日本の玄能の魅力

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画像には三種類の玄能がありますが真ん中の玄能はよく使います。

小玄能といいますが、今回柄に汚れが目立ってきたので、表面を鉋で薄く落として、木の素地の状態にしました。

その上から椿油を全体に塗って久しぶりに鎚の手入れをしていました。

日曜大工で見かける金槌は上の柄のように真っすぐではなく持ち手のところが少しへこませて、持ちやすくしています。

私はへこませていない、真っすぐな柄の方が好きです、画像ではわかりづらいですが、わずかに持ち手の部分がへこんでいます。

一度使うとこの柄の形、小さいながら重量のある玄能を手放せなくなります。

もう20年近く使用していますが、まだまだ現役です。

そして、画像の下の細い玄能は豆玄能と呼び、骨董市で手に入れた物です。

とても繊細な作業をするときに使用します。

一番大きな玄能は鍛冶屋さんで直接手に入れた物です。

この玄能は大きいのですが、柄の長さが短くしてあるので小回りが利きます。

どの玄能も見た目の大きさ以上に重いです。

ずっしりとして、それが作業する上でとても扱いやすく、振り上げてたあとに重力に任せて落とします。

ですので、コントロールにだけ集中できます。

小さいのにずっしりと重いというのは作業をするのに大変重宝します。

合掌

 

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彫刻刀の刃先が欠けたら

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彫刻刀を毎日使っていると、たまに刃先を痛める事があります。

古い仏像の修理中に釘が入っていたりすると、少しかすっただけでも切れ味が悪くあり、釘がある事をわからずに木を彫るような力でざくっと削ると、このようにすぐに刃先を欠かせることになります。

 

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そのようになると欠かせたところがなくなるまで粗砥石で研ぎ落としていきます。

そのときに最初にする作業が、砥石の面に対して彫刻刀を立てて垂直にします。

その形を保ったまま荒砥の面を前後ろに彫刻刀の刃先を動かして刃先を整えます。

 

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刃先を整えると裏面も真ん中の刃先がへこまない程度にして、研ぎすぎないように面を出します。

 

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さらに今度は刃先の面を荒砥石で平らに砥ぎます。

そのときに刃先にやや力を加えて研ぐと、多少角度が鈍角になりますが、早く研げます。

 

 

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荒砥石で砥いだ面が出てきたら、今度は中砥石に変えます。

 

 

 

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荒砥石→中砥石→仕上砥石という順番に砥ぐ力も弱めていきます。

そのような気持ちで砥ぎ中砥石でも同じように面を出します。

 

 

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裏面も同じように出しますが、あまり砥ぎすぎないように注意します。

 

 

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仕上砥石に移ります。

仕上げに入ると力を入れずに表の面と裏の面を砥ぎます。

 

 

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刃先を目と手で確認して試しに木を削って筋が入っていないかどうか確認して、木の面に筋が入らずに光沢が出ると完成です。

 

 

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道具の種類

彫刻刀に柄をつける

彫刻刀の柄を割って作る

ペンケースに入れる彫刻刀を改良してみる

二種類の砥石を使って彫刻刀を砥ぐ

彫刻刀の刃先が欠けたら

丸刀の研ぎ方

彫刻刀の柄を削って丸刀の刃先を長くする

彫刻刀の柄の先に糸を巻き付ける

 

奇麗な彫刻刀と彫るための用と美を兼ね備えた彫刻刀の違い

私が彫刻を始めた20年程前、初めてちゃんとした彫刻刀を購入した一本が三分の印刀でした。

その一本を使って、花菱(幾何学紋の花)を板に彫る練習をして、次に手足を彫るときは、3本に増えていました。

そして、次に顔を彫り、全身を彫るようになった頃には30本程になっていたと思います。

その頃の私の彫刻刀の柄は漆塗りに興味があったので、下地に赤を塗りその上から黒を塗り重ねて、固まってからペーパーで一部を強く擦り、所々下地の赤が見えるような柄を作って楽しんでいました。

