彫刻刀を毎日使っていると、たまに刃先を痛める事があります。
古い仏像の修理中に釘が入っていたりすると、少しかすっただけでも切れ味が悪くあり、釘がある事をわからずに木を彫るような力でざくっと削ると、このようにすぐに刃先を欠かせることになります。
そのようになると欠かせたところがなくなるまで粗砥石で研ぎ落としていきます。
そのときに最初にする作業が、砥石の面に対して彫刻刀を立てて垂直にします。
その形を保ったまま荒砥の面を前後ろに彫刻刀の刃先を動かして刃先を整えます。
刃先を整えると裏面も真ん中の刃先がへこまない程度にして、研ぎすぎないように面を出します。
さらに今度は刃先の面を荒砥石で平らに砥ぎます。
そのときに刃先にやや力を加えて研ぐと、多少角度が鈍角になりますが、早く研げます。
荒砥石で砥いだ面が出てきたら、今度は中砥石に変えます。
荒砥石→中砥石→仕上砥石という順番に砥ぐ力も弱めていきます。
そのような気持ちで砥ぎ中砥石でも同じように面を出します。
裏面も同じように出しますが、あまり砥ぎすぎないように注意します。
仕上砥石に移ります。
仕上げに入ると力を入れずに表の面と裏の面を砥ぎます。
刃先を目と手で確認して試しに木を削って筋が入っていないかどうか確認して、木の面に筋が入らずに光沢が出ると完成です。