり叩き込みます。
↑
形が出来上がりました。
いろんな角度から、バランスをチェックします
↑
わらじの製作に使った道具をもう一度紹介しておきます。
蝋とはさみ、ハンマー、ワラ、たたき台だけしか使いません。
↑
最後の仕上げで、ワラのヒゲを燃やします。
編んでいるとどうしても、ワラがほつれて毛羽立ちますが、この毛羽立ったヒゲをそのままにすると、履いていて履き心地が悪くなる原因になるので、ストーブや、ライターなどで軽くあぶります。
↑
左右ならべてみました。
最初は、この左右の大きさや形をあわせるのにとても苦労すると思います。
コツは片一方を先に仕上げてしまい、その片一方をすぐ手元において何度も形を見て触って確認しながら仕上げます。
すると同じ形に出来上がります。
私の文章力では、とてもわかりにくい箇所もあったと思います。
わらじを編むということ自体は、そんなに難しい技術が必要なわけではなく、少し工夫すれば、誰でもオリジナルの編み方ができるところが、わらじ作りの魅力でもあります。
実際私も手取り、足取り教えてもらったことはありませんでしたが、四足ほど編むとコツのようなものをつかんできます。
是非ご興味をもたれましたら、お手元にある身近なものでチャレンジしてみてください。
フィリピンで、私は毎日自分で編んだわらじで歩いていますが、本当にいろんな国の人に、どこで売っているんだとよく聞かれます。
これは、決して私の技術力が高いから、ほしいと思っているわけではなくわれわれの偉大な先人たちがが生活の中で長年かけて作られたこのわらじというデザインが世界で通用するほど、とても魅力的だからだと思います。
最後に私の父が言っていた、手作りわらじに対する思いの言葉でしめくくらさせていただきます。
「自分が編んだ手作りわらじが健康にいいかどうかは、わからない。
ただ、履いていると気持ちいのは間違いない。
気持ちがいいと、ずっと歩きたくなる。
歩きたくなるから、たくさん歩く。
だから心と身体の健康にいい気がするんだな笑」
最後まで私の駄文にお付き合いいただき誠にありがとうございました。
征太郎