その時は格好良いと思って使ってその漆塗りの柄を握り数ヶ月間彫刻をしていましたが、彫刻を教えていただいた仏師の先生の柄をみると、柄の表面は何も塗っていなくて彫刻で使える程度に粗く仕上げた彫刻刀の跡が残っていて、それが手で何度も何度も使っているうちに木の色も変わり落ち着いた風貌になっていました。

もちろん塗ってあるのもあったのですが、それも同じようにあまり奇麗に仕上げずに荒削りの状態の上から薄らと塗ってありました。

それらの柄は当初感じていた、粗雑な感じの印象だったのが変わっていて、その削り跡が素朴な味わいに見えてきました。

そのような事がきっかけで次に私がした行動は、彫刻刀の柄の漆を全部削り取って、素朴な味わいになるような柄を目指して、作りなおしていました。

その柄をしばらく使っていたのですが、どうも仏師の先生のような統一感のある素朴な雰囲気ではなく、アンバランスな苦心して素朴感をだしたようのな雰囲気になってしまいました。

いつの間にか私は仏像を彫るという事から、道具を美しく見せるという事に興味が移っていました。

沢山の道草をしてしまいましたが、たどり着いた結果、道具は仏像を彫るための補佐に過ぎないという事です。

どんなに高価な鋼を使おうが、道具に細工を施そうが、沢山の彫刻刀を集めようが、美しく洗練された仏像をさらに言えば仏像の高尚な表情が彫れる事が一番重要であるということです。

仏像を彫るための補佐的な彫刻刀ですが、以前にも書いたと思いますが、仏像を彫りながら、年月を重ねて、少しずつ手に馴染む個々人それぞれの道具に仕立てていく事が、控えめでありながら道具としての用と美を兼ね備えた道具に仕上がっていくのではないだろうかと最近ではそう感じています。

道具に限らず色々な道草を沢山したおかげで私は、仏像を彫れるようになるのに普通の仏師の1.8倍の年月が かかったように思います。

私の性格は、どっしりと腰を据えて一つの物事に取り込もうとしていても、あれもやってみたいこれもしてみたいと、結構いいかげんなところがあります。

そういうことで私のブログを読んでいただいている読者はもしかしたら、仏像を彫れるようになるのに普通の仏像彫刻のテキスト本と比べて2倍近く時間がかかるかもしれませんが、それは覚悟してください。

ゴールを先に延ばしにして余裕を持って、いろいろな経験を積みながら仏像が彫れるようになる方が、私は楽しく生きられるのではないかと思います。

私は道具に興味があるときは全力で道具に目を奪われる時期も必要だと思います。

美しい道具、沢山の道具を見せびらかして良い仏像が彫れると勘違いしてしまう可能性がありますが、別に勘違いしても良いのかなあとも思います。

あとで確実に勘違いしていたと恥ずかしくなるのは個々人の差はあるかもしれませんが時間の問題です。

それもまた苦い経験を沢山積んできたからこそ、これから彫刻を始める人に対しておおらかに優しく接する人間に成長できるのであれば、全てひっくるめて良い経験なのかも知れません。

 

合掌

彫刻刀の柄の先を短くする

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彫刻刀を毎日使用していると、刃の部分が短くなってきます。

刃先が木の柄に近づいてきて、使い勝手が少しずつ悪くなってきます。

短い方が大きな力を加えやすいのですが、微妙な彫刻をするのには刃先が長く出ていた方が使いやすい場合の方が多いので、柄の先を削って刃を出してみたいと思います。

 

 

 

 

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まず最初に印刀で短くしたい長さに切り込みを入れます。

 

 

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切り込んだところは薄く残しているので、上から軽く刃を入れると下の画像のように感嘆に木が取れます。

 

 

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同じ要領で反対側も削ります。

 

 

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柄の先は斜めに落として、形を整えます。

 

 

 

 

 

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柄の先は印刀を裏にして、金属部分に刃が当たらないようにゆっくりと削り仕上げます。

最後に全体の形を整えたら完成です。

 

 

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道具の種類

彫刻刀に柄をつける

彫刻刀の柄を割って作る

ペンケースに入れる彫刻刀を改良してみる

二種類の砥石を使って彫刻刀を砥ぐ

彫刻刀の刃先が欠けたら

丸刀の研ぎ方

彫刻刀の柄を削って丸刀の刃先を長くする

彫刻刀の柄の先に糸を巻き付ける

 

彫刻刀の丸刀を砥石を使って砥ぐ方法

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丸刀を砥ぐには専用の砥石を手に入れるか、自分で丸刀にあった砥石を作る必要があります。

上の画像は右の赤い砥石が中砥石、その左隣が仕上げ砥石、その上の小さな砥石が丸刀の裏を研ぐための仕上げ砥石です。

 

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赤い砥石の中砥石に溝を付けた状態です。

溝を作るのはかなり時間がかかります。

丸刀のアールに合わせて様々な溝を作るのですが、地道に丸刀を何度も何度も研ぐ必要があります。

その隣の仕上げ砥石は、最初から溝が作ってあるものを手に入れました。

 

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中砥石は水を充分吸い込ませる必要があります。

上の写真は15分ぐらいつけておきました。

 

 

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丸刀の形状にあった溝を探し、中砥石で研ぎます。

 

丸刀の裏を指で触ってみます。

刃先が返っていたら手応えがあります。

刃が返っていなかったら、何度も何度も中砥石で研ぎます。

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中砥石と同じ要領で、仕上げ砥石を使って研ぎます。

今度はあまり力を入れずに軽く動かします。

 

 

最後に裏を研ぎだし完成です。

あとは何度も何度も経験を重ねながら、習得してください。

最初は上手く研げないと思いますが、印刀などの平らな彫刻刀を切れるように研げる人なら、すぐに要領をつかめると思います。

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道具の種類

 

彫刻刀に柄をつける

 

彫刻刀の柄を割って作る

ペンケースに入れる彫刻刀を改良してみる

二種類の砥石を使って彫刻刀を砥ぐ

彫刻刀の刃先が欠けたら

丸刀の研ぎ方

彫刻刀の柄を削って丸刀の刃先を長くする

彫刻刀の柄の先に糸を巻き付ける

 

彫刻刀の小道具の柄の先に糸を巻いて強くする

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この写真の彫刻刀は平刀ですが、柄の部分が細くなっています。

このような形状の道具を小道具と呼びます。

小道具に限るのですが、柔らかい木を柄で使うと、このように細くなると、強度が弱くなります。

それに小道具は彫刻刀のように、短くなったら柄を削る事もないので、柄の先に糸を巻きます。

糸は凧糸や釣り糸など、何でも良いです。

身近なもので使ってみてください。

まずは柄の先を印刀を使って整えます。

 

 

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サンドペーパーを使って、仕上げます。

私は元々、柄を奇麗にペーパーを使って仕上げる事に抵抗がありました。

そして、今までは彫り跡を残して使用していました。

ですので、ペーパーを当てないやり方が良いと感じたなら、ペーパーを当てるのは無視してください。

それはそれで使えば使う程、味がでてきます。

 

 

 

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上の画像は、全体をペーパーで仕上げた状態です。

 

 

 

 

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糸を巻く場所の溝を彫ります。

まずは印刀を使って両端に切り込みを入れます。

 

 

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印刀で所定の深さまで削ります。

そして、溝の幅にあった平刀を使って奇麗に整えます。

 

 

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他にもっと良いやり方があればそちらを試していただいて良いのですが、とりあえず私のやり方をご紹介します。

まずは糸の先を折り曲げて柄に当てがい柄の先から糸を巻いていきます。

 

 

 

 

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巻き終えたら輪になっている糸に糸を通します。

 

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刃先に出ている糸を引っ張ると、巻き終えた糸が中に入りこみますが、入る手前で一度止めます。tyoukokutou-ito-17

 

 

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巻いた糸の幅よりも印刀で短く糸を切ります。

 

 

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もう一度、糸を引っ張って巻き終えた糸を中に入れると、最後に引っ張った糸も印刀で切ります。

 

 

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これで完成ですが、糸がほどけないように瞬間接着剤を使って、糸に染み込ませてしっかりと固定させます。

 

 

 

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完成しました。

最後につやを出すために椿油を塗ります。

 

 

 

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画像では違いがわかりづらいですが、実際にはオイルを塗る事でかなりつやが出てきます。

 

 

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道具の種類

彫刻刀に柄をつける

彫刻刀の柄を割って作る

ペンケースに入れる彫刻刀を改良してみる

二種類の砥石を使って彫刻刀を砥ぐ

彫刻刀の刃先が欠けたら

丸刀の研ぎ方

彫刻刀の柄を削って丸刀の刃先を長くする

彫刻刀の柄の先に糸を巻き付ける

 

仏像の顔の表情 お地蔵さん

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自身のブログを読み返していると、チャレンジ3の仏頭の仕上がった写真がなかったことに気がつきました。

私はブログを書きっぱなしで、後で読み返したりした方が良いと思っているのですが、なかなか書く事で手一杯の状態です。

しかし、お顔の仕上がった彫刻をこのままのブログの更新頻度でいけば、来月末頃になり、ちょっとそれでは遅すぎると思いまずは途中段階を飛ばして仕上げた状態を掲載したいと思います。

 

 

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仏像のお顔は横から見ると額から鼻口顎首の輪郭線だけをとってみても仏像らしく見えたり見えなかったりします。

私は平安時代の仏像の横顔がとても美しいと思っていて、その輪郭線だけ取り出してもとても美しいという事に気がつきました。

もし仏頭を上手に彫りたいという方がいらっしゃいましたら、それぞれ大好きな仏像の横顔の輪郭線を型紙で取って、型紙を当てがいながら、横顔の輪郭線を彫りだすと、それだけでかなり勉強になります。

 

 

 

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耳の彫刻は最初に耳の穴を決めると次の彫刻に進みやすいです。

 

 

 

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完成

彫刻刀の柄の形 ー 使いやすい彫刻刀の柄のフォルムとは

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上の画像と下の画像は小道具の平刀です。

刃の幅は9分(2.7㎝)です。

彫刻刀の柄の形状は、彫刻をする人によって微妙に違います。

私もこの小道具の柄は何度も形状が変わっています。

刃先の長さは購入した当初はこの状態よりも3㎝程長くて15年でこの長さになりました。

そのため、たまに強い力を加えて彫刻をすると柄の先が細いので割れたりします。

その時は応急処置で接着剤を入れて使っていました。

忙しいとそのままにして使用していたりと、本当に乱暴に扱っていました。

このブログを書くことで、私の道具も自然と画像の中に写ったりします。

そして、私のブログを見てコメントを頂いた人に、彫刻のアドバイスをさせてもらう事も増えました。

そのため私は、彫刻を始めた頃を思い出すことも増えて、彫刻を始めた頃を思い返す事も増えました。

そして思い出すのと同時に、また道具をきちんとしておいた方が、初めて彫る人にも説得力がないと思い始めました。

ここ数年は道具に無頓着だったのですが、道具をもう一度見直しこれから彫刻を挑戦していきたいという人にも改めて今まで私が感じていた彫刻刀の柄について文章にまとめてみたいと思います。

 

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小道具という彫刻刀は刃の根元が細くなっています。

このような道具の利点は、見た目がかっこ良いというのもありますが、広い刃先の彫刻刀ですが細い柄で握りやすくて小回りがきいて使いやすいです。

普通の根元が細くなっていない平刀だと、手に持つ柄の部分が大きくなります。

大きいと力を込めて彫刻が出来るので、どちらもそれぞれに使い道があります。

上の画像の小道具は柄の先が細いので力が加わると割れる危険性があるので、私は糸を巻いています。

巻き方は下にリンクを張っておきます。

彫刻刀の小道具の柄の先に糸を巻いて強くする

道具のフォルムは、はじめのうちは柄のお尻の部分をあまり細くしていなかったのですが、今回は細くしてみました。

柄は小道具でも彫刻刀でもだいたい持つところが膨らんでいて、お尻の部分と柄の刃先の部分は細くして仕上げています。

お尻の部分を太くしても問題はありません。

現に私も太くしていた時期があったのですが、一番大切なところは持つ場所がきちんと持ちやすく出来ていたら、それ以外の場所では、極端な話彫刻をして遊んでも問題はありません。

また、漆を塗ってお尻の部分に切金を施している仏師の方もいらっしゃいます。

 

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こちらは浅丸の丸刀です。

普通の丸刀よりも浅くできています。

上の状態は長い間使用して、刃先が短くなってきたので、下の画像のように柄の方を切って短くしてみました。

短くする方法は下にリンクをはっておきます。

彫刻刀の柄の先を短くする

彫刻刀は長い間使用すると、柄の表面は焼けたり、手の油でどんどんと雰囲気が出てきます。

ですので刃先を削ると奇麗な木が出てきます。

私は使い古した雰囲気の柄が好きなのですが、また長く使用して上の画像のような状態に戻していきたいと思います。

柄の先を削ったのでついでに形状も少し変えて、写真には掲載していませんが、鉋で仕上げてサンドペーパーで表面を研いて椿油を塗ってみました。

実は今まで鉋で奇麗に仕上げてペーパーを使って仕上げる事に抵抗を持っていました。

それまでは、彫刻刀で仕上げごつごつ感を残して使っていました。

その方が、手作り感があって、なおかつ多少の滑り止めに(気休め程度ですが)なると思って使っていました。

私はどちらでの仕上げでも良いと思います。

自分が好きなやりかたで仕上げたほうが、モチベーションも上がります。

仕上げに椿油を塗っている最中に、これからも大切に扱っていきたいという気持ちが涌き起こってきます。

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上の画像は三分の印刀の彫刻刀です。

刃が斜めに真っすぐになっています。

この印刀はよく使います。

しかし、手の大きい人は幅が四分(1.2㎝)の彫刻刀が使いやすいように思います。

私も、中彫りの段階では四分をよく使い、仕上げに近づくと三分の印刀を使用しています。

この彫刻刀の柄の仕上げは、彫刻刀で仕上げて彫り跡を残しています。

先ほども記事に書きましたが、使い込めば使い込む程に、素朴な雰囲気になります。

彫刻刀の柄の形状で、私が感じる理想的な柄の制作方法は、柄を荒彫りの段階で彫刻をしてみる事です。

途中段階で使うとどこを細くした方が良いのか、残しておくべき箇所がリアルにわかります。

使いながら何度も何度も削り直して、一回で仕上げない方が私は良いように思います。

一回で仕上げても数日あるいは数ヶ月経過すると、おそらく削り直していると思います。

そんな風に、使い込みながら自分の理想の柄の姿をすぐに決めつけずに育てていくのが一番、理想的だと思います。

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最後に上の画像の小さい彫刻刀がありますが、私が携帯用に改良した彫刻刀です。

刃の大きさは同じです。

極限まで省略して、ペンケースに入るように施してみました。

下にリンクを張っておきます。

彫刻刀の柄を細く削り落として複数の彫刻刀をペンケースに収められるようにする。 その1 

 

下のリンク画像集は今回ご紹介した記事と重なるものもありますが、彫刻刀の柄に関する記事をまとめてみました。

彫刻刀に柄をつける

 

彫刻刀の柄を割って作る

ペンケースに入れる彫刻刀を改良してみる

二種類の砥石を使って彫刻刀を砥ぐ

彫刻刀の刃先が欠けたら

丸刀の研ぎ方

彫刻刀の柄を削って丸刀の刃先を長くする

彫刻刀の柄の先に糸を巻き付ける 

 

彫刻刀の柄を割って作る

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上の画像は柄の付いていない彫刻刀の状態です。

新たに彫刻刀を12本程追加しました。

小さい道具は幅が1分(3ミリ)弱から2分(6ミリ)の浅い丸刀や平刀です。

小さな香合佛を彫るのにもう少し道具のバリエーションを増やします。

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今回はすぐに使いたいという事もあって、柄に使う木を2つに割ってその間に刃の溝を彫り挟み込みます。

 

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彫刻刀の柄になる木です。

 

 

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刃が入るところから平刀を使って二つに割ります。

少し食い込ませて左右に振ると入り込んで木の目に沿って割れていきます。

 

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割れたら太い方を選び、刃の入る位置を確認します。

所定の位置に決まったら鉛筆で輪郭線を引きます。

 

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溝を彫り、刃をはめてみます。

 

 

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溝も奇麗に仕上げていきます。

 

 

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刃を挟んで柄を接着をしますが、最初に平刀を使って二つに割ったところが圧力でへこんでいます。

そのへこんでいるところは隙間が出来ているので、あとで隙間の長さの分は切ります。

それで、へこんで隙間が出来たところがなくなります。

 

 

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同じように全ての彫刻刀を割って溝を彫り刃を柄に差し込んで接着をしました。

 

 

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接着剤が固まりました。

四角い状態なので角をまるめて使いやすくします。

柄の削り方は、すぐに仕上げずに未完成の柄の彫刻刀を使って彫刻などをしながら、そのときに柄も削ります。

すると、自分の使いやすい形状の彫刻刀の柄が徐々に完成します。

最後の仕上げにに鉋を使うか、印刀の彫刻刀だけで仕上げるのかは自由ですが、鉋だと、真っすぐな奇麗な仕上がりになるのに対して、彫刻刀だけで仕上げると、味のある彫刻刀の柄に仕上がります。

 

 

 

 

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完成

下のリンク画像集では他にも彫刻刀の柄についてご紹介しています。

 

 

彫刻刀に柄をつける 

ペンケースに入れる彫刻刀を改良してみる

二種類の砥石を使って彫刻刀を砥ぐ

彫刻刀の刃先が欠けたら

丸刀の研ぎ方

彫刻刀の柄を削って丸刀の刃先を長くする

彫刻刀の柄の先に糸を巻き付ける 

仏像の手の彫刻 握り手の制作行程 6

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まだまだ細かいところはカクカクしていますが、それぞれの指や手の膨らみはほぼ見えてきました。

これからは細かい彫刻に取りかかります。

 

 

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まず最初に指先を形作ります。

指先は最も肝心な手の表情を表現する箇所でもあり、上品な雰囲気を表したりもします。

それぞれの指の力の入れ具合ですが、これもはっきりと決まっている訳でもなく

以前も書きましたが、小指と人差し指は力を抜き中指と薬指は力を入れるという関係もどのように説明すれば良いか難しいところです。

あえて伝えるならば全体を見ながら細かいところを彫り、また細かいところを彫っているときでも全体を見ているという感覚で上記を意識しながら指を形作ります。

 

 

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人差し指は親指に軽く添えているので、どの指よりも後ろに力がかかっています。

 

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人差し指の次に小指が少し後ろに力がかかっています。

かかっているというよりは力を抜いている状態です。

 

 

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中指と薬指は後ろから見ると内側に入り込んでいます。

 

 

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指先の彫刻はこの辺にして今度は手首につける飾りを彫刻します。

 

 

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飾りをつけますが、まずは鉛筆に沿って切り込みを入れます。

そして下の画像のように、横から印刀で薄く削ります。

 

 

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手首の飾りの周辺は徐々に薄く削りだして奇麗に整えていきます。

 

 

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